VAIO株式会社が、オリジナル製品第1号となる「VAIO Z」を発表した。ソニー時代から、「Z」の型番を冠した製品は、VAIOシリーズの最高峰に位置づけられ、最先端の技術を惜しみなくつぎ込んだPCの代名詞にもなっていた。

そうした歴史を背景に、VAIOは、新会社になって初のオリジナル製品に「Z」の名前を与えた。「このVAIO Zは、単なる新製品という位置づけには留まらない。VAIO株式会社の方向性を明確にし、VAIOのすべてを背負った製品だといえる」と、VAIO マーケティング・セールス&コミュニケーション部商品企画担当の黒崎大輔氏は語る。VAIO Zに賭ける想いを聞いた。

VAIO Z

第1号製品を「VAIO Z」に決めた理由

VAIO株式会社がスタートしたある日。日曜日にも関わらず、設計開発部門の幹部たちが集まっていた。

議論のテーマは、「将来のVAIOとは」。VAIOのモノづくりの基本的な姿勢や考え方、そしてVAIOが最初に投入する製品はどんなものにすべきかといった議論がこの場で繰り広げられていた。

「VAIOのポテンシャルを発揮できる領域はどこか、どうやってVAIOの存在感を実現するのか。そんな議論のなかで、VAIOが最初に投入すべき製品は、やはりZであるという共通認識が開発チームのなかで固まっていった」と、この会議に参加していたVAIO マーケティング・セールス&コミュニケーション部商品企画担当の黒崎大輔氏は振り返る。

VAIO マーケティング・セールス&コミュニケーション部商品企画担当の黒崎大輔氏

VAIOが第1号製品に「VAIO Z」の投入を決めた理由はいくつかある。

ひとつは、VAIOが強みを発揮できるのは、最高のパフォーマンスを実現できる最先端の技術力にあると判断したこと。そして、2つめにはパフォーマンスを究極まで追求し、それによってビジネスを支援するデバイスを作れるメーカーが、いまやVAIOしかないと考えたことだった。

「VAIOは、基板をいちから設計できる体制を持つ。これによって実現した高密度実装技術や放熱設計技術は、VAIOならではの特徴。高性能を追求できる技術が蓄積されていることは、他社との大きな差別化になる。一方で、多くのPCメーカーは、薄型、軽量化の方向に向かうものの、その結果、性能面ではバランスを取った仕様となっている。Windows PCには、高いパフォーマンスでスタイリッシュなモバイルPCがない。そこにVAIOの存在感を発揮できると考えた」。

2015年2月15日に発表された「VAIO Z」

そして、もうひとつ「Z」の開発を後押ししたのは、熱心なVAIOユーザーの声だった。

「VAIO株式会社発足後、メールアドレスの登録制度を開始し、それらのユーザーに対して情報発信を開始した。そのなかで実施したWebアンケートでは、一日で200通以上の回答があり、最終的には、アンケートをお願いしたメール登録者の5割を超える回答が集まった。VAIOに熱い想いを持っている人たちが多いことを感じた」と黒崎氏は前置きしながら、「それらの回答をみると、『新たなVAIO Zを作ってほしい』と名指ししながら要望を伝える人たちが多かった。約5割の回答者から、最高峰のPCをVAIOに作ってほしいという要望が出ていた。モバイルを求める回答者からは、実に、6割以上がVAIO Zのような製品を期待していることがわかった」とする。

VAIOに求められている製品は、やはり最先端技術を採用した「尖った」PCであることには間違いない。それはユーザーの声からも明らかだった。