ここ1年ほど、モバイルノートの市場ではUltrabookが一大カテゴリを形成し、人気商品となっている。確かに、薄型軽量なUltrabookは、持ち運びに便利だし、見た目にもスマートで魅力的だ。しかしUltrabookには、そのスリムさとトレードオフになっている面がないわけではなく、特にCPUの選択の幅が限定されている点がマイナス面。これに対し、マウスコンピューターの「LuvBook S」シリーズは、11.6型の小型モバイルノートでありながら、4コア版のCore i7も搭載できる余裕が特徴だ。今回は、Core i7-3632QMとSSDを搭載した「LB-S222X-SSD」(販売価格79,800円)に触れ、そのパフォーマンスを体験してみた。

「LuvBook S」シリーズの「LB-S222X-SSD」

11.6型で据え置き型ノート並みのパワーとカスタマイズ性

モバイルノートの定番カテゴリとなったUltrabookでは、ほとんどの機種で低電圧版の2コアCPUを搭載している。上位モデルではCore i7を搭載する製品も多いが、その場合も利用できるコアは2個、ターボ・ブースト機能利用時を除く、定格の動作周波数は2GHz程度に限られている。このため、例えばデジカメで撮ったHD動画やRAW画像を、外出先ですぐに編集するためのパワフルなノートPCが必要といった場合、従来であれば15型クラスのフルサイズノートを持ち歩く必要があった。

また、ストレージの選択肢も限られることが多い。薄型軽量化のため専用のSSDモジュールを採用している製品の場合、128GBと256GBなど、2種類程度のモデルが用意されているのみで、より大容量のストレージを利用したいと思っても選択肢がない。汎用の2.5インチドライブを利用する据え置き型ノートPCとは、大きく異なるポイントだ。

今回試用した「LuvBook S」シリーズは、本体の厚さこそ36mm(折り畳み時)と大きめなものの、11.6型(1366×768ドット)ディスプレイ搭載、フットプリントは288×195mmとコンパクトで、重量も約1.48kgと、持ち歩きにも対応できる範囲に収められているモバイルノートだ。それでいながら、Ultrabookでは類のない4コア版Core i7を搭載し、ストレージもSSD、HDDそれぞれに複数の容量を用意した、カスタマイズ性の高い構成となっている。

11.6型のコンパクトサイズだが、キーボードは標準的な配列で窮屈さはない

底面のカバーを開けてみると設計コンセプトは明快で、CPU、メモリ、ストレージといった各主要コンポーネントは、いずれもメイン基板に対してソケットを介して接続されている。これは据え置き型のノートPCと同様の構成であり、基板にパーツを直付けする実装方法に比べて、薄型化には不利であるものの、コストを抑えながらパーツの選択肢を増やすことができるので、スペック重視のマシンにはむしろ有利だ。

底面カバーを開けると、内部にはパワフルな汎用のコンポーネントが並ぶ

また、CPUには強力な冷却機構が取り付けられており、排熱にも問題はない。熱を逃がすのが難しいモバイルノートでは、発熱の小さい低電圧版のCPUが用いられることが多いが、その分、最大の動作スピードも通常電圧版に比べ低く設定されている。「LuvBook S」シリーズでは、モバイルノートとしては余裕のあるボディサイズを活かして冷却を強化することで、通常電圧版のCPUも選択可能とし、LB-S222X-SSDではCore i7-3632QM(動作周波数2.20GHz、ターボ・ブースト機能利用時最大3.20GHz)を搭載している。

Core i7-3632QM、8GBメモリ(最大16GB)など充実したスペック

ストレージも一般的な2.5インチドライブを採用しているので、選択の幅は非常に広い。LB-S222X-SSDでは標準のSamsung 840の250GBのほか、BTOオプションでインテル520 240GB、Samsung 840の500GB、Samsung 840 Proの256GBおよび512GBも用意されている。アクセススピードよりも容量を重視したいというユーザーには、1TBのHDDを選択できる別モデル「LB-S222X」もある。

ユーザーによるパーツの交換はメーカー保証外のため自己責任となるが、このように汎用のストレージデバイスを利用しているため、知識のあるユーザーなら、将来ストレージ容量が不足した場合に自分でドライブを交換したり、取り外したドライブを直接別のマシンに接続して、バックアップを取ったりすることも可能だ。これはあくまで参考情報だが、パワーユーザーなら覚えておいても損はないだろう。

そして、本体のカラーが4色から選べるのも大きな特徴だ。今回試用したのは新色のホワイトで、わずかにヘアラインが見える光沢仕上げの天板が目を引く。従来から提供されているレッド、ブルー、シルバーも引き続き選択可能だが、キーボードや底面側のケース素材までテーマカラーで統一されているのは、このホワイトのみとなっている。

今回試用したホワイトは新しいカラーバリエーション キーボードやボトムパーツまで含めてホワイトになっているのが特徴
従来から提供されているレッド、ブルー、シルバーの3色も選択可能

OSはWindows 8の64ビット版が標準搭載されており、プラス5,250円でWindows 8 Proも選択可能。また、Windows 7搭載モデルも用意されている。