COMPUTEX TAIPEI 2015の2日目となる6月3日、AMDはCarrizoこと第6世代APUを正式に発表。これに合わせて台湾・台北市内で発表会を開催した。

発表内容そのものはすでにレポートした内容から外れるものはない。ここに記載されていない内容としては、DellがCarrizo搭載製品を発表したほか、東芝/ACERの製品も展示されていた(Photo01)ことと、Carrizoのダイが公開された(Photo02)程度である。

Photo01:左は東芝のSATELLITE LS0DT-C、右はAcerのAspire E15 E5-552G。どちらもA10-8700P APUを搭載する

Photo02:Carrizoを示すKevin Lensing氏(Senior Director, Product Marketing)

さて、発表会ではこれに加えて、前から噂されている"Fiji"(開発コード名)と思しきチップをLisa Su氏が公開する(Photo03)とともに、この製品が米国時間の6月16日に発表される事を明らかにした(Photo04,05)。

Photo03:満身の笑みでFijiコアを示すLisa Su氏(President and CEO))

Photo04:6月16日から18日まで米国ではE3が開催される。これに合わせてAMDはイベントを行うだろうし、Fijiを発表すると思われる

Photo05:言うまでもなくこれが最初のHBM対応製品ということで、Fijiのことと考えて間違いないだろう

ちなみにチップを拡大してみるとこんな感じ(Photo06)で、かなりGPUのダイが大きい。

Photo06:念のため補足をしておくと、これは回転および、ひずみ補正を掛けた上、アスペクトレシオを1:1になるように変形した後の写真

以前にこちらの記事でも説明した通り、HBMチップそのものは5mm×7mmのサイズであることが分かっている。そこでPhoto06からパッケージおよびGPUダイの大きさをそれぞれ計算すると

  • パッケージ:53.3mm×53.3mm
  • GPUダイ:22.1mm×25.9mm

と算出される。実に572.4平方mmものダイという巨大なものになる計算だ。4つのHBMチップがそれぞれ35平方mmだから、見比べてもらっても分かると思う。

これまでのハイエンド製品だったR9 290Xが438平方mmだから、1.3倍という相当な大きさになる。仮にプロセスが同じままだとすれば、単純計算で57CU位まで増やせる計算になる。実際にはHBM周りなどがもう少しエリアサイズを食うとは思うが、それでも54CUは堅いと思われる。シェーダ(Radeon Core)数だと3456基になる。

これより大きなダイも世の中には存在していて、それはGeForce GTX Titan Xに使われているGM200である。こちらは601平方mmで、シェーダ(CUDA Core)数は3072基である。単純な比較だと、Fijiはシェーダ数では圧倒しており、しかもHBMによる広帯域メモリが利用できるから、これは非常に競争力のある数字である。

また、筆者は以前に「Fijiでは20nmプロセスを使うと予想」していた。ただ、ここまで大きなダイで20nmだと、さらにシェーダ数が増える(正確な試算は不可能だが100CU近くになりそうだ)し、しかも現段階で量産製品がほとんどない20nmでこの巨大なダイを製造すると、Yieldが恐ろしく低くなりそうだ。そう考えると、Fijiもまた28nmプロセスで製造しているということなのかもしれない。

仮にそうだとすると、消費電力の方は結構シビアになりそうだ。300W以内に収まっていればいいのだが……という感じを受ける。このあたり、まもなく製品が登場すると予想されるだけに、評価が(筆者自身)楽しみである。