NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクでは光回線と携帯電話の契約をセットにした、いわゆる"光セット割"を提供している。MMD研究所が3月26日に公表した「光セット割に関する実態調査」では、この光セット割の認知は進んでいるものの、「内容をよく理解していない」と回答した人の割合が非常に高いことが分かった。

サービスの存在は知っている、内容は知らない

MMD研究所による調査は、16歳以上のスマートフォンを所有している男女を対象に行ったもの。調査期間は2015年3月20日~3月23日で、2,220人から有効回答を得た。

同調査によると、光セット割の存在を知っている人は「いくつかサービス名を知っており、詳しく説明ができる」が16.8%、「いくつかサービス名は知っているが、あまり説明はできない」が37.5%、「いくつかサービス名は知っているが、内容は知らない」が28.0%という結果。全体の82.3%が光セット割の存在を認識していることがわかった。一方で、65.5%が光セット割の名前は知っていても、サービス内容については理解していないことがわかった。同調査の詳細はマイナビニュースの別稿で確認できる

光セット割サービスの認知度

このように、光セット割について「知っているけど、内容はわからない」というユーザーは多い。なので、あらためて光セット割の仕組みについておさらいしていきたい。

各社のサービスの特徴

それでは、各社のサービスの特徴について説明しよう。NTTドコモでは「ドコモ光パック」の名称で展開する。携帯電話の料金プランと固定通信サービス「ドコモ光」を組み合わせることで割引される仕様だ。家族でデータ量を分け合える光シェアパックを適用可能で、同プランは2年目以降も割引額が変わらずずっと続く。このほか、セット割による割引額は固定回線ごとに適用されるため、人数が増えても家族全体の割引総額は変わらないという点に注意したい。

KDDI(au)では「auスマートバリュー」の名称で展開。携帯電話の料金プランと「auひかり」などの対象固定通信サービスを組み合わせることで割引される。10回線までなら割引の対象となる。割引額が小さくなるが、3年目以降も割引は継続する。

ソフトバンクでは「スマート値引き」の名称で展開する。携帯電話の料金プランと「SoftBank 光」などの対象固定通信サービスを一緒に契約すると割引されるかたちだ。固定通信サービス1回線につき最大10回線の携帯電話・スマートフォンに割引が適用される。割引額が小さくなるが、3年目以降も割引が継続するのはauスマートバリューと同様だ。。

利用シーンを考える

各社のセット割サービスは、家族の構成人数や利用通信データ量などにより、割引額が異なってくる。例えばマンションで1人暮らし、月に5GBのプランでスマホを利用するようなケースなら、ドコモ光パックでは800円の割引、auスマートバリューとスマート値引きでは1410円の割引が得られる。したがってauスマートバリューおよびスマート値引きが有利だ。では、家族で利用するケースではどうだろうか。auスマートバリューおよびスマート値引きなら回線の分だけ割引が適用される。これに対して、ドコモ光パックでは家族内で契約回線の数が増えても割引額は変わらない。したがって、やはりauスマートバリューおよびスマート値引きが有利になるだろう。

では、KDDIのauスマートバリューとソフトバンクのスマート値引きでは、どちらが優位だろうか。両サービスでは対象となる固定回線が異なる。この点に注意したい。先のMMD研究所が公表した調査結果では、現在契約している固定回線としてNTTグループのフレッツ光(東日本)が30.0%、フレッツ光(西日本)が21.7%のシェアを占めていた。つまりインターネット契約者の51.7%がNTT東西のフレッツ光を利用していることになる。ソフトバンクのスマート値引きでは、フレッツ光の契約者なら工事不要でソフトバンク光に転用できることがポイントとなる。転用は電話やWeb上の申し込みだけで完結する手軽さも見逃せない。対して、auスマートバリューの場合は、auひかりにのりかえると最大50,000円のキャッシュバックが受けられるものの、工事などの手間がかかってしまう。

契約している固定回線

固定回線の契約を変更する場合、手続きや工事が必要となる。先のMMD研究所の調査結果では、光セット割引サービスに加入するにあたり不安なこととして、契約がめんどくさそう(44.5%)、手続きがめんどくさそう(34.9%)、回線工事がめんどくさそう(24.7%)、という声が多くあがっていた。auスマートバリューを適用させるには、面倒な手続きなどをしなければならないことを頭に入れておく必要がある。一方、フレッツ光の利用者がスマート値引きを適用する場合は転用番号の取得だけで済むので工事が不要、電話一本(またはインターネット)で手軽に手続きできる。このあたりも配慮すえると、ソフトバンクのスマート値引きが適用しやすく、割引額も大きいサービスと結論付けられそうだ。

光セット割引サービスに加入するにあたり不安なこと

本稿では、光セット割について簡単におさらいしてきた。各社の提供するサービスの違いについてご理解いただけたのではないだろうか。携帯電話の契約プランは2年ごとに更新していくのが一般的だが、光回線とのセット割では長い年月の継続利用を想定している。このため、早く入れば早くから割引の対象となるメリットがある。5年、10年といったスパンで利用を見込んでいる家庭環境なら、早い段階で契約を検討するのが得策と言えるだろう。

マイナビニュースでは、各社のプラン比較なども継続的に行っている。それらも参考にしていただければ幸いだ。