ズゴック鍋コンテスト開催!! 食卓をジオラマ化せよ!

──これから本格的な鍋の季節になりますが、またプロモーションにも力を入れていくのでしょうか?

「はい、実は『ズゴックとうふ』で鍋を作ってもらい、携帯で写真を撮ったものを投稿するコンテストを行っています。応募期間は11月21日から1月11日までで、自慢の鍋を投稿いただいて。賞も設けており、優秀賞の賞品はオリジナルの鍋『ミハルのミサイル鍋』です。

──モデラー魂をくすぐられますね。ジオラマといいますか、食材をどうビジュアル的に完成度を高めて、楽しんで食べるという。これも新しいアイデアですよね

「食卓の新提案、みたいないい話ができればいいんですけど……これは私が子どもの頃プラモをあまり買ってもらえないのに、友だちはたくさんプラモを買ってジオラマを作ってたんですね。それでジオラマをやってみたいというのがありまして(笑)」

──発想が斬新です。"キャラ弁"とかはありますけど、ジオラマまで行っちゃうというのは

「純粋な"ガンプラ"への想いなんですよ。これは"キャラ鍋"とかそういうものではなく、ジオラマなんです。『ズゴックとうふ』のパッケージ写真のここに、ちょろっと白滝がありますよね? これジャブローのヘビです」

──ジャブローの(笑)

「これ、作るの楽しかったんですよ。このヘビだけは私がやったんです。伝わらなくてもいいんだけど(笑)」

──こういうのを見せられると、プラモを作ってきた者としては「俺も!」って掻き立てられるものがあります。模型でやってきた技術を料理でやってみようかなと考えたりしますよね

「今回、『ズゴックとうふ』の豆腐自体の色は白にしたんですが、実は青にしようって思っていたんです」

──青に!? 青い豆腐って可能なんですか?

「できますよ。試作品も作りましたし。青じゃないとダメなんじゃないかと考えて。でもこれは鍋用ですから、いろんな鍋に入れることでその鍋の色になるじゃないですか。キムチ鍋なら赤になりますし、カレー鍋なら黄色になりますし。昔のガンプラは自分で色を塗るものだったし。その方が楽しいだろうなと思いまして」

発表会でも展示されていた「ズゴックよせ鍋~ベルファスト~」(左)と「ズゴック豆乳鍋~北極戦線~」

──青の『ズゴックとうふ』も試作したんですか?

「あと"ズゴックE"のカラーも試作しましたよ。グレーがかっている色で」

──ズゴックEまで(笑)

「ただ、ここまでやったぞ、という作り手の自己満足はあっても、これを食べる側としてはどうなのかなと。パッケージの色とか、このランドセル部分の色あせをやるとか、ここまではこだわりますけど、食べる豆腐の部分は買っていただいた方の自由な調理の範疇だと思うんです」

──なるほど

「こだわりといえば、この『ザクとうふ』や『ズゴックとうふ』のパッケージのモノアイの部分はこれ、シールなんですけど、これを一個一個手作業で貼るわけですよ。工場で、初日に31万」

──恐ろしい数字ですね……

「でも工場長も『ガンダム』は好きですから、自分の工場でガンダムをやれることがうれしいことがまずあって、そこが大変かどうかは二の次なんです。私もこの作業をやってる時は、朝5:00に起きて工場に行ってシール貼りましたから。その時はガンダムの音楽をガンガン流しながら(笑) あとでモノアイのシール貼り作業を担当してる女の子に"『ガンダム』のこと分かるようになった?"って聞いたら、"はい、歌だけは"って(笑)。それぐらい音楽かけまくりましたね」

──大変だったでしょうけど、楽しかったと。成功した喜びもひとしおなのでは?

「楽しいですね! こんなにうれしいことはない、って発表会でも言ったんですけど。成功という尺度は「売れること」ではなくて、大勢の方に"これ完成度高いね"とか、ほめられることが一番の成功ですよね。25.9度というのに笑ってもらったり。そこまでこだわってやってるのかとか。コンテストに出すような感じに近いのかもしれない。"これ、どうでしょう?""あ、いいっスか!?"みたいな(笑) その反応が消費者からダイレクトに返ってきたことは本当に幸せでした」

──では、最後にせっかくなので一番好きなモビルスーツを聞かせていただければと。一年戦争とそれ以降で1体ずつ

「ザクです(即答) 一年戦争以外ですか……マラサイですね」

──おおっ! いい答えです。では好きな登場人物は……ジェリド? それともカクリコン?

「一番好きなのは……うーん、スレッガーさんが好きですね。不良オヤジのカッコよさ、みたいなのが。あと、ライラ・ミラ・ライラ」

──いいオトナっぽいのが出てきますね(笑)

「ライラで好きなのは"パワーがダンチなんだよ!"っていう台詞で。うちの会社も今でこそ業界トップですけど、以前は一企業としては小さかったんですよ。その時の標語が"圧倒的じゃないか"っていう、アムロが言ったソロモン戦のではなくて(「あ……圧倒的じゃないか」)、ギレンが言ったア・バオアクー戦の堂々としてる方(「圧倒的じゃないか我が軍は」)と、もう一つがライラの"パワーがダンチなんだよ。そういう時は、どうすればいい?"っていうもので。そういう時はパワーで押してもダメなんだ、パワーないんだからウチは(笑) あとはガトーの"ソロモンよ、私は帰ってきた!"でしょう。先日の発表会の時にお取引先様に案内を送った時の文面が"ヴェルサールよ、私は帰ってきた!"でしたからね。……すみません」

──最新作の『機動戦士ガンダムUC』は見ておられますか?

「全部買いました(笑)」

──(笑) 久々のユニバーサルセンチュリー(宇宙世紀)作品ですが、古くからのファンには思うところもあったのでは?

「そうですね、ホッとするというのはやはりあります。と同時に、昔は分からなかった、人生観みたいなものが分かりやすく語られている。昔はそれを"お前ら読み取れよ!"みたいな感じでしたけど、それを明確に誰かの台詞で語らせるというのは、小気味いいですよね。そこまで言うなよ、もっと感じさせろよ、というのはありますけども。特によかったのは4話のジンネマンがバナージを連れて砂漠で話すシーンですね」

──いいシーンですよね……

「すごくよかったので社内でスピーチする時に流用させてもらいました(笑)」


と、この後もガンダム話に華が咲きっぱなしだったのだが、収拾がつかなくなるため、このあたりにしておきたい。「ザクとうふ」を作った男、鳥越淳司社長はやはり期待に違わぬガンダム愛好家であった。そのアイデア、思考の端々にガンダムから得たものがちりばめられていて、優良企業の社長たる人物がこれだけアニメコンテンツから良い影響を受けて活躍しているということがおわかりになるだろう。

また、仕事のあり方としてもとても素敵だと思う。好きなことを仕事にするのは苦労も伴うけれども、好きだからこそ動ける、タフに働ける。インタビュー内では長さの都合で割愛したが、豆腐の味の良さについて話した時に鳥越社長が語った「それはもう、お豆腐に関しては命がけでやっておりますから」の一言も印象深かった。自分の仕事に誇りがあればこそ、堂々とコラボを提案できる。働き盛りのガンダム世代に届くことを切に願う。