【インタビュー】

大河原克行のWindows 8 PC探訪記 マウスコンピューター編 「こんなの作っちゃって、と言われるPCを作りたい」m-Stick担当者に聞く

1 スティック型PCは「ビジネスチャンス」

 
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マウスコンピューターが発売した手のひらサイズのスティック型PC「m-Stick MS-NH1」が予想を上回る人気を博している。2014年12月5日の発売日には、同社直販サイトでわずか数秒で売り切れるという人気ぶり。増産体制を敷き、ほぼ毎週追加出荷をしているものの、同社直販サイトでは、数分で売り切れるという状況がいまでも続いている。量販店ルートでもその人気ぶりは同様だ。

なぜ、m-Stickという製品が生まれたのか、そして、これだけの人気を誇っている理由はどこにあるのか。m-Stickの人気の秘密を探ってみた。

m-Stick MS-NH1

スティック型PCは"ビジネスチャンス"

m-Stickのブランドを引っ提げて登場した「MS-NH1」(以下、m-Stick)は、手のひらサイズの大きさを実現したスティックタイプの製品だ。

これまでにもスティック型の製品は登場していたが、それらの製品との最大の違いは、OSにWindows 8.1 with Bingを採用していることだ。

「2年ほど前から、Android Stickが登場し、ここにきて、日本でもChromecastが注目を集めだした。こうした動きを捉えて、Windows 8.1を搭載したスティック型のPCにも需要があるのではないかと考えた」と語るのは、マウスコンピューター 製品企画部の平井健裕部長。

「もはや技術としては新たなものではなかったスティック型デバイスだが、ここにきて、日本で注目を集めたことには驚いた」とする一方、ここにビジネスチャンスがあると判断。すぐに商品企画を開始した。

このあたりの小回りぶりはマウスコンピューターならではのものだ。平井部長は、同社・小松永門社長をはじめとする幹部に対して、製品化の提案を行い、「最後は(社内の)テンションだけで押し切って、製品化を決定してもらった」と冗談まじりに笑う。

マウスコンピューター 製品企画部の平井健裕部長

同社では、本来ならば営業戦略を立案しながら、製品企画の検討が行われるのだが、m-Stickについては、営業戦略の立案を待たずに、製品企画に着手するという手法が取られることになった。そのあたりが「テンションだけで押し切った」という表現につながっているのだろう。

「Android Stickの多くは、サポート体制が十分ではなかったり、ユーザーインタフェースに課題があり、パフォーマンスも不十分。そして、ある程度の知識が必要なものが多い。マウスコンピューターがWindowsをベースにしたスティック型デバイスを投入することで、24時間365日の無償電話サポート対応を含んだメーカー保証を提供でき、多くの人が安心して利用できる環境を提案できると考えた」。

リビングがPCの新しい居場所

もともと平井部長は、リビングのテレビをPCとして使えないかということを、長年考え続けてきたという。

「日本の家庭には、大画面で高精細のテレビがこれだけ多く普及している。だが、その用途が、テレビ視聴や録画再生、ゲームに使用するだけであり、もったいない。パソコンとして活用することで、リビングのテレビでもっと楽しんでもらえる環境を提案したいと考えていた」。

そして、「なんでもできるパソコンにとって、リビングのテレビという新たな居場所を作ってあげたいという気持ちもあった」と、PCの開発者ならではの姿勢も明かす。

これまでにもDVDレコーダー型やキューブ型の形状で、テレビとの接続提案を行ってきたが、残念ながら、大きな成果にはつながっていなかった。また、「Miracast対応デバイスも検討したが、それだけでは面白くないとも考えていた」というように、行き詰まり感もあったようだ。

そうしたなかで、スティック型PCの開発は、テレビを使ったPC利用を実現するためには、恰好ともいえる新たな挑戦材料だといえた。

リビングのテレビに接続してみたイメージ。これもスティック型PCならではの使い方のひとつ

「テレビに接続するためには、より低価格であることが条件。そして8型タブレット端末よりも低価格であることも避けては通れない要素だと考えた。インテルからBayTrail-Entryが登場したことで、高い性能を維持しながら、コストダウンを図る環境が整ってきたこと、Windows 8.1においてもコストダウンを図れるプログラムが登場したことも追い風となった。技術的にもこうしたことが実現できる環境が訪れた」とする。

同社がm-Stickの開発を決定してからの動きは早かった。昨年6月に台北で開催されたコンピュテックスでは、ODMなどとの話し合いを開始。そこから約3カ月間をかけて共同開発の形で仕様を固めるとともに、部材の調達にもめどをつけ、12月の発売へとこぎつけた。

「一番の課題は、どこまでをスペック(仕様)にするかという点。PCはなんでもできる点が特徴だが、例えばブラウザゲームを快適にプレイするためのスペックをどこまで入れ込むことができるのか、それを実現できない場合には、ユーザーに対してどう説明するのか。つまり、この製品がどこまでの役割を担うべきなのかということがなかなか決まりきらなかった」とする。

m-Stick MS-NH1におけるWindowsシステム評価ツール「WinSAT」でのWindowsエクスペリエンス インデックス スコア測定の結果(編集部調べ)

たとえば、各種ベンチマークテストでは、CPUに多くの負荷をかけることが多いが、m-Stickは、そこにはこだわらないことにした。「ベンチマークに最適化したチューニングは一切行っていない。そこは弱い」と割り切る。

一方で、動画視聴において、一般的なYouTubeの映像は見られても、Silverlightで動作しているアニメは視聴できないなどの問題が発生するといった課題が発生したが、そこも視聴環境を精査するとともに、検証を繰り返すことで、ターゲットとしたユーザーに最適な仕様を突き詰めていった。

「ベンチマーク上では、8型タブレットと比べてもパフォーマンスが劣る場合があるのは確かだが、m-Stickで目指すターゲット層、用途を考えると、影響は少ないと考えた。一方で、複数のOfficeアプリを立ち上げて利用するというユーザーが少ないことも想定した。だが、YouTubeの映像が30分視聴していたらそれで見られなくなるというパフォーマンスでは不十分。必要十分なスペックはどこか。数々の利用シーンを想定しながら、仕様を決めていった」。

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インデックス

目次
(1) スティック型PCは「ビジネスチャンス」
(2) 「スティック」型へのこだわり
(3) 「瞬殺」で完売した発売日
(4) ヒートシンク搭載の次期モデルも
(5) 「パソコンを面白いものにしたい」
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