年下男性が好きな女性、その理由とは……?

ネットの掲示板などで、5歳6歳は当たり前、ときには10歳も年下の男子を好きになったという相談を目にすることがあります。どうやら、ちまたでは、年下男性が気になる女性たちが増えているようです。それを裏付けるかのように、女性誌では、年下男性との恋愛特集が多く取り上げられています。また、最近のヒットドラマ『ラスト・シンデレラ』でも、年下男性との恋が描かれています。

これまで、一般的な恋愛関係は男性が年上で、女性が年下という組み合わせが多かったはず。どうして、今の女性たちは、年下男性が好きなのでしょうか。そんな、年下男性が好きな女性の気持ちを、恋愛心理学に詳しい平松隆円さんに解説していただきます。

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年下好きの女性が増えているのは、現代社会ならではですよね。当然、昔から年下好きの女性はいたと思いますが、結婚していたりすると公言はできません。女性が晩婚化し、独身でいるからこそあらわれた現象だといえます。

これまで女性は、年上男性と恋に落ち、結婚するというのが一般的でした。それは、社会的に女性が弱い立場にあり、経済的にも精神的にも自分を守ってくれる存在として、男性を選択していたといえます。

そんな男性は、当然ながら年下よりも年上の男性に多いわけです。「引っぱってくれる男性が好き」「頼りがいのある男性が好き」という一般的な女性の言葉は、そのことを証明しています。いわば、女性の年上好きというのは、守られることで生きのびようとする女性の本能なんです。

男女の逆転現象!?

ですが、今の女性たちは経済的にも自立し、男性から守られる必要がない人も多いです。年下男性が好きだという女性たちの声を聞くと、「年下はカワイイ」「自分の思い通りに主導権が握れる」という声を聞きます。実はこれ、年上男性が年下女性とつきあうときに聞く声と同じなんです。

ドラマ『ラスト・シンデレラ』では、「オス化」してきた39歳の独身女性が主人公でしたが、まさしく現実にも女性がオス化しているわけです。そして、そんな女性たちとつきあう年下男性たちのなかには、「年下女性とつきあうと、引っぱっていかないといけないのが面倒」「年上女性には甘えられる」と、こちらも同じように「メス化」しているわけです。 女性が強くなったのか、女性以上に男性が弱くなったのかはわかりませんが、 いわば男女で逆転現象が起こっています。

女性が男性の年齢に関係なく、恋人を選べる社会というのはいいことですが、「オス化」するのは考えものですよね。何も、自分が年上だからリードしないといけないという理由はないんです。男女で、どちらかが何かの役割を担うというのではなく、対等に分担でき、支え合える関係を築いていくことで、オスではなくメスとして、恋愛を楽しんでほしいと思います。

著者プロフィール

平松隆円
化粧心理学者 / 大学教員
1980年滋賀県生まれ。2008年世界でも類をみない化粧研究で博士(教育学)の学位を取得。国際日本文化研究センター講師や京都大学中核機関研究員などを経て、現在はタイ国立チュラロンコーン大学講師。専門は、化粧心理学や化粧文化論など。よそおいに関する研究で日本文化を解き明かしている。NTV『所さんの目がテン! 』、CX『めざましどようび』、NHK『極める 中越典子の京美人学』など番組出演も多数。主著『化粧にみる日本文化』(水曜社)は関西大学入試問題に採用されるなど、研究者以外にも反響を呼んだ。ほかに『黒髪と美女の日本史』(水曜社)など。