高速性・高画質のC7500シリーズ

エプソンは3月10日、PrecisionCoreラインヘッドによって最大300mm/秒の高速・高画質印刷を実現した、フルカラーラベルプリンタ「ColorWorks TM-C7500/TM-C7500G」(以下、C7500シリーズ)を発表した。

現在、小中ロットのカラーラベルは印刷業者に依頼するケースが主流だが、リードタイムとコストアップの要因となる。一方で、必要なカラー部分をまとめて印刷し、オンデマンドでモノクロ印刷する場合、多種類のプレプリントラベルをストックする必要があり、管理に問題があった。

フルカラーをオンデマンド印刷すれば、真っ白なラベルストックのみで多種多様な要求に応えられる。従来、こうしたプリンタは印刷枚数の少ない製品ラインナップだったが、C7500シリーズは高速印字によって、これまでの製品では対応が難しい製造業や食品製造加工業のニーズに応えるという。

ColorWorks C7500シリーズ

セイコーエプソン 業務執行役員 ビジネスシステム事業部長 深石明宏氏

製品発表会では、セイコーエプソンの深石明宏氏がラベルプリンタ市場に関して説明。広告宣伝に使われる商品ラベル「プライマリーラベル」市場が4兆円、情報表示や物流、小売、医療などで使われる「セカンダリーラベル」市場が1兆円と、合計5兆円規模で展開されている。また、嗜好の多様化による多品種小ロットと環境負荷の低減、および小ロットによるコストアップと長いリードタイムの改善、印刷損紙や廃液対応、在庫管理の効率化などには、オンデマンドプリンタが望まれているした。さらに法制度・基準に対応する、識別性を上げるためにカラー化がトレンドとなっているという。

世界のラベル印刷業界の規模は全体で5兆円。一方、多品種小ロット化、環境負荷低減などを考えると、デジタルオンデマンド印刷による内製化、つまりカラーラベルプリンタのニーズは高いと分析している

同社のラベルプリント事業に関しては、2つの事業部が関連している。1つは、極小~小ロットのインハウス・オンデマンドカラーラベル作成のための「ColorWorksシリーズ」を取り扱う、ビジネスシステム事業部だ。もう1つは、ラベル印刷業者向けの小~中ロットの商品ラベル生産を行う「SurePressシリーズ」を扱う、インダストリアル・ソリューションズ事業部である。

今回発表となったC7500シリーズの「TM-C7500」「TM-C7500G」は、基本的なハードウェアは同じ。普通紙・マット紙・合成紙に適したマットインクを搭載するTM-C7500と、光沢紙に適したフォトインクを搭載するTM-C7500Gという違いだ。どちらも4色水性顔料インクを使用し、価格は748,000円だ。C7500シリーズの投入で印刷速度を重視した方向は満たされたとして、今後の製品戦略では高dpiの製品を提供する予定だという。

エプソンの住み分けは主に、プライマリラベル向けのインダストリアル・ソリューション事業部が販売する「SurePress」と、主にセカンダリラベル向けのビジネスシステム事業部が販売する「ColorWorks」シリーズとなっている

セカンダリラベルでも法対応や効率化のためにカラー化が必要なケースがある。一方で、事前印刷ラベル+モノクロオンデマンド印刷の場合、ラベル管理が煩雑になってしまうが、プリンタのカラー化とホワイトラベルを使用することで解決する

今回のC7500シリーズで広い業種をカバー。C7500シリーズはマットインク使用のTM-C7500とフォトインク使用のTM-C7500Gという2製品で、使用インクとファームウェアが異なる

C7500シリーズは、PrecisionCoreラインヘッドを使用することで3つの特徴を持つ

高速性に関しては実際にプリントデモが行われた。大径ロール(20cm)にも対応する

画質に関してはマルチサイズドットテクノロジー(MSDT)を使用する。C7500シリーズでは3種類の大きさでインクドットを打ち分ける

従来ラベルプリンタ同様耐候性・耐水性に優れた水性顔料インクを使用し、滲みに強い

PrecisionCore技術により、駆動素子がセンサーとして働き、インク詰まりを判断。C7500シリーズではモジュールの重なりあう部分は前後のノズルで補完するオーバーラップノズル補完と、左右のノズルで補完する隣接ノズル補完を併用する

ESC/Labelコマンドに対応し、これはすでに業界で広く使われているソフトで対応する

今回は速度面での機能向上をはかったが、今後は画質向上も視野に入れるという

今回発表となったTM-C7500。後ろに見えるノートパソコンを使って、実際に印字デモも行われた

オプションの巻き取りユニットを付けたTM-C7500

8インチロールにも対応する(写真左)。PrecisionCoreラインヘッドモジュール。CMYKの4色のインクを使用し、1色当たり1.33インチ/800ノズルのPrecisionCoreヘッドモジュールを4つ配置している(写真右)

6/7/8/9/10cm幅の全面ラベル。マット紙、光沢紙、合成紙で提供される。剥離紙には中央にスリットが入っているのでカットされていても剥がしやすい

すそ野を広げる意味でソルテック工業の後加工機も提案に入れるという。ダイソルダイカッターとカス上げ巻取り機(写真では楕円のステッカーの枠を外している)を会場に展示していた

参考出品は2014年から行われていた。写真は「リテールテック2015」での展示