モバイル市場では現在、タブレット端末が人気を集めている。米Appleが提供する「iPad/ iPad mini」のセルラーおよびWi-Fiモデル、Googleの「Nexus 7」、Amazonの「Kindle Fire HD」など、各社がシェア争いを繰り広げているのは周知の通りである。また3月15日にはMicrosoftの「Surface RT」が3月15日に発売予定で、こちらの売れ行きも注目される。
タブレットの購入希望者が悩む問題の中に、セルラーモデルを契約するか、Wi-Fiモデルを契約するかという点がある。キャリアが提供するセルラーモデルを契約した場合、毎月の利用費は最低でも7,000円前後はかかると見込んでおいた方が良い。利用できるパケット量にも制限があるので注意が必要だ。一方で、Wi-Fiモデルの場合、タブレットとは別にモバイルルーターを購入して持ち歩く必要がある。スマートフォンのテザリングでWi-Fiモデルを利用する場合も同様に、端末を2台持ち運ぶ必要があり、通信を行なっている最中、スマートフォンのバッテリー残量が常に気になるのも精神衛生上良くないところ。安く、便利に、快適にタブレット端末を利用する方法はないものだろうか。
タブレットと一緒に使うならルーターがベスト
そこで、タブレットの利用方法の違いによる、主なメリットとデメリットをまとめてみた。以下に筆者が考える
メリット | デメリット | |
---|---|---|
セルラーモデル | ・通信したいときにすぐ利用できる | ・経済的な負担が大きい |
Wi-Fiモデル | ・毎月の利用料金がかからない | ・無線LANスポット以外で利用できない |
ルーター+Wi-Fiモデル | ・毎月、最小限の利用料金で使用可能 ・通信したいときにすぐ利用できる |
・端末を2台持ち歩かなければいけない |
スマホのテザリング+Wi-Fiモデル | ・スマホとタブレットの長所を活かし合える | ・端末を2台持ち歩かなければいけない ・スマホのバッテリー消費が激しい ・パケット通信量による速度制限がある |
セルラーモデルのタブレットは、余計な機器を持ち運ばず通信したいときにどこでも使えるので、使い勝手が良いが利用料金が高い。3Gの場合、通信速度も遅くなってしまう。スマートフォンなど携帯電話機と2台持ちする場合はさらに高額になる。
Wi-Fiモデル単体では、毎月の利用量を気にせず使うことができるが、無線LANエリアでなければ利用できない。つまり、自宅のWi-Fiスポットや屋外の公衆無線LANサービスを利用する必要がある。利用できるエリアが限られるのは非常に不便だ。
一方、スマートフォンのテザリング機能を利用し、Wi-Fiモデルを使う場合だ。こちらはスマートフォンの通信費でタブレットも利用できるのでコスト面でのメリットは大きい。しかし、スマートフォン側にバッテリー残量の問題が発生し、これら2台の機器に加えて、モバイルバッテリーの持ち運びを検討しなければならなくなる。このほか、パケット通信量により速度制限がかかるデメリットがある。筆者のように、YouTubeやニコニコ動画を視聴するユーザーにとっては、この通信速度の制限は非常に痛い。常に利用量を気にしながらインターネットをしなければならないのだ。
となると、モバイルWi-Fiルーターとの2台持ちが残るわけだ。筆者は、UQ WiMAXのモバイルWi-Fiルーター(以下、WiMAXルーター)を利用することで、こちらが一番「お得に、おもいっきり」利用することができると思う。
モバイルルーターの中でもWiMAXがベスト
なぜWiMAXルーターかと言うと、まず毎月3,880円で高速通信が利用できる。加えて、約94%の人口カバー率と広い対応エリアを実現している。そして何より、WiMAXなら速度制限なしでおもいっきりインターネットを楽しめるからだ。
そこで本稿では、UQ WiMAXの最新モバイルWiMAXルーター「AtermWM3800R」を利用しタブレットを使用してみた。タブレットを選ぶ際の参考にして頂ければ幸いだ。
高速回線のWiMAXなら外出時もサクサク
タブレット端末の屋外での利用シーンを具体的に考えてみたい。まずGoogleマップなどを大画面で利用したい、という人がいることだろう。ナビゲーションやストリートビュー、衛星写真などを利用する場合、回線にはそれなりの速度が要求される。その点、WiMAXの最大通信速度は下り40Mbps/上り15.4Mbpsとなっており、充分な速度が確保されているため、タブレットを最大限に活用できる。
速度制限が無いから外でもパケット量を気にせず使える
タブレットを使って、カフェなどでストリーミング動画や映画などを楽しみたい、というような声もよく聞かれる。言うまでもなく、WiMAXの高速通信は動画の視聴にも向いている。大容量通信を行う場合、セルラーモデルのタブレットではキャリアが定める使用パケット量の上限が気になることだろう。上限値を越えると通信速度に制限がかかり、解除するには追加料金が必要になるからだ。それはスマートフォンのテザリングを利用した場合にも同じことが言える。WiMAXであればパケットをいくら使っても定額なので、動画コンテンツも安心して楽しめる(料金の詳細については、後述を参照)。
小型なのに長時間使えるWiMAXルーターAtermWM3800R
AtermWM3800Rのサイズは約89.6(W)×52(D)×12.8(H)mm、重さは約80g。名刺サイズの大きさでとても軽く、しかも長時間駆動を実現している(連続通信時間は最大約8時間、待機状態では最大約250時間)。「タブレット以外にルーターも持ち歩かなければいけないのは負担」といった不満も、軽量コンパクトな本端末であれば解消するのではないだろうか。
前述のセルラーモデルのタブレットでは、Wi-FiやLTE/3Gの機能をオンにすれば、いつでもどこでもすぐに通信を行える。一方でスマートフォンのテザリングでタブレットを利用する場合、スマートフォンのテザリング機能がオンになっていないとタブレットでは通信できない。これはタブレットとルーターを組み合わせて使う場合も同様。ひと手間多くかかるわけだ。
しかし、AtermWM3800Rではそこも考慮されている。無料アプリの「Aterm WiMAX Tool」を利用すれば、スマートフォンからルーターを休止状態へ移行させたり、休止状態から「リモート起動」させたりできるようになっているのだ。休止状態からの復帰が速いのも本製品の特長。ストレスを感じることがない。Aterm WiMAX Toolでは、そのほかにも電波状況や電池残量の確認、インターネットの接続切り替えなどを行えるようになっている。
タブレットへの給電も可能
スマートフォンのテザリング機能でタブレットを利用する場合、スマートフォンのバッテリー残量が常に気になってしまう。モバイルルーターであれば、そのあたりの心配も無用。それどころか、このAtermWM3800Rではスマートフォンへの給電機能まで搭載している。具体的には、同梱されるUSB給電ケーブルを使ってモバイル端末へ給電することができる。これだけ小さいボディでありながら、モバイルバッテリーの役目も果たすというのが心強い。
外で1日中WiMAXを利用した後は、帰宅してからホームルーターとして活用する。そうすれば翌朝、家を出るときには充電も完了しているというわけだ。筆者も自宅で利用してみたが、大きな液晶テレビでYouTube動画を快適に視聴することができた。
コストパフォーマンスもグッド!!
WiMAXの料金プランで最もスタンダードなものは「UQ Flat 年間パスポート」。1年契約で毎月3,880円でパケット通信が利用し放題となるプランだ。
UQ Flat 年間パスポートを利用してAtermWM3800Rで購入した場合、価格は4,800円となる(3月1日時点のUQ WiMAXオンラインショップでの販売価格)。クレードルとセットで購入した場合は6,800円だ。
UQ WiMAXオンラインショップの利用イメージ。UQコミュニケーションズのWebサイトはこちら |
事務手数料やオプションなどを考えず、ざっくりとした見積もりを出して比較してみたい。キャリアの提供するタブレット端末を新規で購入する場合、2年間の通信費は7,000円×24カ月=168,000円程度はかかる。一方で、まずAtermWM3800R+クレードルを2年間利用した場合、3,880円×24カ月+6,800円=99,920円。執筆現在、Kindle Fire HD 8.9やNexus 7が24,800円、iPad mini 16GB(Wi-Fiモデル)が28,800円で提供されていることを加味すると、タブレット×WiMAXでの2年間の利用料は124,720円~128,720円程度に落ち着きそうだ。タブレットのほかPCや携帯ゲーム機などでもWiMAXを利用でき、家庭用ルーターとしても使用できる利便性を考えれば、AtermWM3800Rがコストパフォーマンスに優れているというのは、言うまでもないことだろう。
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本稿の内容をまとめると、キャリアが提供するセルラーモデルのタブレットは通信費が高く、またパケット制限も気になった。スマートフォンのテザリング利用時は、パケット制限による速度制限とバッテリー残量が問題になっていた。
コンパクトなボディに長時間駆動、高いコストパフォーマンスといった点で、AtermWM3800Rはタブレット端末にも最適なルーターとなっていた。現在タブレット端末の購入を検討している方はもちろん、すでにタブレット利用している人もWiMAXルーターの購入を検討してみてはいかがだろうか?
(執筆:大石はるか)