成田を拠点にレジャー・リゾート路線を展開している低コスト航空会社(LCC)のバニラエアが、国内線の沖縄(那覇)・札幌(新千歳)、国際線の台北(桃園)・ソウル(仁川)に続く第5路線として、7月1日より運行しているのが成田-奄美大島線である。「LCCって窮屈そう」「LCCはただ移動できるだけでいい」と言う人もいるかもしれないが、実際に奄美大島線を利用して実感したことは、「安いだけじゃないLCC」ということだった。

海に負けないくらい青い空の奄美大島。バニラエアの白さがさらに映える

JALの1/3~1/2の料金で奄美大島旅

7月におけるバニラエアの搭乗率を見てみると、国内線は77.5%という中で、奄美大島線は80%を超えており、未発表の8月は7月を上回る搭乗率が見込まれている。奄美大島線は1日1往復を片道5,500円から設定。同路線を運行しているJALも、10月26日から通常運賃より6割以上安くなる先得割引を展開するが、最安値でも1万6,000円代ということを考えると、バニラエアを選択するメリットは大きい。

各空港にはカウンターのほか、自動チェックイン機も設置している

7月には自動チェックイン機を各空港に設置。従来通り、カウンターでも対応してくれるが、時間がない時にもスムーズにチェックインできるのはありがたい。なお、LCCでは預け荷物は有料ということが多いが、バニラエアは手荷物を20kgまで無料で預かってくれる(一部キャンペーン運賃を除く)。「旅先であれもこれも買いたい!」という気持ちを分かってくれるサービスである。

また、成田空港(バニラエアは第2ターミナル)の搭乗ゲート前にはバニラエア直営のショップ「Vstore」があり、ここで購入したものをそのまま機内に持ち込んで飲食することも可能だ。ショップでは東京土産のほか、バニラエアのオリジナルグッズも発売。朝一のフライトにも対応できるよう、05:30から18:00まで営業している。

バニラエア直営のショップ「Vstore」

バニラエアの搭乗口があるロビー。隣には春秋航空日本の搭乗口がある

機内では話題のクリームパンを…だけじゃないサービス

客室乗務員に出迎えてもらって機内へ

搭乗案内後はいったんバスに乗り、鮮やかなブルーとイエローの制服が印象的な客室乗務員の案内で機内の中へ。奄美大島線のA320は、横3列の座席が左右に合計30列の全席180席を搭載。なお、ジェットスター・ジャパンやピーチ・アビエーションもA320・180席仕様となっている。

奄美大島までは片道約2時間。成田を10:30に出発するフライトなので、機内でちょっと早いランチを楽しむのもいいだろう。8月からは、パルメザンチーズをトッピングできる「秋の訪れ 3種のきのこのクリームソース和えリガトーニ」(700円)と、バニライエローのライスが鮮やかな「黄色い誘惑 サフランライスのハッシュドビーフ」(700円)が仲間入りした。

中でも機内食で不動の人気ナンバーワンなのが、「バニラエア特製 とろ~りクリームパン」(250円)である。バニラエアの焼き印がされた手のひらサイズのクリームパンは、見た目以上にずっしりとした重さ。中を割ると隙間なく詰められたカスタードクリームがとろっと出て、ほのかにバニラが香ってくる。クリームはもちっとしたパン生地との相性も良く、リピーターが多いというのにも納得である。

横3列の全180席は、国内のLCCと同タイプ

笑顔をたやさず、気持ちのいいサービスを提供

「秋の訪れ 3種のきのこのクリームソース和えリガトーニ」(700円)

「黄色い誘惑 サフランライスのハッシュドビーフ」(700円)

「バニラエア特製 とろ~りクリームパン」(250円)。便によっては売り切れになることもある

機内での楽しみ方はほかにもある。バニラエアでは、旅先で使えるクーポン付き旅先案内誌を機内で配布している。成田を含む就航地での遊び方を提案する旅レポートとともに、アクティビティーやグルメ、ショップなどでオプションが受けられるクーポンも付いているので、まだ現地での予定を立てていない人もこれを参考にしてみるといいだろう。

クーポン付き旅先案内誌を活用して旅先でもお得に

機内ではオリジナルグッズも販売している

ギャレーの様子

ラバトリーの様子

バニラエアを利用したこの日、東京では冷たい雨が降っていたので油断していたのだが、奄美大島は30度を越える日差しだったため、急いで空港内のショップにて帽子を購入。200円ちょっとで購入できるという良心的な値段に、「奄美、いいとこ」などと早速、奄美大島の良さを実感した。なお、奄美空港の屋上からは飛行機が飛び立つ姿を眺めることができるので、時間がある人は立ち寄っていただきたい。

空港ではスタッフがお出迎え。奄美大島特有の熱気とともに旅の高揚感が増す

奄美空港の屋上

成田に出発する飛行機をスタッフがお見送り

バニラエアは11月に香港線を、2015年2月には高雄線の就航を予定している。今まで縁遠かった旅が値段の安さで近くなり、サービスの充実で親しみを感じる、そんなきっかけを提供しているバニラエアを活用して、次の旅先を考えてみるのも良さそうだ。

※記事中の情報・価格は2014年8月取材時のもの。価格は税込み