グローバル競争の激化やサプライチェーンの変化により、日本のモノづくり業界は大きな転機を迎えている。日本の製造業が再び勢いを取り戻し、新たな「モノづくり」の価値を創造していくためには、何が必要なのか。図研は「次の時代のモノづくり」をテーマに、今年で22回目となる「Zuken Innovation World 2014」を10月16日(木)、17日(金)の2日間、横浜ベイホテル東急で開催する。本イベントでは、過去最多となる国内外の図研ユーザー企業23社の導入事例講演をはじめ、図研製品の開発ロードマップ、アカデミックセッション、テクノロジーパートナーセッションなど、全53セッションが行われる予定だ。図研によると、導入事例を中心に既に満席間近のセッションが出るほどの参加申し込みがあり、例年以上の盛況が予想される。

22回目を迎えた「Zuken Innovation World」に込められた想い

株式会社 図研
常務取締役 EDA事業部長
仮屋和浩氏

「かつて、日本は半導体や民生電子機器を中心に世界の電子機器産業をリードしていました。しかし現在では、欧米のプラットホームプロバイダーが技術トレンドを掌握し、韓国企業が民生電子機器の中核となり、中国や台湾のDMS(設計製造受託企業)が生産の拠点となっています。モノづくりの世界地図が変わりつつある今、日本の電子機器産業は、自動車産業や社会インフラ/医療/FAなどのB2B産業との関係を深めることで、新たな活気をとりもどしつつあります。「Zuken Innovation World 2014」では、世界のさまざまな分野で活躍されている企業さまの取り組み事例をはじめ、最新テクノロジーやソリューションの紹介、ワークショップや情報交換会を行い、モノづくりに携わる皆さまに有益となる情報を提供します」と、図研の常務取締役 兼 EDA事業部長の仮屋和浩氏は同イベントの開催意義を語る。

従来は図研ユーザー向けのプライベートイベントだった「Zuken Innovation World」だが、現在は広く製造業全般のモノづくりに携わるあらゆる企業の経営者、管理者、エンジニアなどを対象としたイベントになっている。さらに今年は、新たな取り組みとして、図研のテクノロジーパートナーとして技術提携している海外CAEベンダーや半導体ベンダー、各分野の教授らによるアカデミックセッションも予定されており、大きな注目を集めている。

幅広い分野の電子機器業界から豊富な事例発表が出そろう

「これまで国内では民生電子機器業界でのイメージが強かった図研ですが、世界的には社会インフラや通信、自動車などさまざまな分野でシェアを伸ばしています。今回のZuken Innovation World 2014では、これまでになく多くの幅広い分野のお客さまから事例を発表いただくことになりました。」(仮屋氏)

国内外企業によるセッションでは、社会インフラ、FA、OA、金融、通信、モジュール部品、制御機器、医療機器などさまざまな分野のB2B製造業に加え、人気の高いトピックの一つである車載機器、自動車用半導体、自動車などオートモーティブ分野における図研の最新ソリューションCR-8000やDS-2活用事例講演が多数行われる。

新製品の先進導入事例の講演では、電子機器設計向けPLMパッケージ「DS-2 Expresso」をわずか3カ月で運用展開した日立産業制御ソリューションズ社や、「E3.series」を採用して制御盤やワイヤーハーネス設計を革新したドイツの包装機器メーカーWindmoller & Holscher社などがセッションを行う。

また、仮屋氏は次のように語っており、効率を重視した従来の分業型の設計製造プロセスばかりでなく、システム全体を考慮した全体最適による設計製造プロセスの重要性についても言及した。

「分業しすぎてシステム全体や設計製造プロセス全体が見えないままモノづくりをしていては競争力のある製品を生み出せない分野もあります。国内外の先進企業の取り組みは、多くのモノづくり企業にとって新しい気づきになることでしょう」

電子機器設計者や解析スペシャリスト向けのセッションも拡充

「EMC解析分野で著名な京都大学の和田修己教授をはじめ、実装分野で標準化を推進する福岡大学の友景肇教授、SI/PI解析分野で活躍されている静岡大学の浅井秀樹先生、力学系解析で話題の横浜国立大学の于強教授と、注目度の高いテーマで最先端の研究を行っている4名の教授にアカデミックな立場からのセッションを行っていただきます。」(仮屋氏)

アカデミック講演以外にも、MathWorks Japanによる電子機器設計エンジニアの方々に向けた、MATLAB/Simulinkの有効な活用方法を紹介するセッション、Continental IT Automotive社が欧州での機能安全に対応した設計プロセスモデルによる品質保証のアプローチ方法や認証活動などを説明するセッションなど、電子回路/基板設計者や技術系IT管理部門の方々ばかりでなく、回路設計者、システム設計者、解析スペシャリスト、品質保証担当者など多くのエンジニアに有益なセッションが用意されている。

米国西海岸の最新技術動向も

ほかにも、図研が昨年、新たな研究開発拠点としてシリコンバレーに設立した「Zuken SOZO Center」のエグゼクティブ・ディレクター Humair Mandavia氏による、米国西海岸における各デバイスベンダーやプラットホームベンダーの最新技術動向の紹介や、図研の米国西海岸での活動状況に関するセッションが用意された。

「さらに、Design Force、E3.series、Cabling Designer、半導体実装EMCなどをテーマとしたユーザー会方式のワークショップを実施します。ワークショップでは、弊社の開発エンジニアが直接、お客さまと会話する機会を設けユーザーさまの声をダイレクトに受け止めます。さらに弊社トレーナーのサポートを受けながら、Design Forceを用いた設計検証などを体験いただけるDesign Force Experienceも用意させていただきます。これらの製品を導入いただいているユーザーさまだけでなく、検討中のお客さまにもぜひ参加いただきたいです」(仮屋氏)

2日間、全57セッションにわたって行われる「Zuken Innovation World 2014」。自動車や家電、エレクトロニクス関連の企業はもちろん、産業機器、医療機器、FA機器などのB2B製造業の開発/設計に携わる企業にとっては、設計環境やプロセス、仕組みの変革について大きなヒントが得られるイベントになるだろう。

本イベントの案内・参加登録サイトはこちら
Zuken Innovation World 2014 YOKOHAMA
開催日程:10月16日(木)、17日(金)
会場:横浜ベイホテル東急