「イライラして何もやる気がおきない」という人にお勧めの食材とは……

春。慣れない会社生活に疲れている新入社員や、配置転換・部署異動などで新たな環境になじめないビジネスマンもいるのではないだろうか。そんな日々が続くと、自然とイライラもつのるかもしれない。そんなイライラを抑えるために摂(と)っておきたい食べ物を紹介しよう。

「イライラしているのはカルシウムが足りないからだ。だから小魚を食べなさい」という類いの言葉を、これまで耳にしたことはないだろうか。「イライラ=カルシウム不足」という図式は多くの人が思い浮かべるかもしれないが、これは必ずしも正しくないようだ

エームサービス勤務の管理栄養士・松岡未希子さんは、「イライラには一般的にカルシウムがよいと言われていますが、実はカルシウムがイライラを解消するというエビデンス(科学的根拠)は確立されていないのです」と話す。

ではイライラ解消に役立つものとは何だろうか。その一つに、神経を安定させると言われているアミノ酸の一種「トリプトファン」が挙げられる。トリプトファンは脳内の神経伝達物質「セロトニン」の原材料となる。

セロトニンは生体内でトリプトファンから合成され、脳や脾臓(ひぞう)、胃腸などに多く含まれる。脳の神経伝達などに作用すると共に、精神を安定させる働きがあるとされているため、セロトニンは「幸せホルモン」などと呼ばれることもある。

海外の研究では、神経細胞・ニューロンの細胞壁において、セロトニンを運搬する「5-HTT遺伝子」という遺伝子がセロトニンを運搬しやすい特定のパターンになっている人間ほど、「自分の人生に満足している」と回答した割合が多かったという報告もされている。

この報告は、セロトニンを効果的に運搬するタイプの「5-HTT遺伝子」を持つ人ほど、イライラと対極にある「幸福感」を得られやすいということを示唆している。そのため、セロトニンとそのもととなるトリプトファンは、イライラを抑えるためのキーワードとして、知っておいて損はないのではないだろうか。

松岡さんは、トリプトファンは「乳製品」「大豆製品」「(アーモンドなどの)種実類」「アボカド」などに多く含まれていると話す。

「ちょっと最近怒りっぽいかなぁ……」という自覚がある人は、これらの食物を意識的に摂取してみてはいかがだろうか。

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