外に持ち出す

これで完成のはず、ということで外に持ち出してみた。Raspberry Piを動かす電源には、市販のモバイルバッテリを使った。バッテリ容量にもよるが、5,000mAhくらいなら7時間は余裕で動く。ただ、出発時から電源を入れっぱなしだと無駄なデータが多くなってしまうので、目的地に到着してから電源を入れることにした。

今回は、東京都・新宿の高層ビルに行ってきた。1つ目のビルでは、45階まで55秒という説明のあとにエレベーターのドアが閉まる。気圧の変化を見ると確かに55秒程度かかっていることが分かる。

もう1つのビルは、29階まで直行エレベーターで上ってから、一般エレベーターで下りて上り、最後に直行エレベーターで下りた。一般エレベーターで下りるときは途中停止が2回あり、停止による気圧変化がはっきり見て取れる。また、直行エレベーターのほうが一般エレベーターよりも気圧変化が緩やかで、つまり速度が遅いということも分かる。

気圧の計測で得られたcsvファイルをEexcelで読み出し、データを整理してグラフ化した。グラフの傾きから見て、エレベーターの説明通り、ほぼ55秒で搭乗階から45階まで到達している

こちらは2つ目の高層ビル。直行エレベーターのほうが一般エレベーターより速いと思っていたら、意外なことに遅い(グラフの傾きが緩い)。また、一般エレベーターで下りるときに途中停止が2回あり、これもはっきりとグラフで示されている

なお、新宿の高層ビル群に限ったことではないが、ビルに入ったりエレベーターに乗ったりするときに、警備員による手荷物検査が発生する場合も。基板むきだしのRaspberry Pi、ブレッドボードと乾電池ボックス、モバイルバッテリなど、まず間違いなく怪しまれる。きちんと説明して理解してもらえればいいが、もしダメな場合は素直に入館をあきらめよう。

屋外の色々な場所で気圧を計測して帰宅したら、Raspberry Piに記録されたデータをWindows PCへコピーして、Excelなどの表計算ソフトで加工すれば分かりやすくなる。Raspberry PiからWindows PCへのデータ転送は、本連載の第2回3ページ目を参照してほしい。

駆け足でしたが…

4回にわたって、Raspberry Piのセットアップ、簡単な電子工作とプログラミングを紹介してきた。「小学生からプログラミング」というのは現実的には難しい話で、まずは例題をコピペで動作させ、それを改造していくことになると思う。筆者が「マイコン」に触るようになったのは中学生で、当時やはりコピペでプログラムを入力していた。

本連載ではWindows PCのコンソールからRaspberry Piを動かしたが、これで興味を持ったなら、家庭のテレビ(HDMI入力)にRaspberry Piをつないで、USBキーボードとマウスも追加するのもよいだろう。また、Raspberry Piに接続可能なデバイスは豊富にあるので、あれこれと追加・変更するのも面白い。「課題」が先に立つと嫌になりがちだが、興味を持てば楽しめる。Raspberry Piの場合、書籍でもWebでも資料が充実しており、応用例には事欠かない。機会があれば、別の工作や、Raspberry Piをサーバーとしての使う例などもご紹介したいと思う。