まずは、MacBook Pro Retina 15インチのどこが新しくなったのかをチェックしてみよう。

CPUは第4世代Intel Core i7-4870HQ、メモリは16GB搭載されている

MacBook Pro Retina 15インチの基本スペック比較 (太文字は変更点)

モデル Mid 2015 Mid 2014
■CPU Core i7-4770HQ(2.2GHz) Core i7-4870HQ(2.5GHz) Core i7-4770HQ(2.2GHz) Core i7-4870HQ(2.5GHz)
■メモリ 16GB 1,600MHz DDR3L 16GB 1,600MHz DDR3L
■ストレージ 容量 256GB SSD 512GB SSD 256GB SSD 512GB SSD
接続方式 PCIe PCIe PCIe PCIe
リンク幅 x4 x4 x2 x2
リンク速度 8.0 GT/s 8.0 GT/s 5.0 GT/s 5.0 GT/s
■グラフィックス 内蔵 Intel Iris Pro Graphics 5200 Intel Iris Pro Graphics 5200
ディスクリートGPU なし AMD Radeon R9 M370X(2GB) なし NVIDIA GeForce GT 750M(2GB)
■液晶ディスプレイ 15.4型(2,880×1,800ドット) 15.4型(2,880×1,800ドット)
■バッテリ 容量 99.5Wh 95Wh
駆動時間 9時間 8時間
■重量 2.04kg 2.02kg

表を見ると分かるように、新モデルはCPUやメモリ、内蔵グラフィックスなどは前モデルと同じだが、ストレージやディスクリート・グラフィックス、バッテリなどが変更されている。

CPUに変更がなかったのは、MacBook Pro Retina 15インチが採用しているハイパフォーマンスノート向けのプロセッサ、Core i7 Hシリーズの第5世代(Broadwell)版が今回の製品発表時にはまだ登場していなかったためだろう(インテルは、その後6月2日に第5世代Core i7 Hシリーズを発表した)。

CPUが据え置きだと新モデルとしてのインパクトは小さくなってしまうが、グラフィックスやストレージなど伸び代の大きなパーツの性能を上げることで、全体のパフォーマンスを向上させることはできる。今回の新モデルの狙いもそこにあると言えるだろう。

そこで、何種類かのベンチマークソフトを使ってプロセッサとグラフィックス、ストレージの性能を計測してみた。

まず、「Geekbench 3.2.2」を実行してみたところ、次の結果となった。

Geekbench 3.2.2(32bit)によるベンチマーク結果
機種 CPU Single-Core Score Multi-Core Score
15インチMacBook Pro(Mid 2015) Intel Core i7-4870HQ 3347 12589
15インチMacBook Pro(Mid 2014) Intel Core i7-4870HQ 3367 12697
Geekbench 3.2.2(64bit)によるベンチマーク結果
機種 CPU Single-Core Score Multi-Core Score
15インチMacBook Pro(Mid 2015) Intel Core i7-4870HQ 3685 14173
15インチMacBook Pro(Mid 2014) Intel Core i7-4870HQ 3722 14252

※前モデル、15インチMacBook Pro(Mid 2014)の結果については、Geekbench開発元のデータを参考にしている

Geekbench 3.2.2によるベンチマーク結果

ベンチマーク結果を見るとスコアはほぼ同じ。CPU性能については、これを見ても前モデルから変化なしと言えそうだ。

次に、CINEBENCH R15を実行してみたところ、次のような結果になった。

CINEBENCH R15によるベンチマーク結果
機種 CPU グラフィックス OpenGLスコア CPUスコア
15インチMacBook Pro(Mid 2015) Intel Core i7-4870HQ AMD Radeon R9 M370X 62.63fps 586cb

CINEBENCH R15によるベンチマーク結果

結果を見ると、CPUは前モデルとほぼ同じだが、OpenGLのスコアは1割程度アップしており、ディスクリート・グラフィックスが前モデルのNVIDIA GeForce GT 750MからAMD Radeon R9 M370Xに変更されたことが影響していると考えられる。

そこで、もうひとつ、別のベンチマークソフト「GFXBench GL」でグラフィックスの性能をチェックしてみた。結果は下図の通り。

GFXBench GLによるベンチマーク結果

こちらも各テスト結果を見ると、前モデルと同等~1割程度の性能アップといったところだ。

ベンチマークの結果は、正直、前モデルと似たり寄ったりといったところで大きな差が感じられないが、ディスクリート・グラフィックスがAMD Radeon R9 M370Xに変わったことで可能になったこともある。それが、5K出力のサポートだ。新旧モデルを比較すると、外部映像出力環境は以下の表のようになっている。

MacBook Pro Retina 15インチの映像出力環境
モデル Mid 2015
Core i7-4870HQ(2.5GHz)搭載モデル
Mid 2014
Core i7-4870HQ(2.5GHz)搭載モデル
ディスクリートGPU AMD Radeon R9 M370X(2GB) NVIDIA GeForce GT 750M(2GB)
ディスプレイ出力 HDMI 最大4,096×2,160解像度/24Hz
最大3,840×2,160解像度/30Hz
最大4,096×2,160解像度/24Hz
最大3,840×2,160解像度/30Hz
SST/MST 最大4,096×2,160解像度/60Hz 最大3,840×2,160解像度/60Hz
Dual-Cable 最大5,120×2,880解像度/60Hz 非対応

表を見ても分かるように、新モデルでは、DisplayPort ケーブル2本をつなぐことでDell UP2715Kなどの5Kディスプレイでフル解像度(5,120×2,880ピクセル、60Hz)での表示が可能だ。また、映像制作などに向いたアスペクト比21:9のデジタルシネマ4Kディスプレイ(4,096×2,160ピクセル)でも60Hzで出力できる。これは、前モデルに対してかなり大きなアドバンテージだと言える。高解像度ディスプレイを使いたいユーザーには、今回のアップデートは大きな魅力だと言えるだろう。

5Kディスプレイへの出力が可能。5K出力には、本体のThunderboldポート2基にDisplayPort ケーブルをつなぐ必要がある