ユニットコムグループが、iiyamaブランドで提供するデスクトップPCの新製品として送り出したのが「雅Project」だ。タワー型デスクトップPCのケースに「雅」をテーマとしたデザインを取り入れたことで、和風なテイストを持ったPCができあがった。今回は、この「雅Project」のPCを紹介しよう。

雅Project PC

和風な雰囲気を醸し出すデザインのケース

「雅Project」は日本的なPCを作ろうという狙いで作られた製品だ。PCと和風テイストといえば、竹や木などを直接素材として採用したマシンが過去に存在したが、「雅Project」の場合は素材自体は樹脂などで、重さや扱い方自体はごく一般的なPCケースと違いがない。それにも関わらず、独特の味があるデザインとなっている。

ケースを一見すると、縦横のまっすぐなラインが目立つ。フロントフェイスは上下に通して細い溝が刻まれている。しかし小さな板を重ねたような形でもあるため、縦のラインばかりが強調されているわけでもない。縦横のラインがはっきりとしており、曲線がほとんど見えないあたりは、たしかに「和室」をイメージさせる。

フロントパネル全体が縦横の直線ラインの目立つ特徴的なデザインとなっている

この板を重ねたようなデザインは「鎧張り」を意識しているのだという。「鎧張り」とは建物の外壁などで使われる、板の一部を重ねて貼る手法だ。屋根瓦のように素材の一部を重ね、逆側が少し浮くイメージだといえばわかりやすいかもしれない。「雅Project」のケースの場合、下の板の上部分に上の板が被さるような形のデザインになっている。

小さな板を少しずつ重ねて貼ったような「鎧張り」の雰囲気

素材はマットな樹脂で、見ようによっては木のような雰囲気もある。PCのケースであることを考えれば当然この各板の内側には光学ドライブやフロントインタフェースがあるだろうということはわかるが、外見からはどこが開くのかはっきりしない。ボタンだらけ、穴だらけが当たり前なPCケースとしては非常にすっきりとしたシンプルな印象だ。

電源を入れると、さらにこの板を重ねたようなデザインが際立つ。下段に3つ、ダウンライトが配置されているのだ。このライト自体は一番下のものがHDDのアクセスランプになっているが、残り2つは何かの役割を持っているわけではなく装飾的なものだ。ぼんやりと暖かい光り方で、縦に刻まれた陰影を濃く見せるこのライトは、「行灯」をイメージしているらしい。

フロントパネルの下部3つにダウンライトが配されている

暗いところではぼんやりと暖かい光り方になるライトは行灯をイメージしたもの

全体的に露骨な「和」の押しつけはないながら、どことなく和風のイメージがある。それでいてPCケースらしいデザインでもあり「和モダン」という感じでまとめられているケースだ。

内部構造は扱いやすいスタンダードな仕様

見た目に凝ったモデルではあるが、実用性を犠牲にしているわけではない。ぱっと見た時にはわかりづらいかもしれないが、電源ボタンは本体右上の角近くという、押しやすい位置に配置されている。そのすぐ下2段が光学ドライブを挿入できる5インチベイで、その下に内蔵の3.5インチベイが連なっているというのもごく一般的な構造だ。

試用機では一番上の5インチベイに光学ドライブが取り付けられていた

通気口はフロントパネルの下部と、本体左側面にある。内部には十分な余裕もある。本体の開閉は左サイドパネルが丸ごと外れる。独自ケースは癖がありすぎると扱いに困ることもあるが、内部的には一般的なつくりだから戸惑うことはないだろう。見た目が珍しいわりに、ごく普通に使えるというのはよいところだ。

本体のフロント下部に大きな通気口がある

本体右側面はすっきりとシンプルだ

本体左側面に大きなメッシュ状の通風口がある

特にユニットコムのマシンを選ぶユーザーには中級者以上が多いと考えられるが、購入後にパーツの変更などを自分で行いつつ長く使いたいと考えている場合でも、無理なく対応できるケースとなっている。

左側面のパネルを外して内部にアクセスできるつくりと、中の配置はごく一般的なものだ

インタフェースは、背面にUSB2.0ポート×4、PS/2ポート×2、RGBポート×1、DVIポート×1、有線LANポート、オーディオコネクタ類がある。

背面には試用機の場合USB2.0ポート×4、PS/2ポート×2、RGBポート×1、DVIポート×1、有線LANポート、オーディオコネクタ類があった

フロントインタフェースは、「鎧張り」パネルの一部の中にあるわけだが、この開き方が何とも独特。パネルの一部を押すと蓋が開くという事自体は普通なのだが、その開き方がかなりゆっくりなのだ。元々下に向かって少し開いた形で取り付けられている板が、ゆっくりと斜め下に向かってせり出しながら降りる。これは「襖」をただしく開閉する時の静かに開く様子を表現したのだそうで、高級感を感じられる。

内部にはUSB3.0ポート×2、USB2.0ポート×2、microUSBポート×1、メモリーカードスロット、オーディオコネクタ類がある。普段頻繁に利用することになるフロントインタフェースがこれだけ充実していればかなり便利だろう。

ゆっくりとせり出す襖の動きをイメージしたというカバー

フロントインタフェースはUSB3.0ポート×2、USB2.0ポート×2、microUSBポート×1、メモリーカードスロット、オーディオコネクタ類となっている

フロントインタフェースがどこなのか、光学ドライブがどこに入っているのかがわかりづらいケースではあるが、購入時にはそれを示すシールが貼り付けられている。すぐに使い慣れるだろうが、最初はシールを頼りに使用し、慣れたら剥がして見映えよく使うというのがお勧めだ。

どこに何が入っているかわかりづらいケースだが購入時にはシールでわかりやすく示されている

試用機の構成では、きびきびと使いやすい

ユニットコムのマシンだけに、販売時には各種カスタマイズを行うことが可能だ。また今回試用しているのは、あくまでも試用機であるため販売されるモデルとは違いが出る可能性もあるが、性能評価を行ってみた。

試用機の構成は、CPUにIntel Core i5 4460を採用し、8GBのメモリを搭載したものだ。ストレージは120GBのSSDと1TBのHDDを組み合わせている。グラフィックス機能はCPU統合のIntel HD Graphics 4600だ。

Windowsの快適さの指標となる「WinSAT」の実行結果を、「Windowsエクスペリエンスインデックス」の項目にあわせて紹介すると以下のようになる。

Windowsエクスペリエンスインデックス(WinSAT)
プロセッサ 7.8
メモリ 7.8
グラフィックス 5.2
ゲーム用グラフィックス 5.2
プライマリハードディスク 7.9

グラフィックス機能が少々弱めに出るのはIntel Core i5 4460であることを考えると妥当なところで、全体的にはよい成績といえるだろう。

実際に使っていても、SSDのおかげもあって非常に軽快できびきびとした動きだ。カスタマイズによってさらにユーザーの好みを反映したマシンにもなれるわけで、あまり派手ではないけれど少し凝ったPCが欲しいと考えている人にとってよい選択肢になるマシンになっている。

標準スペック

メーカー iiyama PC(ユニットコム)
型番 MN7260-i5-SR
CPU Intel Core i5 4460(3.2-3.4GHz)
メモリ 8GB(標準8GBx1/最大16GB)
ストレージ 120GB SSD+1TB HDD
グラフィックス Intel HD Graphics 4600
OS Windows 8.1 Update 64bit
LAN 1000Base-T/100Base-TX/10Base-T
インタフェース USB2.0ポート×6、USB3.0ポート×2、microUSBポート×1、PS/2ポート×2、DVIポート×1、RGBポート×1
カードスロット メディアカードロット
サイズ W258×D173.2×H10.8mm/670g
価格 84,980円(税別)

価格、仕様は予告なく変更となる場合があります。最新の情報はiiyama PCのサイトをご覧ください。