マウスコンピューターのゲーミングPCブランド・G-Tuneから、ゲーマー向けノートPCの新ラインナップとなる「NEXTGEAR-NOTE i200」シリーズが発売された。第4世代Coreプロセッサーの「Iris Pro」グラフィックス機能を利用し、これまでのゲーミングノートでは考えられなかった、スリムな筐体を実現しているのが特徴だ。

今回はシリーズに3モデル用意されるバリエーションの中から、SSD+HDDのツインドライブ構成を採用したミドルクラス機の「NEXTGEAR-NOTE i200SA1」に触れ、Iris Proグラフィックスのパワーがいかほどのものなのか試してみよう。

HaswellのIris Proグラフィックスにより薄型デザインを実現した、G-Tuneのゲーミングノート「NEXTGEAR-NOTE i200SA1」

全モデルで「Iris Proグラフィックス 5200」を利用可能

インテルがこの夏から提供を開始した、コードネーム"Haswell"こと第4世代Coreプロセッサー。消費電力削減によるバッテリー駆動時間の拡大とともに、注目のポイントとなっているのが、CPUに統合されているグラフィックス機能の性能が向上したことだ。

これまでのCoreプロセッサーでも、世代を重ねるにつれグラフィックス性能はアップしていたが、第3世代までの内蔵グラフィックス機能は、ゲーム目的のマシンに採用できるほどの水準には届いていなかった。しかし第4世代においては、メインのCPU部分は性能よりも消費電力削減に注力した代わりに、グラフィックス部分で大幅な強化が図られている。比較するCPUのモデルや使用するソフトによって、性能アップの幅は大きく異なるため、一口に述べることはできないが、ざっくりいえば第4世代のグラフィックス性能は、前世代の倍以上になっていると考えて差し支えない。

とはいえ、すべての第4世代Coreプロセッサーで、そこまで強力なグラフィックス性能が得られるとは限らない点に注意する必要がある。第4世代で搭載されるグラフィックス機能には「HDグラフィックス」、「HDグラフィックス 4200」、同「4400」、同「4600」、同「5000」、「Irisグラフィックス 5100」、「Iris Proグラフィックス 5200」と実に7種類が用意されており、末尾の数字が大きくなるほど高性能であることを表している。つまり、Iris Proグラフィックス 5200を搭載したCoreプロセッサーが、最も高いグラフィックス性能を有しているということになる。

このIris Proグラフィックス 5200だが、名称に「Pro」と付くだけあってなかなか豪勢な作りとなっており、プロセッサーのチップ上にキャッシュ用のDRAMを搭載している。通常、CPU内蔵グラフィックス機能はPCのメインメモリの一部をグラフィックスメモリとして使用するが、より高速なアクセスが可能なチップ上のメモリをキャッシュとして利用できることで、一層の性能向上が期待できる。繰り返しになるが、このキャッシュメモリを搭載するのはIris Proグラフィックス 5200だけだ。

第4世代Coreプロセッサーには非常に多くのモデルが存在するが、Iris Proグラフィックス 5200を搭載するものはそれほど多くなく、現在出荷されているノートPCでは、CPU名の末尾に「HQ」が付く、クアッドコア版Core i7の一部モデルに限られている。前置きが長くなったが、今回の「NEXTGEAR-NOTE i200」シリーズでは全モデルでIris Proグラフィックス 5200搭載のCore i7-4750HQ(動作周波数2.0GHz、ターボ・ブースト機能利用時最大3.20GHz)を採用しており、従来ミドルクラスの外付けGPUを搭載したゲーミングノート並みの性能が得られるようになっている。

ゲーミングノートながらUltrabook同等の薄型ボディ

さて、NEXTGEAR-NOTE i200SA1の本体を見てみると、これまでのG-TuneノートPCとは、かなり異なるイメージのデザインに仕上げられていることが一目でわかる。なんといっても特徴的なのが厚さで、折り畳み時で20.9mmというUltrabookと同等のスリムな形状を実現している。主要な熱源となるグラフィックチップを削減したからこそ、可能になったデザインといえるだろう。

ゲーミングノートのイメージを変えるスリムでシャープなデザイン

しかし、冷却系統は決して簡易なものではなく、内部には左右奥に1基ずつ、計2基のファンが設けられている。底面に設けられた吸気口から取り込まれた空気は、内部に熱がこもらないようにパーツのすき間を通り、本体背面の排気口から外部へ出される。外側からは確認しにくいが、排気口部分にはCPUとヒートパイプで接続されたヒートシンクが設けられており、CPUおよび内蔵グラフィックス機能が発した熱を効果的に排出できるようになっている。これらの機構を備えながらも本体重量は約1.8kgに抑えられており、外出先への持ち運びにも対応できる。

本体奥側の両サイドにファンを備え、底面より吸気する

背面に横長の排気口が設けられており、この部分はデザイン上のアクセントにもなっている

ディスプレイはフルHD(1920×1080ドット)表示の14型液晶で、最近のG-Tune製品で主流のノングレアパネルを採用している。ノングレアタイプのパネルは長時間ゲームを楽しむ場合でも疲れにくいという長所があるが、今回のようなモバイル機の場合、移動先の環境によっては窓や照明などの映り込みが避けられない可能性もあるため、ノングレアであることのメリットが一層大きい。

なお前述の通り、これまでのG-Tune製品とはコンセプトの異なるモビリティ優先の製品なので、いくつかの部分では注意が必要だ。まず、ユーザーによる購入後のカスタマイズは考慮されておらず、メモリ増設用の窓などは用意されていない。G-TuneのノートPCでは、知識のあるユーザー向けにメモリの増設やストレージの交換などが簡単に行える構造のものも多いが、「NEXTGEAR-NOTE i200」シリーズでは基本的にBTOオプションによる購入時のカスタマイズのみとなっている。

ハードウェアに関してBTOオプションで変更できるのは、メモリ(8GBまたは16GB)、mSATA SSD(なし/128/256GB)、2.5インチストレージ(1TB HDDまたは120/128/256/512GB SSD)、無線LAN(802.11b/g/n 150Mbps対応またはIEEE802.11a/b/g/n/ac 867Mbps対応のインテルDual Band Wireless-AC 7260)の各所。またディスプレイ出力については、アナログRGB(D-Sub 15ピン)が廃止され、HDMIとMini DisplayPortのみとなっている。プロジェクターなどアナログRGB接続が必要な機器に出力したい場合は、サードパーティのMini DisplayPort用の変換アダプタなどを用意する必要がある。

本体左側面。ディスプレイ出力はHDMIとMini DisplayPortの2系統。有線LANはアダプターなどを使わず通常のケーブルを接続できる

モバイルノートながら3基のUSBポートを搭載(すべてUSB 3.0)。ヘッドフォン端子に加え、モバイルノートでは省略されることもあるマイク端子も搭載しているので、好みのヘッドセット等を利用可能