2014年10月5日、Mozilla Open Web Day in Tokyoが、3331 Arts Chiyodaにて開催された。これは、Mozillaに関係するさまざまなコミュニティや研究プロジェクト・組織がこれまでの成果について発表・展示を行った。
プロジェクトとその出展者名だけであるが紹介したい。
- FabNavi:ものづくりの過程を記録/共有/再生する次世代ファブ基盤:FabNaviプロジェクト
- Firefox OSアイデアソン報告~デザイナー視点で考える Web 時代のアプリケーション:Mozilla Japan
- Firefox OSタブレット端末:システナ
- Firefox OS開発技術書の展示、販売:TechBooster
- Firefox OS開発者向け端末「Flame」のデモおよび販売:びぎねっとOSSストア
- Firefox 学生マーケティングチーム:Firefox 学生マーケティングチーム
- Foxroid Tips、Foxroid、Claps for WOTの紹介:タスデザイングループ
- KDDIのWeb開発者支援への取り組み:KDDI
- MEANフルスタックによる今どきのWeb開発:html5j
- Maker Party for "Teachers-to-be" in Asia:Global Education Project
- Mozilla DocFest & Liveローカリゼーション:Mozilla翻訳/製品L10Nコミュニティ
- OpenStreetMap/OpenRelief/Race for Resilience:OpenStreetMap/OpenRelief/Race for Resilience
- Parapara Animation:Mozilla Factory
- Rust/Servo ハッカソン:Rust Samurai
- WEBイノベーションハッカソン 受賞者アプリデモ:Firefox OS x HTML5 x LOD WEBイノベーションハッカソン運営チーム
- fabsatプロジェクト:東海大学衛星プロジェクト(TSP)
- gitFAB:SFC*SFC + Mozilla Japan
- 【TECH×ART】Firefox OS 対応カメラアプリcameran:リクルートホールディングス
- ウェブで音と遊ぶ:W3C (World Wide Web Consortium)
- ウェブらしさをキーワードとしたFirefox OS小型ハードウェア開発プロジェクト:Mozilla Factory - オープンハードウェアプロジェクト
- ジョルテfor Firefox OS β 版のご紹介:ジョルテ
- 中大生のFirefox OSアプリ自由研究:中大生のFirefox OSアプリ自由研究会
- 中央大学オープンプロジェクト演習:中央大学オープンプロジェクト演習有志メンバー
- 北国からのFirefox OS:公立はこだて未来大学 塚田研究室
- 夏のFirefox OSアプリ自由研究:夏のFirefox OSアプリ自由研究会
- 学び×FirefoxOS:関西大学総合情報学部松下研究室
- 端末試用会、アイロンビーズ×NFC ワークショップ、AppMakerデモ:Firefox OSコミュニティ
- 3DVR体験-タオバイザー:タオソフトウェア
たとえば、ハードウェアに関しては、まさに自由研究的なものから、開発者向けのFlame、さらにはタブレットと実に幅広く展示されていた。アプリ開発にしても、さまざまな取り組みが展示されていた。Mozillaのコミュニティらしくゆるいものもあれば、実用的な取り組み(後述するKDDI)など、こちらも見ていて楽しめるものが多かった。
特設ステージでは、3つのトークセッションが行われた。
・Web×Fab
田中 浩也(慶應義塾大学環境情報学部准教授、FabLab Japan 発起人)
瀧田 佐登子(Mozilla Japan代表理事)
・Web×モノ×くらし
羽田野 太巴(ニューフォリア取締役・CTO、futomi代表取締役)
遠藤 諭(角川アスキー総合研究所取締役兼主席研究員)
・KDDI Firefox OS端末の取り組みと今後の予定
KDDI Firefox OSプロジェクトチーム
津田 啓夢(Engadjet日本版)
もっとも注目を集めたものが、最後のKDDI Firefox OSプロジェクトチームと津田氏のトークセッションであった。実は、タイトルは開始までふせられていた(このタイトル名は、筆者がつけたものだ)。すでにご存じの方も多いかと思うが、KDDIではFirefox OS搭載端末の出荷を発表している。まず、KDDIとFirefox OSがどのように結び付いたかが語られた。これは図11のようになるが、3年前から可能性を模索していた。ここまでも相当の苦労があったとのことだ。
2012年のNMCには、正式にFirefox OSにコミットすることをKDDIとして表明した。次いで、2014年4月に、Firefox OS搭載端末を年度内に発売することを発表した。その後、確たる情報は発表されなかった。KDDIによれば、開発は継続していたとのことである。そして、今回の目玉の発表となった。まずは、KDDIの社長田中孝司氏がMozilla本社を訪問した際のビデオが上映された。ここでは、新端末が披露されたが、モザイクがかけられていた。そして、次のビデオが上映された。
もっとも注目を集めたのは、Firefox OS搭載した端末が、年内、さらにクリスマスプレゼントに間に合うようにリリースするとの明言であった。会場は、非常に盛り上がった。しかし、こちらでもその姿は、モザイクに包まれたままであった。この詳しい内容は、本誌のこちらの記事を参照してほしい。姿を見ることはできなかったが、プロジェクトチームによると、ネジ1本にもこだわりデザイン性を追及、機能面もパフォーマンスがしっかり発揮できるものとなるとのことである。
KDDI Firefox OSプロジェクトチームでは、まず、10月下旬からハッカソンを予定するとのことだ。そこでは、
- Webを通じてさまざまなモノが繋がっていくWoT(Web of Things)の世界
- Webにおける新しいデザインの考え方
といったテーマで、イベントを開催予定とのことである。また、同日、au Firefox OS Portal Siteをオープンした。こちらでは、イベント情報や最新技術をベースにした楽しみ方の創造、交流を目的とする。
また、当日、ブースでは、デバイス連携プログラミングが可能なツールのGluin、新しいUIやデザイン表現を行うためのFraminなどが展示されていた。これらのツールに関しても一般公開し、さらにGluinで作成したレシピなどもクラウドで共有可能なようにする。プログラミング知識のないユーザーでも、デバイス制御を行うアプリの開発が可能となるだろう。また、Firefox OSが動作する小型ボードなども、ハッカソンで配布予定である。一緒にモノ作り、アイデアを出していきたいとのことだ。
津田氏より、オープンなコミュニティに対し、KDDIとしてどこまでオープンな態度で進めていくかという質問が出された。個人的な意見としながらも、オープンの世界の力は無視できないレベルになっている。それを商品として提供していけるかどうかは、どこまでコミットしていけるかにかかっている。正直、これで利益を出すことは、考えたくても考えられない状況であると語った。
オープンソースのコミュニティの方々と向き合い、何が生まれるか? そこに最大の興味がある。そして、ビジネスに繋がっていくようなものを「共創」していければと思っているとのことである。KDDIが独自にやっていくことはありえないと語った。Gluinなども、将来はオープンソースにする予定とのことだ。
Webで何ができるのか? そのためには、象徴的なデバイスがすくなくとも1つは必要となる。それがFirefox OS端末である。もっと広い世界でWebの可能性を考えていきたいとのことだ。しかし、あまりにも数がでなければ、次のモデルが難しくなる。せめて、Mozilla Open Web Day in Tokyoに参加したユーザーの方々には購入してほしいと、切なる願いも吐露していた(そんな発言にユーザーは拍手で応えていた)。
Firefox OS端末が注目されたMozilla Open Web Day in Tokyoであったが、Webの可能性を期待させてくれる楽しいイベントとなった。今後に期待したい。