最近、電車や街中でタブレットを利用している人をよく見かけるようになった。読者の中にも、手にはタブレット、かばんにはノートPC、ポケットにはスマートフォンと、複数端末を持ち歩いている人がいるのではないだろうか。本稿では、そんな読者におすすめのBluetooth HID送信機「BSHSBT04BK」(バッファロー製)を紹介する。

「BSHSBT04BK」の本体サイズはW15.5×D18.3×H7.2、重量は約40gだ。PCに接続したままでも気にならない大きさ

BSHSBT04BK」はPCのキーボードとマウスを使って、スマートフォンやタブレットを操作できるBluetooth HID送信機だ。通常、PCのBluetoothインタフェースはホスト機能のみだが、BSHSBT04BKを使うと、PCのキーボードやマウスをBluetoothデバイス化できる。その上で、Bluetoothホストとなるスマートフォンやタブレットに接続(ペアリング)する仕組みだ。ペアリング先はスマートフォン/タブレットに限らず、Bluetoothホスト機能を持ったデバイスならPCでもかまわない。ノートPCのキーボードを使ってデスクトップPCを操作したり(その逆も)、WindowsマシンのキーボードでMacを操作したり…といったこともできる。

さて、スマートフォン/タブレットにキーボード入力する方法としては、物理的なBluetoothキーボードを別途用意するのが一般的だと思う。しかし、BSHSBT04BKを使えば、普段から慣れたPCのキーボードを利用できるというわけだ。BSHSBT04BKの対応OSは、Windows XP / Vista / 7 / 8、Mac OS X 10.5~10.8、ペアリング先となる対応端末はiOS 6以降のiPhone/iPad/iPod touch、Android 4.0以降のスマートフォン/タブレットとなっている。

接続イメージ

セットアップは簡単だ。PCのUSBポートにBSHSBT04BKを差し込むと、BSHSBT04BKの内蔵ストレージ領域が認識され、外部ストレージとして「VirtualHID」が表示される。この中にある「VirtualHID.exe」を実行すると、操作用のソフトウェアキーボードがPC上で起動する。ソフトウェアキーボードの上部メニューバーで「Bluetooth」-「ペアリング開始」をクリックし、自動検索されるBluetoothホスト(接続先となるスマートフォン/タブレットなど)の中から、任意の端末とペアリングして準備完了だ。

なお、MacでBSHSBT04BKを使う場合は、外部ストレージとして表示された「VirtualHID」内にある「VirtualHID.pkg」ファイルで、ソフトウェアをインストールする必要がある。

外部ストレージとして表示された「VirtualHID」内にある「VirtualHID.exe」を実行する

上部のメニューバーから「Bluetooth」-「ペアリング開始」をクリック

ペアリングが完了したら、接続先のスマートフォン/タブレットでメモアプリなどの文字入力画面を開いて、PCのキーボードでタイピングすればよい。PCのキーボードで打った文章が、PCのディスプレイではなく、近くにあるスマートフォン/タブレットのディスプレイに入力される。最初は奇妙に感じるが、慣れるとスマートフォン/タブレットがPCの外付けディスプレイのように思えてきた。

ソフトウェアキーボードは対応端末に合わせて4種類

PC側のソフトウェアキーボードは、対応端末に合わせて「iPad/iPhone」「Android」「Mac」「Windows」の4種類が選べ、キーボードレイアウトは「US配列」と「日本語」を切り替えられる。ソフトウェアキーボードのファンクションキー部分には、音量ボタンなどのメディアコントロールキーを設けており、スマートフォン/タブレットで再生中の音楽を変更したり、再生を停止したりできる。

ソフトウェアキーボードは対応端末に合わせて4種類を用意

iPad/iPhone

Android

Mac

Windows

US配列

日本語

PC側キーボードのペアリング先は、簡単に切り替え可能だ。PCの画面でソフトウェアキーボードがフォアグラウンドにあると、ペアリング先のスマートフォン/タブレットに文字入力となる。ソフトウェアキーボードがバックグラウンドに行くと、PC側にキーボード入力の制御が戻る動作だ。複数のウインドウを切り替えるように、PC側キーボードの入力先を変更できる。

今回の試用で感じたBSHSBT04BKの魅力のひとつは、この「切り替えのスムーズさ」だ。デスクトップPCの横に置いたタブレットとペアリングして、PC側キーボードでちょっとしたメモを取ってみたところ、PCでテキストエディタや付箋紙ソフトを使うのとほとんど同じように、タブレット側へ違和感なくメモ入力できた。ノートPCとタブレットを一緒に持ち歩いているユーザーは、例えば出先のカフェなどで作業をするときに、ちょっとしたメモはタブレット入力、資料作りなどの作業はノートPCというように、端末ごとに役割を分けて利用するのもよさそうだ。

Nexus 7やiPhone 5sなど様々な端末に対応。最大10台までBluetooth登録できるため、手持ちの端末を切り替えながら利用できる

なお、一度ペアリングしたスマートフォン/タブレットなどのBluetoothホストデバイスは、ソフトウェアキーボードの上部メニューバー「Bluetooth」項目に登録される。次回以降は、ここのリストからワンクリックで接続/切断が可能だ。ペアリング先のデバイスは最大10台まで登録できる。

ふたつめの魅力は、やはり使い慣れた物理的なキーボードで文字入力できることだ。基本的に、スマートフォン/タブレットで長文を書くことは少ないが、日常的にスマートフォンで操作しているアプリ(LINEやメールなど)は、長文を書く場面もある。

特に便利だと感じたのは、文字変換とカーソル移動の2点だ。普段、スマートフォン/タブレットのタッチ操作で文字入力していると、変換候補をうまくタップできずに困ることが多々ある(同じように感じている人はいないだろうか)。PC側の物理的なキーボードならスペースキーを押して変換候補を選べるため、悩みが解消された。また、メモアプリなどで長文を書いている際に、修正したい箇所にタップでカーソル移動するのは面倒だったが(しかも一発で目的の場所に行けない。筆者のタップが下手なだけ?)、キーボードだとカーソルキーで簡単に移動できる。

キーボードなら文字変換やカーソル移動を楽に行える

このほか、「ひらがな」と「英数字」の切り替えもキーボード上で可能だ。スマートフォン/タブレットのタッチ入力では、例えば『Bluetooth 4.0キーボード』など、ひらがな/カタカナと英数字が混在していると入力しづらいものだが、PCのキーボードでは「ひらがな」と「英数字」をキーひとつで切り替えられる。また、Android端末の場合は、ソフトウェアキーボードの右上「マウス」ボタンを押すことで、PCのマウスを使った画面操作が可能だ。

今回、BSHSBT04BKを利用してみてふと気づいたのは、仕事場や自宅でPCを利用する際に、スマートフォンとタブレットが同じ机の上に並ぶようになったことだ。通常は端末ごとに操作を行うが、BSHSBT04BKとメインPC(キーボード)を使って、別の端末をより快適に使用できる。そんなBluetooth HID送信機「BSHSBT04BK」は、日常的に複数の端末を利用するユーザーにぜひ試してほしい製品だ。