2014年4月9日をもってWindows XPのサポートは終了する。それ以降はゼロデイ脆弱(ぜいじゃく)性が発見された場合や、一部のコンポーネントに脆弱性が発生し、Windows XPにも影響が及んでも修正されることはない。そのため、マルウェアの攻撃に対して防御策が講じられず、リスクを抱えた状態になってしまう。

本来であれば既にWindows 7やWindows 8.1を搭載したPCに移行しているのが理想だが、日々の忙しさに追われ、目の前はいまだWindows XPマシンという方も少なくないのではないだろうか。

もちろんWindows XPから、ほかのWindows OSにアップグレードできれば済む話だが、Windows XPからのアップグレードインストールをサポートしているのはWindows 7まで。Windows 8.1へは直接アップグレードすることはできない。もっとも、数年前のPCはパーツ構成も古いため、新しいOSのシステム要件を満たさない場合もある。

Zinstall WinWin Windows 8.1対応版のパッケージ版(LANケーブル付属)。4月4日現在のLeap直販ストアでの価格は10,000円(税込、送料込)

このようなケースでは、Windows 8.1を搭載した新しいPCを購入せざるを得ない。しかし、せっかく買ったPCには当然ながらユーザーデータも入っていなければ、必要なアプリケーションも揃っていない。もし、古いPCの環境を移行できるのなら、それが一番だ。だが、環境移行ソフトの大半はユーザーデータのみを移行するもので、アプリケーションの移行までサポートしている製品は限られる。今回はユーザーデータ、各種設定、アプリケーションまでも簡単に移行可能な「Zinstall WinWin」(図01)の実力を試してみた。

図01 リープコーポレーションの直販サイト。「Zinstall WinWin」にはパッケージ版とダウンロード版がある

Zinstall WinWinは、イスラエルのZinstall社が開発した製品だ。同社は環境移行ソフトを多数リリースしている。発売元は、国内総代理店のリープコーポレーション。もちろんメッセージは日本語化されており、シンプルな操作でWindows XP以降のWindows OSであれば、自由に環境移行できるというものだ。

まずは基本的な機能から確認しよう。Zinstall WinWinによる環境移行の準備は、2台のPCを直接LANケーブルでつなげるだけだ。環境移行ソフトでは、クロス結線のLANケーブルを使う場合が多いが、Zinstall WinWinは2台のPCを直接つなぐ場合でも一般的なストレートLANケーブルが使える。USBケーブルなども不要だ。

またLANを構築している場合は、新しいPCをネットワークに追加するかたちでもよい。同一ネットワークにつながった複数のPCから、移行元PCと移行先PCを指定することもできる。なおZinstall WinWinのパッケージ版にはLANケーブルが付属する。別途LANケーブルを用意する必要がないのはうれしいところだ。

冒頭で述べたように、アプリケーションの移行をサポートしているのが特徴の1つ。具体的な対応アプリケーションはZinstall社もリープコーポレーションもリストアップしていないが、OSに記録されたレジストリ情報やファイル情報を元に、移行処理を行っていると思われる。

アプリケーションの再インストールと再設定を行わずに済むのはもちろん、セットアップCD-ROMが見つからない場合、ダウンロード先を失念してしまった場合、インストール時に必要なシリアルキーが見当たらない場合にも対応できるのは、大きなメリットに数えていいだろう。ただし、移行させたいアプリケーションが新しいOS(ここではWindows 7やWindows 8.1)をサポートしていない場合など、移行先で利用できない場合もあるので注意が必要だ。

それでは具体的な移行手順を踏まえつつ、Zinstall WinWinを使ってみよう。今回はZinstall WinWinのパッケージ版を試用し、移行元PCはWindows XP、移行先PCはWindows 8.1とした。また、移行元PCと移行先PCは、ストレートLANケーブルで直結してみた。

LANケーブルの接続イメージ。PCどうしを直接LANケーブルで接続している

Zinstall WinWinのCD-ROMに含まれる実行ファイルを直接起動すると、自身を展開してから「移行シナリオ」選択を求められるので、「2台のPC間での移動」を選択(図02~04)。なお、移行元PCのHDDを取り外し、移行先PCに取り付けた状態で環境移行する使い方もできる。

図02 移行元PCで最初にZinstall WinWinを起動した状態。移行方法の選択を求められる。今回は「2台のPC間での移動」を選択した

図03 続いて、Zinstall WinWinを起動したPCが、移行元なのか移行先なのかを選ぶ。Windows XPなので、「これは古いコンピュータです」を選択した

図04 これで移行元PCの準備が完了し、移行先PCの検索が始まる

続いて、移行先PCでZinstall WinWinを起動するが、移行先PCが光学ドライブ非搭載の場合はあらかじめZinstall WinWinのCD-ROM内にある実行ファイルをUSBメモリなどにコピーしておくとよい。基本的な操作手順は移行元PCと同じで、異なるのは「これは新しいコンピュータです」を選択するくらいだ。その結果、ネットワーク経由で移行元PCを検出し、移行準備が完了する(図05~08)。

図05 今度は移行先PCでZinstall WinWinを起動。同じように移行シナリオを選択

図06 続いて移行元・移行先を選択。今度は「これは新しいコンピュータです」を選択する

図07 ネットワーク接続したPCの検索が始まり、移行元PCの検出が行われる。これで準備完了だ

図08 移行元PCで起動中のZinstall WinWin画面には、移行先PCの検出を示すチェックマークが付く。図04と比べると分かりやすい

なお、図07のところで「詳細」ボタンをクリックすると、「ソース」(移行元)と「ターゲット」(移行先)が詳細に選べるようになる。これは移行元PCと移行先PCに複数のハードディスクやパーティションが含まれる場合にそれらの取捨選択を可能にするためのオプションだ(図09)。任意のパーティションにチェックを入れることで、必要なパーティションのみ移行することも可能だ。

図09 上記図07の「詳細」ボタンを押すと、移行元PCと移行先PCのハードディスクやパーティションの詳細な選択が可能になる

あとは「進む」ボタンを押せば(図07)、環境移行が始まる。移行プロセスをざっと見ていくと、まず前提条件のチェックや移行前の状態保存を行い、ユーザーファイルのコピーを実行。続いて、アプリケーションを構成するファイルのコピーを行い、各種コンポーネントの統合などを行っている。そのほか、関連付け設定の移行なども確認できた。

今回の試用では、移行元のWindows XPマシンは、アプリケーションやユーザーデータを含めて約22GBが移行の対象だ。Word 2003やExcel 2003 (Office 2003はMicrosoftによるサポートが2014年4月9日に終了)、ATOK 2011、筆まめ Ver.24など、古いアプリケーションをインストールし、マイドキュメントフォルダは10GBほど占有している。

この状態で、移行先PC(Windows 8.1)への環境移行にかかった時間は約4時間40分。アプリケーションの再インストールと再設定を自分で行う手間を省くことができるのは、大きなメリットと言えるだろう。なお、処理中は移行元PC/移行先PCにまったく触れる必要がないため、外出前や寝る前などPCを使用しない時間帯に実行すれば時間を気にする必要もない(図10~11)。

図10 環境移行処理中の画面。ユーザーファイルやアプリケーションのファイル、各種コンポーネントのマージに時間がかかった

図11 移行処理を終えると再起動を求められる。「再起動」ボタンをクリックすれば作業完了だ

結果だが、移行元PCにインストールしたアプリケーションが移行先PCに正しく移行され、Word 2003、Excel 2003などいずれも動作した。ただ、一部のアプリケーションについては、移行後のちょっとした設定が必要になるようだ。例えばiTunesの場合、移行先PCではライブラリが空の状態になるため、驚くかも知れない。しかし、音楽ファイルなどはきちんと移動しているので、iTunesのライブラリ情報を移行元PCからエクスポートし、移行先PCでインポートすれば、元の状態に戻せる(図12)。そのほかにも、アプリケーションにまつわる対処法が用意されているので、使用時はリープコーポレーションのFAQページを参照するとよい。

図12 Windows 8.1に移されたアプリケーションの数々。Windows XP標準のアプリケーションも移行しているが、すべてが動作する訳ではない

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Zinstall WinWinを実際に試して感心したのが、シンプルな設計だ。ソフト本体のインストールを必要とせず、数ステップの操作で環境移行を実行できるため、PCに詳しくないユーザーでも、割と簡単に新しい環境へアプリケーションやユーザーデータを持ち込めるだろう。

移行するアプリケーションやユーザーデータの選択といったステップが存在しないため、PCに慣れたユーザーだとその点に不満を覚えたりするかも知れない。ただ繰り返しになるが、アプリケーションを移行できるのはZinstall WinWinの大きなメリットだ。単なるデータ移動にとどまる環境移行ソフトをもの足りないと思っていたユーザーは、Zinstall WinWinを試してみてはどうだろうか。