「これまでの自分の映画は、映像だけで物語や感情を想像させるのが多かったけれど、観客の想像力に頼るというような我侭な撮り方はマズイと思ったんだよね。だから本作もヒットするだろうという手応えはあるよ」と北野武監督が確信を持つのは、自身のフィルモグラフィーの中で初めての続編となる映画『アウトレイジ ビヨンド』。北野監督と前回の生き残り組みで、山王会二代目会長・加藤役の三浦友和に話を聞いた。

北野武監督(左)と三浦友和　拡大画像を見る

前作のラストから5年。新体制となり関東の頂点を極めた暴力団「山王会」は、今や政界にまで手を伸ばしはじめていた。巨大ヤクザ組織撲滅を掲げる警察は、関西の暴力団「花菱会」との抗争を仕掛けようとする。そんな中、死んだと思われていた大友（北野）がシャバに放たれる。

北野監督は「前作の後半を撮っているときに、スタッフと『続編があったとしたらどんな話になるだろうね』と雑談していて、少し自分の中で考えはじめるようになった。すると『それは大友が生きているに決まっているじゃないの』という感じで、ストーリーはすぐに浮かんだんだよね」と続編の構想が生まれた瞬間を振り返る。前作で生き残った三浦にとっても、北野監督作品参加は嬉しいことだが「会長になると聞いたときは、正直キツイと思いました。だってトップに上り詰めたら、後は落ちるだけって決まっていますからね。台本をもらった瞬間、加藤の末路がわかりましたよ」と苦笑する。

一方で、北野監督には『裏アウトレイジ ビヨンド』ともいえる、もう一つの構想があった。「シリアスな映画を撮りながら、同時にパロディ版を作ることだね。『アウトレイジ ビヨンド』を1時間くらいに編集してさ、残りの1時間をまったく同じ設定・同じ役者で大ボケをかますパロディ版を上映するの。もしくは『アウトレイジ48』にしちゃって、センターで観ることのできる権利を争うジャンケン大会とかやったり。『アウトレイジ 維新の会』もいいね」とニヤリ。もちろんすべてジョークだが、その余裕が生まれる背景には『アウトレイジ ビヨンド』に対する絶対的な自信がある……続きを読む。