シングルマザーの数は増えているが、経済的に困窮しているケースも少なくない

離婚率と未婚率が上昇し、シングルマザーの数が増えている。テレビドラマでもシングルマザーを題材にしたものがあったり、シングルマザー限定のシェアハウスが登場したりと、社会の関心も高まっている。今回は、そんなシングルマザーの懐事情について、ファイナンシャル・プランナーの中島啓子さんに解説していただく。

シングルマザーの就労収入「181万円」

「彼から逃げるようにして離婚しました」――あるシングルマザーの会での体験談です。参加者の離婚理由は様々で壮絶なものもありましたが、その後の生活が厳しいと語る女性たちが多かったのは印象的でした。

それもそのはず。厚生労働省の「平成23年度全国母子世帯等調査結果の概要」によると、母自身の就労収入は平均で年間181万円。それに児童扶養手当等の社会保障給付金や別れた夫からの養育費、親からの仕送りなどを含めても平均収入はわずか223万円と、かなり苦しい生活を強いられています。100万未満の世帯も約30%となっています。

シングルマザーのうちおよそ80%は働いていますが、うち正規職員は約40%、パート・アルバイトが約45%です。子供が小さければ保育料等も必要となり、働ける時間の制約も大きく、仕事と子育ての両立は一筋縄ではいきません。

そんなひとり親家庭を対象に、支援策が用意されています。児童扶養手当は所得によりもらえる金額が異なりますが、多くもらえて月に4万1,000円ほど。こちらに2人目は5,000円、3人目以降3,000円が加算されます。さらに扶養手当の受給者は、他にも受けられる支援があるので、市区町村ごと要チェックです。例えば東京都港区では、JR通勤定期の割引・都営交通無料乗車券・港区コミュニティバス無料乗車券・水道の基本料金免除・粗大ごみ収集手数料の免除などが受けられます。

様々な支援があるとはいえ、シングルマザーの懐状況はかなり厳しいものと言えるでしょう。かくいう筆者も2人の娘を持つシングルマザーです。離婚前、「離婚に向けてのライフプランを実践中」と口にすると、ほとんどの男性に引かれましたが、とても重要なことだと実感しています。経済的な状況をじっくり考えたら、離婚を考え直す夫婦が増えるかもしれませんね。