ブルーボトルコーヒーの日本出店で、さらに熱を帯びた「サードウェーブコーヒー」の波。そんなコーヒーブームの裏で、ここ数年、紅茶に力を注いでいるカフェやメーカーが増えている。世界的コーヒーチェーンであるスターバックスでは、2013年にニューヨークで紅茶をはじめとしたお茶の専門店「ティーバナ」をオープン。日本出店の計画もあることが明らかになっている。また、「カフェ&バー プロント」を展開するプロントコーポレーションでは、「"WONDER TEA"(紅茶ってすごい!)」をテーマに、産地や製法にこだわった本格的な紅茶の発売や、新しい紅茶の飲み方を積極的に提案している。さらに、紅茶ブランド「リプトン」では、 30年以上にわたって高級ホテルやレストランなどで使われてきたプレミアムライン「サー・トーマス・リプトン」シリーズの一般販売を2014年8月より開始。このほど、スリランカ・ヌワラエリア地方の茶葉を100%使用した「アールグレイストレートティー」も発売された。

このように紅茶に注目するカフェやメーカーが増加している現状をうけ、紅茶の人気がどの程度高まっているのか、現在の紅茶トレンドを確認するため、マイナビニュース会員へのアンケートとメーカーへのインタビューを行ってみた。

潜在的な紅茶派も少なくない?

4月上旬、マイナビニュース会員300名を対象としたインターネットによるログイン形式アンケートを実施。まず、「紅茶派かコーヒー派か?」という問いに対しては「紅茶派」が37.3%、「コーヒー派」が62.7%となり、コーヒーブームの中で約4割の人が、「紅茶派」と回答した。また「最近カフェや店頭などで紅茶を見かける機会が増えたか」「最近カフェや店頭などで紅茶の種類が増えたと感じるか」との問いでは、どちらも「はい」と回答した人が24.3%となっており、回答者の約4分の1がカフェやメーカーが紅茶に注力していることを感じ取っているようだ。

ここ数年は、コンビニの店頭で淹れたてコーヒーが手軽に飲めるようになっているが、コーヒーと同様に「本格的な紅茶が手軽に飲めるようになれば、飲む機会や山地や茶葉などを選ぶ機会が増えると思うか」との質問では過半数を超える59.7%が「はい」と回答しており、このままカフェやメーカーが紅茶の販売拡大や飲用機会の創出を進めていけば、今後、紅茶派が増える下地は十分ありそうだ。

飲料メーカーが考える今後の紅茶トレンドと商品展開

今まで、産地指定茶葉を売りにする喫茶店やホテルは存在していたものの、「カフェ&バー プロント」のようなカフェチェーンでの展開は新しい試みだ。こうした茶葉にこだわった本格紅茶の動きを受けて、リプトンブランドの商品をライセンス販売する森永乳業マーケティング担当の並木氏は「今後、紅茶はコーヒーのように"産地で味の違いを楽しむ"という、新しい楽しみ方が主流になっていくのではないでしょうか」とコメントしている。

森永乳業では、この春「サー・トーマス・リプトン」シリーズのチルドカップ「アールグレイ ストレートティー」と「ディンブラ ミルクティー」を発売。同シリーズは、「茶葉のおいしさを最大限に引き出す」ことに最もこだわっており、リプトンブランドの茶葉ブレンドを担当しているマスターブレンダー江間氏が監修、産地ごとの茶葉を知り尽くしたエキスパートが認めた味わいになっているとのこと。

さらに並木氏は、茶葉だけでなく「アールグレイ ストレートティーは、強い渋みとシャープな口当たりが特徴の茶葉の味わいを感じられるよう甘さを控えめに、ディンブラ ミルクティーは、渋みよりも香りや甘さといった特長の茶葉の個性が引き立つよう、生乳を使用しキレのある味わいに仕上げています」と茶葉を生かす味へのこだわりについても語った。

このように、本格的な紅茶がコンビニなどで手軽に購入できる商品として普及していくことで、カフェに限らず様々な休息のひとときに、紅茶が浸透していくのかもしれない。