東京では23日にソメイヨシノの開花が発表され、いよいよ花見シーズンが近づいてきた。花見などの春の行楽では、出かけた先でタブレットやスマートフォンで調べ物をしたり、動画を視聴して楽しむこともあるかもしれない。それらの春のお出かけスポットで快適に通信するためにチェックしたおきたいのが、各社のモバイルルーターの通信速度だ。

アンケートサイト「Qzoo」を運営するゲインは、全国4都市の春のお出かけスポットで実施したモバイルルーターの通信速度調査の結果を発表した。同調査は、東京、名古屋、大阪、福岡の4都市22カ所で、NTTドコモ、UQ WiMAX、ワイモバイルのモバイルルーターの通信速度を計測したもの。結果をまとめると、全国の下り平均速度で最速になったのはWiMAXで、下り74.6Mbpsを記録した。また、WiMAXは調査した22カ所中、20カ所で下り速度が最速になり、ドコモ、ワイモバイルを引き離した。

本稿では、同調査の結果を詳しく紹介していくとともに、WiMAXが下り速度で最速になった理由を考察してきたい。

全国4都市22カ所の下り平均速度では、WiMAXが74.6Mbpsで最速に

ゲインが全国4都市で実施したモバイルルーターの通信速度調査では、モバイルルーターを販売する主要3社の最新機種を用いて通信速度を計測した。使用端末は、NTTドコモの「Wi-Fi STATION HW-02G」、UQ WiMAXの「Speed Wi-Fi NEXT WX01」、ワイモバイルの「Pocket WiFi 305ZT」の3機種。調査地点には、東京、名古屋、大阪、福岡の4都市、22カ所の春のお出かけスポットを選定。東京スカイツリーや名古屋城、あべのハルカス、ヤフオクドームなどの主要ランドマークが含まれている。

結果を見てみると、全国4都市22カ所の下り平均速度では、WiMAXが74.6Mbps、ワイモバイルが40.1Mbps、ドコモが28.4Mbpsを記録し、WiMAXが最速だった。一方、上り平均速度では、ドコモが13.8Mbps、ワイモバイルが11.1Mbps、WiMAXが6.8Mbpsとなり、ドコモが優勢だった。

全国4都市22カ所の下り平均速度と上り平均速度

都市別の結果でも、全国平均と同様の順位となり、下り平均速度は4都市ともWiMAXが1位、上り平均速度では4都市ともドコモが1位となった。各都市のWiMAXの下り平均速度を見てみると、東京が81.9Mbps、名古屋が68.6Mbps、大阪が68.7Mbps、福岡が75.1Mbpsとなっており、いずれの都市でもかなりの高速を記録している。

都市別の下り平均速度と上り平均速度

また、全調査地点22カ所において、各社モバイルルーターが最速値を記録した地点をカウントすると、下り速度ではWiMAXが20カ所、ドコモが1カ所、ワイモバイルが1カ所で、それぞれ最速値を記録し、WiMAXが他社を圧倒する結果となった。一方、上り速度ではドコモが13カ所、ワイモバイルが7カ所、WiMAXが2カ所で、それぞれ最速値を記録した。

全調査地点22カ所における上り・下り速度の最速値

なお、同調査で使用した測定ルーツでは、計測範囲の上限は100Mbpsとなっているが、WiMAXは秋葉原(100.5Mbps)、上野(100.2Mbps)、万博公園(100.4Mbps)、ヤフオクドーム(100.1Mbps)の4カ所で、下り速度100Mbps超を記録する結果となった。

WiMAXが下り速度で最速になった理由を考える

下り最大220Mbpsに対応するWiMAXのモバイルルーター「Speed Wi-Fi NEXT WX01」

同調査では、全国4都市22カ所の下り平均速度でWiMAXが最速になった。また、全調査地点22カ所中、20カ所でWiMAXが下り速度の最速値を記録したほか、そのうち4カ所では下り速度が100Mbps超となった。この要因としては、WiMAXのモバイルルーター「Speed Wi-Fi NEXT WX01」が対応する下り最大220MbpsのWiMAX 2+が大きく影響していると考えられる。

同端末では、4×4 MIMO技術により下り最大220Mbpsを実現している。4×4 MIMOとは、基地局とルーターのそれぞれに4本のアンテナを搭載することで、複数のデータを同時に送受信し、高速通信を実現する技術。これにより従来、下り最大110MbpsであったWiMAX 2+の利用エリアにおいて、下り最大220Mbpsの通信が可能になる。すでにWiMAX 2+エリアほぼ全域で下り最大220Mbpsに対応しており、この高速化技術が今回の結果に結びついたようだ。なお、WiMAX 2+エリアに関しては、2015年春には全国のエリア化が完成する予定となっている。

また、下り平均速度で2位になったのはワイモバイルの「Pocket WiFi 305ZT」だ。同端末では、ワイモバイルとソフトバンクのLTEに加え、AXGP方式の「SoftBank 4G」にも対応。AXGPではキャリアアグリゲーション(CA)により、下り最大165Mbpsを実現している。下り最大165Mbpsに対応するエリアは、現在は東名阪などの一部の地域に限られるものの、今回のような4大都市を対象とした調査では有利に働き、AXGPなどの効果によって、ワイモバイルがドコモを抜いて下り平均速度で2位になったと推測できる。

一方、ドコモの「Wi-Fi STATION HW-02G」は、下り平均速度では最下位と振るわなかった。同端末は、ドコモが3月27日より「PREMIUM 4G」として提供する下り最大225MbpsのLTE-Advancedに対応した端末となるが、調査時点では未提供。また、提供後も全国22都道府県38都市からのスタートとなり、下り最大225Mbpsに対応するエリアは一部に限られる。PREMIUM 4G対応エリアの拡大はもちろんだが、まずは下り速度の実測値の向上が望まれるところだろう。

*  *  *

本稿でも紹介した通り、ゲインが実施した全国4都市のお出かけスポットでのモバイルルーターの通信速度調査では、下り平均速度でWiMAXが首位となった。これからのシーズン、お花見や行楽に出かける際は、WiMAXのモバイルルーターを持って行き、外出的で快適に通信してみてはいかがだろうか。