『めしばな刑事(デカ)タチバナ』第1巻

牛丼の全国チェーンから立ち食いそば、果てはコンビニ菓子やカップ焼きそばに至るまで、安くてうまいB級・C級グルメのうんちくを語って語って語りまくる漫画『めしばな刑事(デカ)タチバナ』。

その魅力は、何と言ってもメーカーや商品がすべて実名で登場することによる圧倒的なリアリティ! 一人暮らしなどで外食が多い人なら、「あるある!」と何度もうなずいてしまうこと間違いなしの作品です。

そんな『めしばな刑事タチバナ』には、B級・C級グルメに関する名言がてんこもり! グルメ漫画はもともと名言の多いジャンルですが、タチバナはその中でも飛び抜けて名言の宝庫なのです。そこで今回は、マイナビニュースで男女500人に実施した名言アンケートの結果を見ながら、『めしばな刑事タチバナ』の魅力に迫ってみたいと思います。

数多くの珠玉の名言から栄えある第1位に選ばれたのは

「大所帯のサッポロ一番その中でどれが本当の"一番"迷えと言われれば何時間でも迷えるが最近俺がはじき出したファイナルアンサーは……しょうゆ味」

第1巻4話で早々に登場したタチバナの言葉で、『めしばな刑事タチバナ』の真髄を一言で表したといっても過言ではない名言中の名言です。

そもそも「サッポロ一番」といえば誰もが一度は食べたことのある超メジャーな袋ラーメン。筆者も昔からよく食べていましたが、あまりに身近すぎる存在だったためか、「みそ」や「しょうゆ」「塩」といった味の違いについて誰かと熱く語った経験はありませんでした。

そんなサッポロ一番のラインナップや歴史について熱く語り、読者の目からうろこをバシバシ落としてみせた後に続く、「ファイナルアンサーは……しょうゆ味」の迫力ときたら! ……考えてみればそれって単にタチバナの味の好みの話にすぎないのですが、何だか妙な説得力を持って心に刺さるのです。このセリフに「サッポロ一番についてそこまで熱く語れるなんて!」と感心した人にとっては、『めしばな刑事タチバナ』は最高の食のバイブルになりうる作品だと思いますよ。

本作の主人公・立花は、城西署刑事課の警部。40代独身。本庁勤務のエリートだったが、とあることが原因で城西署へ左遷された

城西署の刑事課長・韮沢。立花とはしばしば、めしばな論争を繰り広げるが、時には意見が一致することも

続いての第2位は、コミック3巻で長々と繰り広げられた「カップ焼きそば選手権」で登場したタチバナの名言「"U.F.O.の味"というものは存在しません "U.F.O."は時代ごとに味を変化させるブランドなんですよ」

袋ラーメンと同じく、全国に広く流通しているカップ焼きそばに切り込んだことで、読者の共感を呼んだ一言です。ペヤング、U.F.O.、一平ちゃんという「カップ焼きそば界の不動の3強」(……って知ってました?)について、65ページも使って大激論した「カップ焼きそば選手権」。その中で判明した衝撃の事実、「U.F.O.の味というものは存在しない」には、思わず驚きのあまりのけぞった読者も多いのではないでしょうか。この驚きは、単にその事実に驚いたというよりも、「こんなにもメジャーなカップ焼きそばの味の違いや歴史について、実は我々は何一つ知らなかったのだ」という自身の無知に対する驚きなのです。…続きを読む