主要3キャリアが相次いで発表、導入している新料金プランでは、各社とも通話定額サービスや複数から選択できるデータ定額サービスを盛り込むなど、ほぼ横並びの内容になっている。そこで、各社の差別化要素のひとつとなるのが、高速通信などのネットワークだ。

ICT総研が7月18日に公表した「スマートフォン つながりやすさ満足度調査」では、2014年7月時点での各社ネットワークの「つながりやすさ・切れにくさ」のユーザーの実感や満足度をまとめている。同調査では、キャリア別のつながりやすさの満足度において、KDDI(au)がトップ、次いでNTTドコモ、ソフトバンクモバイルという結果になった。

本稿では、同調査の結果について見ていくとともに、つながりやすさの満足度でauが首位になった理由を考察してみたい。

つながりやすさ満足度の順位はau、ドコモ、ソフトバンク

ICT総研が公表した2014年7月時点でのスマートフォンのつながりやすさに関する調査では、ネットワークの「つながりやすさ・切れにくさ」に照準を絞り、ユーザーの現時点での実感や満足度を把握することを目的に実施された。調査の対象となったのは、ドコモ、au、ソフトバンクのLTEに対応したiPhone 5s/5cまたはAndroidスマートフォンの利用者、計7,500人。Webアンケートを利用し、7月11日から15日まで調査を行った。

また、つながりやすさ・切れにくさの満足度については、各項目を「満足」「どちらかと言えば満足」「どちらとも言えない」「どちらかと言えば不満」「不満」の5段階で評価してもらい、それぞれ100/75/50/25/0ポイントに換算し、満足度ポイントを算出した。

結果をまとめると、キャリア別の満足度では、auが満足度70.5ポイントでトップ、次いでドコモが66.9ポイントで2位となり、ソフトバンクは59.5ポイントで3位だった。

スマートフォンの「つながりやすさ・切れにくさ」についての満足度

各キャリア別の結果について詳しく見てみると、まず満足度70.5ポイントでトップとなったauでは、アンケートで「満足」と回答した割合が23.2%、「どちらかと言えば満足」とした割合が48.5%とともに最も多く、合わせて7割の利用者が現時点の「つながりやすさ」に満足していた。

また、OS別に見ると、iPhone5s/5c利用者の満足度が74.8ポイント、Android利用者が68.7ポイントだった。「つながりやすさ・切れにくさ」について不満を実感している場面を聞くと、「4G LTEにつながることが少ない」と実感した回答者が、日常的な場面/混雑している場面/旅行先や地方、のいずれの利用シーンにおいても他社より少ない結果となった。

満足度66.9ポイントで2位となったドコモでは、「満足」と回答した割合が17.7%、「どちらかと言えば満足」と回答した割合が48.0%と、合わせて66%の利用者が満足していた。OS別に見ると、iPhone5s/5c利用者の満足度が71.8ポイント、Android利用者の満足度が66.2ポイントとなった。また、「混雑している場面で切断してしまう」(8.0%)、「混雑している場面でXiにつながることが少ない」(6.0%)点などが不満の声として出ている。

ソフトバンクは、つながりやすさ満足度59.5ポイントで3位と振るわなかった。「満足」と回答した割合が13.7%、「どちらかと言えば満足」と回答した割合が38.9%と、合わせて半数以上の回答者が満足しているものの、逆に全体の2割以上が「不満」「どちらかと言えば不満」と実感。OS別に見ると、iPhone5s/5c利用者の満足度は61.4ポイント、Android利用者の満足度が55.8ポイントとなった。不満要因を聞くと、「旅行先や地方でインターネットにつながりにくい」(20.8%)、「混雑している場面でインターネットにつながりにくい」(18.2%)などの割合が高かった。

スマートフォンの「つながりやすさ・切れにくさ」についての満足度とスマートフォンの「つながりやすさ・切れにくさ」についての不満実感

auがつながりやすさ満足度トップになった理由を考える

ここからは、キャリア別のつながりやすさ満足度でauがトップになった理由を考えてみよう。同調査結果で、とくに注目したいのがAndroid利用者のつながりやすさ満足度だ。各社のAndroid利用者の満足度は、auが68.7ポイント、ドコモが66.2ポイント、ソフトバンクが55.8ポイントで、auが最も高く70ポイント近い結果を出している。

さらに、auのAndroid利用者の満足度について詳しく見てみると、2013年7月から12月に端末を購入した利用者では、「満足」または「どちらかと言えば満足」と回答し、満足している人の割合が67.4%となっているのに対し、2014年1月から6月に端末を購入した利用者では、同様に回答した満足している人の割合は75.0%と顕著に伸びている。

今年に入ってから、auのAndroid端末を購入した人のつながりやすさ満足度が顕著に高いことがわかるが、その要因として考えられるのがauが2014年夏モデルから導入した「キャリアアグリゲーション(CA)」「WiMAX2+」という新技術だ。

CAは、次世代高速通信規格「LTE-Advanced」の主要技術のひとつで、2つの周波数帯域をまとめて、1つの帯域のように使って通信速度を向上させるという技術。auの場合、800MHz帯と2.1GHz帯を束ね、下り最大150Mbpsの通信を可能としている。また、WiMAX2+は、UQコミュニケーションが提供する超高速モバイルインターネットサービスで、東名阪や全国主要都市(一部)のエリア内では下り最大110Mbpsの通信が可能。

auの2014年夏モデルの人気機種である「Xperia ZL2 SOL25」「GALAXY S5 SCL23」といった端末では、CAとWiMAX2+のどちらにも対応しており、これらのCA/WiMAX2+対応端末を購入した人のつながりやすさ満足度の高さが、au利用者全体の満足度を押し上げる一因となったと思われる。

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今回のICT総研の調査では、ネットワークのつながりやすさの満足度でKDDI(au)がトップとなった。その一因となったと考えられるのが、同社が2014年夏モデルのAndroidスマートフォンより導入したCAとWiMAX2+の効果だ。

auでは、すでに人口カバー率99%を達成している800MHz帯、6月末時点で人口カバー率90%を達成した2.1GHz帯、それら2つのLTE網を束ねるCA、さらにはWiMAX2+を加えることで、ネットワークを強化する取り組みを行っており、それが今回の満足度トップという結果につながったと見ることができる。

主要3キャリアの料金プランがほぼ横並びとなる中、差別化要素となる各社のネットワークの取り組みに今後も注目していきたい。