発表から発売までに多くの露出を図ったことで、EOS M3はみごとスタートダッシュに成功する。「いろいろな施策を行ったことが奏功しました」と西小原氏。発売に合わせて実施したキャンペーンの役割も重要だった。展開したのは、先着5,000名のアクセサリープレゼント、対象レンズやアダプターとの組み合わせで最大18,000円のキャッシュバック、限定25,000台のEVFキット、といった3つのキャンペーンだ。
アクセサリープレゼントはWebから事前エントリーするもので、「今どれだけのお客様がこの商品に注目しているのか周りの皆さんにもわかるように」といった仕組みで設計されていた。現在の予約状況が一目でわかるうえ、申し込んだユーザーがSNSに情報を拡散することで、さらなる購入検討者がキャンペーンサイトを訪れるという流れができあがったそうだ。
中でもアクセサリープレゼントについては発売後9日で予定数の先着5,000名に到達。「こんなに早く終わるキャンペーンの設計ではなかったのですが (笑)」と、早々に終了したのも驚きだ。実際の予約数は非公開だが、EOS M2の10倍以上の予約を受注したようで「ミラーレスでここまで予約が殺到したのはこちらとしても驚いています」というほどの大成功を収めた。
購入層は想定通りでデジイチのサブ機として活用
EOS M3の購入層については、「デジタル一眼レフカメラを使用していた方が77%で、そのうちEOSユーザーが73%となっています。さらに細かく見ると、EOS 5D系、EOS 6D、EOS 7D系でおよそ半分の47%を占めています (Canon Image Gateway登録者アンケート)」というように、写真を本気の趣味として楽しんでいるユーザーであり、同社の想定通りとなった。
ミラーレスカメラの所持率に関しては、EOS Mユーザーが27%、EOS M2ユーザーが13%、他社からの乗り換えが9%、まったく所持していなかった人が51%。半数以上の人が初めてのミラーレスカメラとしてEOS M3を新規に購入したことが伺える。
また、今後の使い方の予定を聞いたところ、48%の人がEOS M3を一眼レフカメラのサブ機として使いたいとした。こちらのデータからも、同社の想定通りのユーザーに購入してもらえたことがわかる。
購入の決め手については、「EVF対応だから」が1位で46.5%。「こちらが考えていた以上にお客様がEVFを望んでいたというのがわかりました。EVFキットを用意したことで、お客様の背中を押せたと実感しています」とのことで、今回、EOS M3発売の舞台裏を聞いた中で印象的な話だった。
以上のように、キヤノンがシェアを取りにきたEOS M3は、西小原氏が何度も口にしていた"本格感"という言葉が非常によく似合うカメラだ。また、その製品のよさを多くの人に伝えるためにさまざまなイベントを展開、「ナンバーワンにするんだ!」という同社の強い意気込みも伝わってきた。デジタル一眼レフユーザーからも支持されて最高のスタートダッシュを切ったEOS M3は、今後もまちがいなく購入者を増やしていくことだろう。