開催中のCES 2015のLenovoブースにて、予告されていたとおり「ThinkPad X1 Carbon」新世代モデルの実機を見ることができた。前世代機でのソフトウェアキー導入から一転、6列物理キーボードが復活するというが大きな特徴だが、見所はほかにもある。ただの先祖返りでは無いのだ。

6列物理キーボードが復活した「ThinkPad X1 Carbon」新世代モデル

まず気になる新X1 Carbonの日本市場への投入時期だが、例によって「未定」(と言っても例によってすぐ発表となりそうだが)。なお、北米市場では1月中の出荷開始が決まっており、価格は1,249ドルから。この北米向け製品の情報では、CPUは第5世代Intel Core、メモリは最大8GB、ストレージは最大512GBのPCIe SSD、ディスプレイは14型WQHD液晶(タッチ対応)、バッテリ駆動時間は10.9時間、OSはWindows 8.1。本体のサイズも公開されており、W331×D226.5×H17.7mmで、重量は約1.31kgだ。北米版では4G/LTEのWWANも対応する。

天板を閉じると前世代と区別がつかないかも

ヒンジはもちろん180度ひらく

左側面。左からLenovo独自のOneLink、HDMI、miniDisplayPort、USB 3.0

盗難防止用の白いケーブルがささっているのはUSBポート、右隣の小さなポートは有線LAN用の専用ポート

背面にはSIMスロット

底面は今回も一枚板

さて肝心のキーボードについてだが、そもそも前世代のX1 Cabonでファンクションキー列をタッチ操作のソフトウェアキーへと変更した理由が、同社の製品担当者によれば「ファンクションへはもっと直感的にダイレクトにアクセスしたい。Fnキーとの同時押しは面倒」という"ユーザーの声"があったからだという。それと筆者の記憶では、当時のLenovoは「ビジネスで生き残るには、ThinkPadですら時代にあわせて変わらなければいけない」的な話をして、よりコンシューマ層を取り込みにいっていたと思う。

新X1 Cabonのキーボード

参考までに前世代X1 Carbonのキーボード

担当者の話としては、今回キーボードを再変更した理由もまた、"ユーザーの声"なのだそうだ。前世代のキーボードは(少なからず要望があった上で変えたというのだから当然そうなのだろうが)好評な面もあったというが、それでも特にタッチタイピストやプログラマといったプロ寄りのユーザー層からは抵抗があり、「異なる要望の多数決をとったわけではないが、ユーザーからの"戻して"という声は大きいと実感した」という。

キーボードライトはバックライト

もうひとつ戻ったのはタッチパッドだ。前世代では5つのボタンを内蔵した一枚板のタッチパッドに変更したが、新世代ではこれをThinkPadでおなじみのタッチパッド上辺に独立ボタンが並ぶものへと戻した。ただ実はこのタッチパッド、見た目では2世代前のX1 Cabonに戻しただけっぽいのだが、新規につくり直したものなのだそうだ。具体的には、例えば手をタッチパッドに置いて指を動かす時のピボットポイントを微妙に調整しており、昔のタッチパッドでは上部ボタンに押しても反応しづらいと感じる部分が少しあったそうなのだが、それを改良するなど、かなり細かい微調整だ。

タッチパッドの表面はガラス素材で指の滑りが心地よく、感度も良好。筆者はタッチパッドよりもトラックポイントが好き、マウスすらトラックボールじゃないと嫌という性質なのだが、これは使いやすかった

今回の新しいX1 Carbonは、サイズや重量は前世代からほとんど変わっていないし、キーボードとタッチパッドを除けば見た目もそっくりだ。一方で"中身"はかなり大きく変わったのだと製品担当者は説明していた。まず、この時期の新製品だけありCPUがBroadwellベースへと移行、展示機ではIntel HD Graphics 5500を統合するIntel Core i7-5500U(2コア/4スレッド、2.4~3.0GHz、TDP15W)を搭載していた。

また特にアピールしていたのがストレージで、SATA SSDではなくPCIe SSDとしたことで、80%高速化したそうだ。展示機はSamsungの「MZHPV256HDGL-000L1」という型番のモジュールを搭載しており、筆者の勘違いでなければ、この型番は昨年のSamsung SSD Global Summitで発表されたM.2モジュール「SM951」の256GBモデルのはず。SM951はPCIe 2.0/3.0両対応の製品で、PCIe 3.0 x4接続ならリード最大2,150MB/秒、ライト最大1,550MB/秒で、PCIe 2.0 x4接続でもリード最大1,600MB/秒、ライト最大1,350MB/秒とかなり速い。購入時期などで同等製品に変わる可能性もあるだろうが、少なくともこのクラスのSSDは期待するなら、転送速度に限った高速化で言えば80%どころではない。

SSDはSamsungの「MZHPV256HDGL-000L1」。おそらくSamsung製M.2モジュール「SM951」の256GBモデル

細かいところでは液晶も、上位の14型2,560×1,440ドットはタッチパネルありと前世代から変更ないが、エントリーはタッチパネルなしで14型1,920×1,080ドットと、前世代のエントリーが1,600×900ドットだったところから高解像度化した。ちなみに公開スペックの厚さ17.7mmというのはノンタッチ液晶を搭載した場合で、タッチパネルにするともう少しだけ厚くなるそうだ。

今回もWQHDの高解像度パネルを選択できる

ほか新X1 Carbonにからむ小話として、ThinkPadの生産台数がついに1億台を達成したそうだが、その記念すべき1億台目に工場で生産されたのが、量産中の新X1 Carbonのうちの1台だった。1億台目の新X1 Carbonには「EVE」(アダムとイブのイブ)という名前もつけられ、CES 2015の同社ブース内に展示されていた。CES終了後は、イベント展示などで世界中をまわることになるらしい。

ThinkPadの生産台数が1億台を達成

1億台目の「EVE」

ほかのLenovoブースで見かけた諸々

一瞬「何でここに」と思ってしまったLenovoブース内のMotorolaコーナー。昨年Lenovoに買収されたからなのだが、まだ見慣れない

「AnyPen」という同社独自の新技術を搭載するYOGA Tablet 2。通常の静電容量方式だと指または専用ペンで操作するところ、AnyPen技術によりどんなものでもペン上であれば読み取ってくれる。だからといって感圧方式を組み込んだわけでもなく、静電容量方式で何かしらを工夫して実現しているらしい。詳細は不明

これまで大画面モデルのなかったThinkPad YOGAに15型モデルが登場。ワコムのデジタイザペンを備え、GPUもBroadwell統合からGeForce 840Mまで選べる