Appleは、米国カリフォルニア州サンフランシスコにあるイルナ・ブエナ・アートセンターでプレスイベントを開催した。同イベントで、MacBook Pro Retinaディスプレイモデルの刷新、Mac Pro発売のアナウンス、OS X Mavericksへの無料アップグレード、iLife/iWorkアプリの刷新、iPad Air発表、iPad miniのRetinaディスプレイ対応を発表した。イベントに沿って、順に見ていこう。

米国のイベントでは、まずCEOのティム・クックが登壇

Mavericks:無料でのアップデートを発表

まずはじめの発表は、Mac向け基本ソフト(OS)である「OS X 10.9 Mavericks」のリリースだった。同OSは2013年6月に開催されたWWDC 2013で発表されており、これのリリースとなった。あえて「発売」と書かなかったのは、AppleがMavericksへのアップグレードを無料で今日から配信すると発表したからだ。

最初に発表があったのは「OS X 10.9 Mavericks」。プレゼンターはクレッグ・フェデリギ氏

しかもその対応端末の広さも非常に印象的だった。2007年モデル以降のiMac・MacBook Pro、2008年モデル以降のMacBook Air・MacBook・Mac Pro、2009年モデル以降のMac miniをその対応範囲としており、実に6年前のMacからサポートしている点に驚かされる。その様子はレガシーの扱いに苦しむMicrosoftと対照的に見える。

別の視点から見ると、ハードウェアのためのソフトウエアを提供するという意味合いを色濃くしている。Mavericksのプレゼンテーションの冒頭で、壇上に立ったクレッグ・フェデリギ氏はMavericksの目的について、「あなたのハードウェアを根本的にアップグレードすること」と指摘しており、より多くのユーザーの手に渡るようにしようとしている。 MacのiOSデバイス的な進化を取り込みで、ハードウェアを進化させていきながら、その能力を最大限に発揮するOSを提供するという手法だ。OSとハードウェアの高度な連動によって「体験」を作り出す手法にシフトチェンジした、と見ることができるだろう。

WWDC2013でMavericksについて発表されている中で、iBooksやマップアプリの搭載、カレンダーやSafariの刷新、通知センターのiOS連動、iCloudキーチェーン、マルチディスプレイ、ファインダーのタグ対応、省電力化のためのCPUやアプリ、ブラウザ処理の低減などが既に発表されていた。今回のイベントで追加説明されたのは、バッテリパフォーマンスの向上と、メモリ圧縮、内蔵グラフィックスのメモリ活用効率化だ。

バッテリパフォーマンスが向上したほか、メモリ圧縮、内蔵グラフィックスのメモリ活用効率化が図られている

バッテリーについては、最新のMacBook Air 13インチモデルで、Mavericksにアップグレードするだけで、ウェブブラウジングが最大1時間、iTunesのビデオ視聴が最大1.5時間伸びるとした。またメモリ圧縮については、MacBook Airで標準的な4GBのメモリで6GB分のメモリを利用でき、多数のアプリを開いてもパフォーマンスに影響しにくくなる。そしてメインメモリを活用する内蔵グラフィックスについて、負荷に応じて占有サイズを変化させ、なるべくメインメモリにその容量を割けるようになる。

フェデリギ氏はMavericksのアップグレードについて、OSの根本の進化、素晴らしい機能、新しいアプリの3つを進化のポイントに置いた。加えて、2007年以降のMacで利用可能とし、過去のOSからのOS X 10.6 Snow Leopard以降からアップグレードができる。

2007年以降のMacで利用可能となっており、OS X 10.6 Snow Leopard以降からアップグレードが行える

そして価格は無料

最新のOSに対応する人数を増やすことは、同プラットホーム向けのアプリ開発者の利になる。そのことは、過去にCPUやOSなどのプラットホーム以降を経験してきて、また高い最新プラットホームへのユーザー移行によってアプリ市場を活性化させているAppleにとっても大きなメリットとなる。