アートユニットの明和電機が11日、東京・品川区のスクエア荏原で、2013年の「事業報告ショー」を行った。

明和電機の土佐信道社長

100ボルトで動く電動楽器・ツクバシリーズや奇妙な声を出す機械・ボイスメカニクスシリーズ、魚をモチーフにした製品・魚器(NAKI)シリーズなどのマシーンを、中小企業スタイルの青い作業服姿で開発し続けている明和電機。2009年に発売したオタマジャクシ型の電子楽器「オタマトーン」は日本おもちゃ大賞2010でハイターゲットトイ部門大賞を受賞しており、日本国内のみならず海外でも精力的にライブや展覧会を行なっている。

明和電機の1年間の活動の総括と今年の野望を、ファンに報告する「事業報告ショー」は今年で10年目。お馴染みの青い作業服で登場した土佐信道社長は「電気屋のデモンストレーションだと思ったら大間違い。明和電機はサービス業です! 今日は楽しんで下さい」とあいさつし、ツクバシリーズの楽器を実践しながら紹介。事業報告では、活動期間20年分のアイデアスケッチをウェブ上に公開する「明和電機スケッチライブラリー」の開始や、スペイン人振付師のブランカ・リーとのコラボレーション公演『ROBOT!』の開催などを報告し、土佐社長は「明和電機の楽器はすぐ壊れる(笑)。『ROBOT!』は、3年間で約200公演やるので、試行錯誤した結果、ものすごく丈夫な楽器が出来ました」と、電子楽器の「ノッカー」や「ロボ ブラジル」などの改良に成功したことを明かした。

また、宮尾英水氏と花山慎一氏と共同開発した遠隔操作でお酒を奢るロボット「シャレ・デ・オゴール」や、お風呂の椅子など安価な材料で作られた着ぐるみロボット「フロイスロボ」など新しい製品も発表され、ファンは拍手喝采。今年、活動20周年を迎えた明和電機だが、土佐社長は「20年間色んな事がありました。今日は20年前に初めてライブをやった時の曲を演奏します」と実兄で元社長の土佐正道会長と"経理のヲノさん"こと作曲家のヲノサトルの3人でライブパフォーマンスし、兄の土佐会長は「復習の為に昔の映像を観たけど、自意識過剰な感じで格好良かった」と20年前を思い出してしみじみ。12月13日には、東京・赤坂BLITZで20周年の記念ライブが予定されており、「歴代の工員が30~40人いると思うけど、全員集めたい」と熱く語った土佐社長は、最後に社歌を披露してイベントを締めくくった。

イベント終了後、報道陣の取材に応じた土佐社長は「これからもまとまり過ぎないように色んな開発をやりたい。声をテーマにしたナンセンスな機械を作りたい」と語り、活動を20年続けてきた秘けつを「飽きっぽいから。短気だとすぐ次を追い求める」とキッパリ。「(2001年に)お兄ちゃんが定年退職してからは大変だった。エンジニアで裏に隠れていたので、社長になった時は、人前に出て笑わせないといけないんだと」と苦労もあったようだが、「オタマトーン」のヒットについて「誰でも触れば音が出るのがウケたんじゃないかな。「オタマトーン」がきっかけで明和電機のことを知ってる人が増えた」と笑顔。また、「アイデアは常にある。ファッションとか畑違いのコラボレーションの方が面白いかも」と製作意欲満々の土佐社長は、「今は海で漂流する人の本にハマってる。海の上で人間が生き残るためには、工夫しか手がない。明和電機の開発も似たようなところがあるのかも」と語った。