ニュージーランドには3つの世界遺産が登録されており、1990年に自然遺産に登録された『テ・ワヒポウナム』は4つの国立公園から構成されている。その公園のひとつであるマウント・アスパイアリング国立公園は、山脈や氷河、渓谷、湖などが織り成す幻想的な世界が広がっていることでも有名だ。

ヘリコプターで氷河をまとった山の上に到着

マウント・アスパイアリング国立公園に接する南島のワナカは、ニュージーランドの人たちからも避暑地として愛されており、シーズンを問わず様々なアクティビティーが楽しめるところ。国内4番目の大きさを誇る透明度の高い湖は、大自然の美しさをも映し返してくれる。今回、マウント・アスパイアリング国立公園周辺で様々なアクティビティーを提供している「ワナカ・リバー・ジャーニー」のツアーに参加してみた。

世界遺産の間を走り抜ける

同社ではジェットボートやヘリコプターを用いたアクティビティーを用意しているが、実はジェットボートはニュージーランド発祥だという。ちなみに、バンジージャンプもニュージーランド発祥のアクティビティーである。自然豊かなニュージーランドを思いっきり楽しむために生み出された、と言っても過言ではないだろう。

ジェットボートは外から見えるプロペラは付いていないため、水深数cmの浅い場所でも航行可能。幅の狭い渓谷や小石の積もった河原の間も、爽快に走り抜けることができる。走行中、ドライバーが手をクルクル回したら、それは180度回転する「スクリュー」の合図だ。激しい水しぶきをあげながらスクリューした後、「川に落ちた人はいないかな」とおどけながら参加者の様子をうかがうドライバーにも、自然と親しみを感じてしまう。

小石の積もった河原も走り抜けられるのがジェットボートの魅力。ドライバーが手をクルクル回したら「スクリュー」が始まる

物語が始まりそうな風景

次は空の旅へ。ヘリコプターはその日の気候によって高度を調整するが、条件に恵まれれば9,000フィート近くまで上昇するという。山はうっすらと緑をかぶったもののほか、氷河を抱えたものものある。訪れた12月はニュージーランドでは夏にあたるのだが、山を覆い隠すように広がる氷河は夏であることなどどこ吹く風。しっかり顕在だ。

9,000フィート近くまで上昇するヘリコプターにのって空の旅へ

「氷河の上に降りてみようか?」というドライバーの提案で、着陸可能な氷河の上で小休止。大自然が織り成す幻想風景を前にして、なぜピーター・ジャクソン監督が「ロード・オブ・ザ・リング」や「ホビット」のロケ地にニュージーランドを選んだのかが少し分かった気がした。確かに、この場所から物語が始まりそうなのである。

上空から見える白い点は羊たち

ヘリコプターが日の光を受けて虹を作り出していた

青白く輝く氷河の層も。氷河の上は地上よりもひんやりしていたが、頬に当たる風は心地よかった

空の旅の後は森の旅、ブナの木が生い茂るマウント・アスパイアリング国立公園内の中へ。公園はこけむす森になっており、枯れたブナは栄養となって新芽のブナの成長を助けるなど、ブナたちは世代を越えて豊かな森を守っているそうだ。公園内を流れる川の先には滝もあり、心身ともにやすらげる。

緑で目を癒すも良し、滝の音に耳を澄ませながら深呼吸するも良し

ワナカの中心街では、ハイカーの姿を見かけることも多い。雄大な自然が街からもアクセスしやすいところに広がっているワナカで、爽快なひとときを堪能してみてはいかがだろうか。

※記事中の情報は2014年12月取材時のもの