キヤノンは26日、インクジェットプリンタ/複合機「PIXUS(ピクサス)」シリーズの新製品とマーケティング戦略に関する記者発表会を開催した。会場には、昨年から同シリーズのCMに出演している桐谷美玲さんも登場し、製品や新CMに関するトークセッションを行った。

キヤノン「PIXUS」新製品発表会。左からキヤノン 取締役 インクジェット事業本部長の大塚尚次氏、女優の桐谷美玲さん、キヤノンマーケティングジャパン 代表取締役社長の川崎正己氏、キヤノンマーケティングジャパン 取締役 専務執行役員 イメージングシステムカンパニープレジデントの佐々木統氏

新しいPIXUSのラインナップは、家庭/個人向けの「PIXUS MG7130」、「PIXUS MG6530」、「PIXUS MG5530」、「PIXUS MG3530」(いずれも9月5日発売予定)。各モデルの概要などは以下の別記事を参照いただきたい。

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PIXUS新製品一覧

フラグシップモデル「MG7130」


クラウドサービスとの連携を強化

キヤノンマーケティングジャパン 代表取締役社長の川崎正己氏

発表会では、まずキヤノンマーケティングジャパン 代表取締役社長の川崎正己氏が登壇し、インクジェットプリンタ/複合機の国内市場動向と新製品導入の狙いについて説明した。

川崎氏は「国内のインクジェットプリンタ市場は500万台前後で堅調に推移しているが、ここ数年でスマートフォンやタブレットが普及するなど写真を取り巻く環境は大きく変化した」と語り、キヤノンのユーザーを対象に実施されたアンケート結果を紹介した。

それによれば、「気に入った写真をプリントしたい」と回答した人が63.5%に上る一方で、半数以上が「実際に写真をプリントするのは年に1度以下」という結果になったとのこと。その理由として多かったのが「写真を選ぶのがたいへん」、「パソコン経由でプリントするのが面倒」などで、川崎氏は「プリンタには手軽に写真をプリントする性能が求められている」と結論づけた。

SNSを使うプリンタユーザーの調査(キヤノンマーケティングジャパン調べ)。多くのユーザーがスマートフォンやデジタルカメラで写真を撮影しており、SNSで共有している

そうした状況を解決するため、川崎氏は「今年のPIXUSは『写真に強いプリンタ』をコンセプトに、単にきれいに出力できるだけでなく、いつでどこでも簡単にプリントできるような製品を目指した。具体的には、『新PIXUSクラウドリンク』でクラウド連携機能を強化している」と説明。これは例えば、FacebookやTwitterなどに投稿した写真をコメント付きでスマートフォンやタブレットからプリントできる。

新PIXUS クラウドリンク

同時に、スマートフォンやタブレットでのプリンタ活用を便利にする新アプリ「PIXUS Print」の提供も発表した。同アプリでは、端末内の写真をプリントできるだけでなく、スマートフォンやタブレットの画面上でインク残量の確認などを行うことも可能。

PIXUS Print

川崎氏は「プリントすることで生まれる価値がある。"撮る"ことと"プリントする"ことの距離を縮めるのが我々の責務。今後もキヤノンらしい製品・サービスを展開していく」と語った。

20年の実績をもとに開発した新モデルを投入

キヤノン 取締役 インクジェット事業本部長の大塚尚次氏

続いてキヤノン 取締役 インクジェット事業本部長の大塚尚次氏が登壇し、「世界市場における販売台数は右肩上がりに伸びており、本年も強力な製品を投入して昨年を上回る売り上げを実現する」と宣言。

大塚氏によると、今年は1993年にキヤノン初のフルカラーインクジェットプリンタ「BJC-600」を発売してちょうど20周年に当たるといい、「この20年、キヤノンは最高の写真画質を追い続けてきた」とコメント。

1993年にキヤノン初のフルカラーインクジェットプリンタ「BJC-600」が登場してから20年が経つ

大塚氏は写真の保存が、主にクラウド(SNSやWebストレージなど)上で行われているとし、そうした環境の変化に対応するため「新製品では『PIXUSクラウドリンク』を大きく進化させた」と語った。

PIXUSクラウドリンクは、Webページなどをプリンタ本体から直接印刷できるアプリ。これを強化し、「これまでクラウド上にある写真をプリントするには、アプリを起動して写真を選択し、その写真をダウンロードして端末に保存してから出力用アプリでプリント指示を行う必要があった。新PIXUSクラウドリンクでは、キヤノン独自のサーバを経由することで、そうした煩雑なプロセス抜きにダイレクトにプリントできる仕組みになっている」と説明した。

クラウド上にある写真をプリントするには手間がかかっていた

スマートフォンやタブレット用の新アプリ「PIXUS Print」については、「クラウド上のコンテンツも端末内のコンテンツも簡単にプリントできるのがポイント。これまではPCからしか確認できなかったインク残量などもアプリ上でできるようになっている」とアピールした。

PIXUS Printの機能


新カラバリやガンダムコラボモデルも登場

キヤノンマーケティングジャパン 取締役 専務執行役員 イメージングシステムカンパニープレジデントの佐々木統氏

最後に、キヤノンマーケティングジャパン 取締役 専務執行役員 イメージングシステムカンパニープレジデントの佐々木統(おさむ)氏が登壇し、新製品の特徴について説明した。

佐々木氏は「新製品は、6色ハイブリッドインクを搭載した上位機種を中心にマーケティング展開していく。特にメイン機種となるPIXUS MG7130は、すべてのお客様に最適なプリンタを選んでいただけるよう、ブラック、ホワイト、レッド、ブラウンの4色のカラーバリエーションを用意している」と解説。

従来、上位モデルに搭載していた6色ハイブリッドインクをミドルロークラスまで展開。追加された染色グレーインクは低色彩領域の発色に役立つ

続いて「キヤノンは、これまでも写真プリントの価値を提供するため様々な取り組みを行ってきた。キャラクターコンテンツの提供もそのひとつ。今回は新しいコンテンツとしてガンダムを起用し、コラボモデルやガンプラ連携コンテンツの提供などを行っていく」とした。

なお、コラボモデルはPIXUS MG7130をベースにした「PIXUS MG7130 シャア専用カスタマイズキット」で、9月27日よりキヤノンオンラインショップにて500台限定で販売される予定。

PIXUS MG7130 シャア専用カスタマイズキット。発表会ではガンプラと展示していたほか、展開予定のガンダム専用背景の展示もあった

桐谷美玲さんが新CMの撮影秘話を披露

発表会の後半は、昨年に引き続いてPIXUSのコミュニケーションパートナーに起用された桐谷美玲さんによるトークセッションが行われた。桐谷さんは広告のグラフィック撮影に使用した白いワンピース姿で登場し、新CMの撮影秘話や新製品の魅力を語った。

桐谷美玲さん

桐谷さんが出演する新CMは、「どんな写真も、カンタンキレイでいいねー!」というキャッチフレーズで新PIXUSクラウドリンクによるプリントの楽しさを伝えるもの。桐谷さんは「2年目ということもあり、より一層製品の魅力をしっかり伝えていきたいです」と意気込みを語り、「CMでは『いいねー!』という台詞がポイント。いろいろニュアンスを変えて何度も撮り直したので、100回くらいは『いいねー!』と言いました(笑)。楽しんで見てください」と裏話も披露した。

ちなみに、桐谷さんはCM内で愛犬と初共演を果たしているとのこと。会場でもその愛犬の写真を実際に新PIXUSクラウドリンクを使って自らプリントし、「デジタルカメラやスマートフォンで撮影した写真をFacebookなどにアップするのが主流になってきているので、こんなふうに簡単にプリントできるのはすごく便利ですよね」と新製品の魅力をアピールしていた。

発表会で新PIXUSをアピールする桐谷美玲さん。SNSに投稿した愛犬の写真をタブレットからプリントするというデモを披露していた

2013年秋のPIXUS新CM(写真クリックで拡大します)