パナソニックは、ニッケル水素電池「eneloop(エネループ)」と「充電式EVOLTA(エボルタ)」の新製品を、2013年4月26日から発売すると発表した。

パナソニックによる三洋電機の買収後、両社が持っていた2つの充電池製品が並立する状況が続いていたが、同社では「エボルタ」「エネループ」の事業をいずれも継続することを公表。今回も、双方の新製品が登場することになった。

パナソニックによると、エネループは、繰り返し使用回数を引き上げる一方、充電式エボルタは容量を増加させる方向性を打ち出し、両製品の棲み分けを図る考えだが、利用者にとっては、その差はハッキリしないといえよう。

そして、今回の発表で、大きな変更となっているのは、エネループにおいて、これまで電池本体の中央部に大きく描かれた「eneloop」の文字が小さくなり、代わって「Panasonic」のロゴが大きく描かれた点だ。エネループのトレードマークともいえるスタンダードモデルで採用してきた白地に青などのイメージは残しながらも、これまでの充電式エボルタと同様に、「Panasonic」の文字をメインとし、製品名をその横に小さく表示することとしたのだ。

現行のエネループ(上)と、「Panasonic」ブランドが入った新たなエネループ(下)

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だが、新製品に関する記事が公開された2月28日午後1時30分以降、SNSなどでは、「eneloop」の文字から「Panasonic」に変更することに対して、批判の声を中心にした書き込みが相次いだ。その多くが新たなデザインへの不満であり、従来の「eneloop」の表記に戻すべきといった内容だった。

パナソニックが今回の措置を採った背景には、パナソニックのブランド戦略を反映するという狙いがある。

パナソニックの津賀一宏社長は2012年6月の社長就任以来、経営体質の改革に取り組んでいる。そうしたなかで、パナソニックブランドへの集中を掲げ、2013年4月以降、「Panasonic」ブランドとともに表示してきた全世界統一のブランドメッセージである「ideas for life」を廃止。同時に同社の環境活動を示し、社章とともに着用を義務付けた「ecoideas」も取り止めて「Panasonic」のロゴに一本化。ブランド訴求戦略を集中させる考えだ。

パソナニックは、ブランドメッセージの「ideas for life」と環境活動を示す「ecoideas」を廃止する

そうした取り組みのなかでは、今回の「Panasonic」ロゴを大きく表示するデザインを採用したのも、当然のことだといえる。

また、パナソニックにはブランドに対する独自の考え方がある。

それは、ブランドと呼ぶものは、コーポレートブランドの「Panasonic」と、サブブランドの「VIERA(ビエラ)」「DIGA(ディーガ)」「LUMIX(ルミックス)」そして「EVOLTA」に限るというものである。残りの全てはプロダクトネーム、テクノロジーネーム、カテゴリーネームと呼ばれ、ブランドとは位置付けられていない。

直接的な言い方をすれば、あくまでプロダクトネームに過ぎない「eneloop」は、全社的なサブブランドである「EVOLTA」よりも格下に位置付けられているというわけだ。

だからこそ、サブブランドである「EVOLTA」ロゴ表示以上に、プロダクトネームの「eneloop」の文字を大きく表示することは、この上下関係からいえばあり得ないといえる。

年間出荷本数では、2012年度実績でエネループが1,800万本であるのに対して、エボルタは1,150万本。ブランドの位置付けとは別に、出荷量ではエネループの方が上回るという逆転現象がみられている。しかし、だからといって立場が逆転するわけではない。

実際、こうした観点から改めて新製品を観察してみると、小さくなった「eneloop」の文字よりも、従来デザインを踏襲した「EVOLTA」の文字の方が大きく見える。

新製品では、「eneloop」のロゴよりも、「EVOLTA」のロゴの方がやや大きく見える

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