キーボードは一般品と比べ約10倍のコスト - 可愛さへの徹底的なこだわり
では、Floral Kissが、女性の気分をあげ、使っている女性を可愛く、エレガントにみせる工夫はどんなところに凝らされているのだろうか。鬼澤氏はいくつかのポイントをあげて説明する。
1つめは、爪の長い女性でも開閉時にPCを開けやすいように、がま口型クラッチバッグ方式のデザインを採用している点だ。上下の筐体部が互い違いになっていることで、「す~っと、エレガントに開けることができる」というわけだ。これは、一般のPCにも応用できそうなアイデアである。
2つめは、キーボードのキートップ一つ一つのまわりに、ゴールドカラーをリング状に施し、"ジュエリー感覚"の雰囲気を実現した点だ。「ネイルをした指を、キーボード上できれいに見せることができる」と説明する。
このキーボードは、エレガントPCプロジェクトのメンバーが最もこだわった部分だと言える。「一般的なキーボードに比べて、コストは約10倍。ベンダーと一緒になり、このキーボードの実現に取り組んだ」という点でもそれがわかる。
タッチパッドも軽く触るだけで認識するように改善し、また、電源ボタンもパール調のデザインを採用。「PCを利用する最初の作業で触れるのが電源ボタン。これに触れるたびに、気分もあがってくる」という演出につなげた。
そして、3つめにはマウスやACアダプターといったアクセサリーも、本体とのトータルデザインを意識した可愛いものになっている点だ。
付属のワイヤレスマウスは、コンパクトのような小型のラウンドフォルムを採用。手のひらに収まるサイズとしたほか、ACアダプタも場所をとらないよう細く小さくデザインし、ホワイトカラーの採用とともに、ワンポイントとしてダイヤモンドカットストーンを施した。
アダプタのコネクタ部分には、花柄の小さな突起をデザインしているという細部のこだわりも特筆できよう。本体背面部のスピーカーや空気孔の穴の部分にも花柄のデザインを採用。これも、「機械っぽさを無くすための工夫」とする。
ロゴマークが入らない、シンプルな天板
さらに、Floral Kissは、天板に富士通のロゴマークがないという点でも異例のものとなっている。富士通のロゴは、クラッチバッグ状のデザインの金属部分に小さく刻み込まれており、ジュエリーブランドあるいはファッションアイテムとしてのイメージを打ちだしている。
鬼澤氏は、「富士通のロゴを否定しているわけではない」としながら、「女性がこのPCを持って、気分がアガるという基本コンセプトを具現化する上で、天板にはなにもないというシンプルさが必要だと考えた」という。ブランド関連部門と何度も協議を行い、最終的に天板にはロゴマークを入れないことが決定されたという。
企画書にスペックが記されないという異例の提案で生まれた「Floral Kiss」だが、実は、スペック面をみても全く妥協した様子はみられない。
鬼澤氏は、これを「ウイークポイントは作りたくなかった」という言葉で表現し、「アンケートで、女性はそれほど機能を追求しないという結果が出ていた。だが、スペックに詳しくないからこそ、5~6年というPCの買い替えサイクルの間でも十分に使ってもらえる仕様にしたかった。デザインだけで選んでもらっても、安心して利用できるのが『Floral Kiss』の基本的な考え方」とする。
「Floral Kiss」の基本スペックをみてみると、1,366×768ドットの13.3型ディスプレイを搭載したUltrabookで、CPUにIntel Core i5-3317U(1.70GHz、ビデオ機能内蔵)を搭載。4GBのメモリと、500GBのHDD + キャッシュ用SSDを搭載。さらにWindows 8 64bitおよびOffice Home and Business 2010を採用している。
本体サイズはW322×D228.5×H17.5mm。重量は約1.45kg。女性が部屋のなかや、オフィス内でも持ち運びやすい薄さと軽さを実現した。そして、バッテリー駆動時間は約9時間という十分なスペックを達成している。
また、インタフェースについても、USB 3.0を2基(1つは電源OFF時の充電にも対応)、SDカードスロット、92万画素Webカメラを搭載。IEEE 802.11b/g/nおよびWiMAXにも対応している。
「さまざまな部屋で、自由な姿勢で使うことを考えると、画面は一定のサイズが必要でありながら、ある程度の軽量化、薄型化が必要だった。最薄、最軽量を実現する必要はないが、もっと女性が使いやすい薄さ、軽さ、そして性能を追求した結果が、Ultrabookに行きついた」という。
UltrabookとWindows 8という、最も注目されている最新プラットフォームの組み合わせによって、「Floral Kiss」は実現されているのだ。
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