せっかく髪をカットしたのに、パートナーの男性は気づいてくれなかった。そんな経験、女性なら一度はあるのではないでしょうか。カットどころか、カラーもしたのに気づいてもらえないということも。女性からすれば、ちゃんと気づいてくれて、「あ、髪型変えたね! 似合ってるよ」といってほしいですよね。どうして男性は、そういった変化に気づかないのでしょうか。
察することが苦手な男性
男性がなにかを察することが苦手というのは、以前に紹介しました(過去記事「なぜ男性は察することができないのか」参照)。その記事中では、はるか昔から男性と女性にはそれぞれの性にあわせた役割が存在し、それが影響していると紹介しました。つまり、女性の場合、家や村で他の女性たちと1日の大半を過ごします。女性は、一緒に過ごす他の女性の気持ちや真意を察することができなければ、心地よく1日を過ごすことができないわけです。
それに対して男性の場合はというと、基本的に猟は1人で出かけるので相手の気持ちを察する必要はありません。誰かと生活を共にする時間の長さが、男性は察することを苦手にし、女性はそれを得意にさせたのです。
そして、せっかく髪型を変えたのに気づいてくれないというのも、少なからずこのことが影響しています。「狩りをしていたなら、些細な変化にも気づかなきゃダメでしょ」と感じる人もいるかもしれません。
そう、その通りです。男性はなぜ髪型を変えても気づかないのかというのは、実は気づいているのではないかと私は思うのです。どういうことかというと、男性は女性が髪型を変えたことに気づいていたとしても、それを褒めるという行動に出にくいだけなのではないでしょうか。
というのも、先ほど記したように、はるか昔は女性の場合、家や村では残っている他の女性と1日の大半を過ごし、多くの仲間たちと良好な人間関係を気づく必要があったわけです。すると、相手を褒めていい気持ちにさせるということも必要。ちょっとしたことでも、相手を褒めるという行動をとりやすいのが女性なのです。
ですが男性の場合は、1人で過ごす時間が多いわけですから、誰かを褒める必要がありません。結果として、髪型の変化には気づいているけれど、それを口に出して褒めるという行動に出ないため、女性は男性が髪型を変えたことに気づいていないと思ってしまっているのではないでしょうか。
もちろん、男性が本当に気づいていないということもあるでしょう。そのときは、その女性に対して興味を持っていない証拠でしょう。興味を持っていないからこそ、注意深く観察しないわけです。これが恋人同士や夫婦の場合、2人の関係について注意が必要かもしれませんね。
※画像は本文と関係ありません。
著者プロフィール
平松隆円
化粧心理学者 / 大学教員
1980年滋賀県生まれ。2008年世界でも類をみない化粧研究で博士(教育学)の学位を取得。京都大学研究員、国際日本文化研究センター講師、チュラロンコーン大学講師などを歴任。専門は、化粧心理学や化粧文化論など。魅力や男女の恋ゴコロに関する心理に詳しい。
現在は、生活の拠点をバンコクに移し、日本と往復しながら、大学の講義のみならず、テレビ、雑誌、講演会などの仕事を行う。主著は「化粧にみる日本文化」「黒髪と美女の日本史」(共に水曜社)など。