5月14日~15日に東京国際フォーラムにて「富士通フォーラム2015」が開催された。多くの講演と展示が行われていたが、ここでは一般利用者とパソコン利用者の視点から見た「明日の技術」をいくつか紹介したい。

個人情報の取得にOCR、非接触読み出しの活用

現在、本人確認資料は目視によるものが多い。一方で偽運転免許証を使った携帯電話の不正取得という話もあり、より安全・確実な本人確認と、第三者に情報を漏えいさせないことが重要だろう。また、マイナンバー法の関係による、マイナンバーの民間における取り扱いは、金融機関から始まるだろうといわれている。

これに対しては二つの取り組みが展示されていた。マイナンバーに関しては、2015年10月から送付される通知カードと本人確認資料を市販のタブレットで読み取り、OCR化して氏名住所が合致することを確認し、金融機関に送信する。

個人へのマイナンバーは12ケタの数字であり、これによって基本の4情報(氏名・生年月日・性別・住所)を関連付ける仕組みのため、マイナンバーの漏えいだけで刑事罰が適用される。番号の写し間違いによる問題もあるが、通知カードのコピーも問題となるので、簡単かつ確実に取得できる方法が望まれている。

タブレットは市販のものということで、デモではWindowsタブレットを利用していた。ただ、金融機関ではiPadによる顧客への商品説明も行われているため、iPad版も開発し、10月からのマイナンバー配布までにはサービスを提供したいという説明だった。

【左】今回の富士通フォーラムに限らず、マイナンバー関係の展示は最近非常に多い。2015年10月から紙のカード配布が開始され、来年(2016年)からの施行を考えると、間に合うのかという話もあるほどだ。【右】ダミーの通知カードをタブレットで読み取っているデモ。ダミーカードのせいか撮影禁止になっていなかった

一方、非接触で読み出すことができるICチップ付きの運転免許証、パスポートの読み出しを行うデモが別のブースで行われていた。

運転免許証の場合は、読み出しに4+4ケタの暗証番号を顧客に入力してもらって同意のうえで取得し、民間利用のための許諾も得たという。ちなみに、非接触ICをスキミングという話がよくあるが、IC免許証は暗証番号の入力、パスポートは写真面に記載してあるコードを入れなければデータを取得できない。

この二つを合体させると、従来よりも確実な取得が可能となる。また、データを守る別の取り組みによって安全に保管でき、免許証をコピーした紙を紛失したり、データ化したのちに処分したりといった手間と費用が省けるだろう。

こちらは別のグループ企業によるもので、すでにICカード化されている情報を取り扱う。ICパスポートは2006年、IC免許証も2010年には全面導入されていたが、民間でのIC利用が進んでいなかった。パネルの下は実際の個人情報を表示することもあるので、撮影禁止だった。おそらく、次にマイナンバーのICカードを読み取るという動きが出るはずだ