山小屋は宿泊以外でも活用できる

富士山頂までには4つのルートがあり、その全てのルートに山小屋がある。山小屋には宿泊施設としての役割だけではなく、水や食料などが補給できる売店として、悪天候の場合の避難所としての顔も。さらにはトイレが使える休憩所としての利用も可能。「全て自分で」という登山も楽しいが、山小屋を頼りにして登山のプランを立てれば、装備などの面でシンプルに登山を楽しむこともできる。

山小屋の宿泊予約は早めに

各山小屋の予約はWeb上から行うことができるが、ハイシーズンの、特に週末は登山客が集中するため、早めの準備がおすすめ。また直接の予約はしなくても、各旅行会社で「山小屋宿泊付きのツアー」も準備されているので、そちらも調べてみるとよい。

一般的に宿泊料金は1泊2食付で8,000円前後、素泊まりは5,000円~6,000円前後。ただ、週末になると週末特別価格となるところも多いため、詳しくは各山小屋に問い合わせてみよう。食事のメニューは夕食がカレー、朝食はおにぎりやサンドイッチなどの軽食が多い。空腹の場合はカップラーメンなども準備されているため、別途購入することもできる。

チェックイン・アウトの時間に注意

設備についてだが、ホテルや旅館というよりも、仮眠所といった方がイメージがつかみやすいかもしれない。基本的に個室はなく相部屋で雑魚寝。身体ひとつ半くらいのスペースが提供され、あらかじめ準備してある布団や寝袋で仮眠する。プライベート空間はほぼないので、隣人が気になる人は耳栓やアイマスクを用意しておくといいだろう。

チェックインの時間は15時頃から20時頃まで。消灯時間が21時頃なので、夕食付きの場合は、消灯前1時間くらいには山小屋に入れるような計画を立てるのが、山におけるグッドマナーだ。

チェックアウトの時間は山小屋によってまちまち。ご来光を見る場合は深夜に出発するため、時間を気にする必要はない。しかしそれ外の場合も、たいがいは7~8時となっている。このあたりも一般的なホテルと同じではない。

夕食後は就寝となるが、消灯後にトイレへ行く場合にはヘッドライトが必要になるので、枕元に準備しておくようにしよう。また、ペットボトルの水も用意してこまめに飲むようにすれば、高山病予防にもなる。

トイレや飲食利用のために小銭の用意を

山小屋は温かい飲食を販売してくれるところもあるため、宿泊のみならず休憩所・補給施設としても利用できる。それを使って、最低限の水や行動食以外は山小屋で調達しながら登る方法もある。レインウエアなどの基本的な装備は準備する必要があるが、荷物は大幅に減らせるため、身軽に登山をしたい場合には有効な方法だ。

食べ物のメニューとしては、カレーやうどんなどの軽食がメイン。ペットボトル飲料やコーヒーなども販売しているが、標高が上がるにつれ金額も高くなる。またトイレの利用は基本的に有料。山小屋に宿泊した場合は無料で使える場合もあるが、1回につき100円~200円程度を払う必要があるので、小銭の準備も忘れずにしておきたい。

山小屋を賢く利用することが、いかに楽に・いかに安全に登山をするかに直結していると言っても過言ではない。

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