全国17,000店の大手コンビニエンスストア店舗や全国1,500店の大手自動車メーカーディーラー店舗の点検を一手に担うJM。独自のITソリューションを提供している同社は、カメラ付き携帯電話を使って各店舗の状況を撮影し報告するシステムを早くから構築するなど、戦略的なIT投資を行ってきた。最近では、簡易型パノラマカメラと情報共有WEBサービスを用いた独自のパノラマ画像による報告システム『Matabee360』を開発、点検業務で活用している。このように業界でも先進的な取り組みを進める同社は、iPadと「ConMas i-Reporter」を活用したシステムで、点検・報告業務の効率化を実現している。

取材に協力いただいた店舗やオフィスのメンテナンスサービスを展開するJMの皆さん

報告業務にかかる時間が課題に

JMは、店舗やオフィスのメンテナンスサービス「なおしや又兵衛」を展開している。サービス拠点は全国のサービスセンター(SC)14箇所に及び、地元企業とのフランチャイズ契約によるサテライト(ST)55拠点(2014年7月17日時点)の点検スタッフが飲食店やコンビニエンスストア、ガソリンスタンドなどの巡回点検・修繕・改装工事などを実施する。同社の顧客には全国に店舗をもつ企業が多く、同社は24時間365日の施設に関わる緊急対応を行い、全国一律で施設の維持管理・メンテナンス・一斉工事業務を担っている。国内に1,500店を擁する大手自動車メーカーのディーラーも、JMが点検・修繕等を担当する企業の一つだ。

JMのサテライト担当者による大手自動車メーカーディーラーの点検は、毎年10月から12月までの3カ月間で実施される。サテライト担当者が1店あたり1時間半から2時間をかけて、店舗の屋根、外壁、給排水、建具、空調といった項目について点検を行い、その結果を集計して大手自動車メーカーディーラーに報告書として提出する。大手自動車メーカーではJMから届けられた報告書によって各店舗の状態を把握し、翌年の店舗管理の投資計画の作成に活用する。

株式会社JM さいたまサービスセンター
渡邊善晴氏

JMでは従来、大手自動車メーカーディーラーの点検に、カメラ付き携帯電話を使用した独自のASPサービスによる報告ツール『HandyBuz』を使用していた。『HandyBuz』は、携帯電話で店舗の状況を撮影し、その場で写真による報告書が、WEBによる情報共有ツールにアップされる。そのため、現場状況を簡単に素早く、関係者(顧客、現場、SC,ST.JM本部)に即時で情報共有することができ浸透していた。一方で、業務が多様化する中、個別のチェック事項や集計・分析などの要望もあり、複雑な場合は紙ベースによる報告書を別途事務所で作成していた。事務所での報告書作成は、かなりの時間を要することもあった。(さいたまサービスセンターの渡邊善晴氏)

同社は、トップダウンにより、いち早くからペーパーレス、現場の業務負担軽減(事務所持ち帰り作業をなくす)に取り組んでおり、このような場合にも対応できる報告書システムを検討しており、今回のi-Reporterの採用につながった。より簡単な操作と即時の情報共有が可能なHandyBuzと、より複雑な報告や集計へ対応するi-Reporterを業務により使い分け、顧客要望に対応したサービスを展開している。同社とシムトップスは、同社の持つ独自のICTサービスとi-Reporterを組み合わせながらMatabee-iReporterとして建設業向けのサービスを展開している。

「報告書に必要な写真を撮り忘れたり、撮った写真の画質が悪かったといった理由で、店舗に写真を撮りに戻ることが頻繁にあったのです。こうした撮影の二度手間だけでなく、Excelでの編集・集計作業にも時間を取られていました。これらを合わせ、1店舗あたり2~3時間は報告書の集計作業に取られていたと思います」(渡邊氏)

点検の現場で迷うことがなくなった

株式会社JM 地域活性化部 部長
井上千鶴氏

そこでJMは、大手自動車メーカーディーラーの点検・報告業務に電子帳票ソリューション「ConMas i-Reporter」(以下、i-Reporter)」を採用した。今年6月には全社員にiPadを支給、iPadで各店舗の写真を撮影し、i-Reporterでレポートする仕組みを構築したのだ。地域活性化部 部長の井上千鶴氏は、同社で展開してきたiPad、iPhoneから現場の点検業務と報告書作成が現場ででき、集計や分析に報告書の内容がデータとして活用できることから、i-Reporterの導入を決定したと語る。

「これまで点検業務で使っていた、当社サービスのHandyBUZでは、撮った写真がそのまま報告書になり非常に手軽でしたが、集計可能なチェック項目を入れたり、写真への書き込みによる状況報告や顧客サインをいただくなどの機能がありませんでした。各店舗のデータを集めても、短期間でデータ分析してお客様にフィードバックすることができないという課題がありました。i-Reporterの導入によって、こうした課題を解消できると考えたのです」(井上氏)