ペンタブレットは今やデジタル環境でのクリエイションに欠かせない機材のひとつで、有名クリエイターにも愛用者は非常に多い。今回は、マイナビニュースがこれまで行ってきたクリエイターインタビューから、クリエイター独自のこだわりなど、彼らが「ペンタブレットを使う理由」について取り上げていきたい。

漫画家・佐藤秀峰「デジタルだと自由に試せる」

「ブラックジャックによろしく」や「海猿」などの作品で知られる漫画家・佐藤秀峰氏は制作に液晶ペンタブレット「Cintiq 21UX」を活用している。液晶ペンタブレットは画面の回転も自在にできて、直感的に描けると感じたため導入したのだという。同氏は「今後、Webなどで発表する予定の作品は必然的にデジタル化していくと思います」と、創作作業のデジタル化についてもコメントしていた。

佐藤氏が液晶ペンタブレットを使って作業しているところ

イラストレーター・森チャック「今はないと仕事にならないです」

熊のキャラクター「グル~ミ~」の生みの親であるクリエイター・森チャック氏も、液晶ペンタブレット「Cintiq 21UX」を創作活動に生かしている。「イラストを描く作業はとにかく早くなりました。今はないと仕事にならないです」と、いまやなくてはならない存在であることを明かした。また、同氏ならではの使い方として、液晶タブレットをライトボックス代わりにもしているそうで、「イラストを原画として残したいので、基本は手描き」を貫いている同氏ならではの使い方と言えるだろう。

森チャック氏は、キャラクターグッズのデザインや試作品の監修作業も、液晶ペンタブレットを使い、画像データに直接書き込んでいるとのことだ

イラストレーター・五月女ケイ子「昔使ったときとは違ってより紙に書いている感覚」

絵本「バカ昔ばなし」などのイラストや舞台、ラジオなど多方面で活躍する五月女ケイ子氏は、実は1度ペンタブレットの導入に挫折した経験がある人物。そんな彼女がマイナビニュースの取材を機にペンタブレットに「再挑戦」し、デジタル作画のイラストを披露してくれた。Intuosシリーズの使い心地については「より紙に書いている感覚」と好感触。また、「ペンタブレットのときと実際に紙に絵を描くときでは、力の抜き方が違うんです。それも面白くて、その力の抜き方によって、絵自体も凄く変わってくると思うので、違う味が出てくると思うんです。私は偶発的に生まれた絵が結構好きなので、そういった意味で、ペンタブレットならではの新しい絵が描ける気がするんです」と、ペンタブレットを使うことにより生まれるイラストレーションの新たな可能性も示唆した。

数年ぶりのペンタブレット使用とは思えない出来映えのイラストを疲労してくれた五乙女ケイ子氏

Flashアニメ作家・青池良輔「クリエイターのツールには適材適所がある」

「紙兎ロペ」のアニメーション制作などで知られるFlashアニメ作家・青池良輔氏は、約10年間にもわたってペンタブレットを愛用してきたクリエイター。インタビュー当時の最新機種「Intuos4」について、「手元に書いているのに、画は目の前のモニターに表示されるという、マジックハンドのような変な違和感というか……。ここで挫折してしまう人も多いと思うのですが、Intuos4では、その違和感がまったくないですね。これは凄い事だと思います」と絶賛。「クリエイターの道具にも適材適所があるので、必要だと思うツールはすぐに手に入れるべきだと思います」と、創作におけるツールの重要性を強調していた。

青池氏のペンタブレットによる作業の様子

漫画家・平尾リョウ「機能面で様々な進化があるので、使いたくなるんですよ」

マイナビニュースのマスコットキャラクター「マイナビベア」の産みの親である漫画家・平尾リョウ氏は、新製品が出るたびに「Intuos」シリーズを買い替えるというこだわりの持ち主。「毎回、機能面で様々な進化があるので、使いたくなるんですよ」と語る同氏は、最新モデルの「Intuos5」の最大のメリットについて「ワイヤレス機能」だと語る。「無線になることでの遅延もまったく感じることはありませんでした。あと個人的にワイヤレスキットをIntuos5の側部に収納できてしまうところも気に入っています」と細かなところまでチェックした上で、最新ツールを自在に使いこなしていた。

新製品がリリースされるたびにペンタブレットを買い替えるという平尾リョウ氏