写真画像が高解像度化し、動画を撮影/視聴する機会が増えるなど、コンピュータで扱うファイルはどんどん大容量化している。それに伴い、各種のデータを保管するNASにおいても大容量化が必須の要件となっており、この点をセールスポイントとして謳う製品が多数リリースされている。

ただし、NASで配慮しなければならないのは容量だけではない。実際の利用シーンを考えると、どんなに容量が大きくても、使い物にならないケースが多々あるのだ。そのポイントの1つが、ネットワーク経由のファイルアクセスである。実のところネットワークがボトルネックとなり、思うようなパフォーマンスが得られないということは少なくない。

ネットギアが提供する、エンタープライズ向けNAS「ReadyDATA」は、容量はもちろん、そうした問題にも対処した代表的な製品である。その特徴や導入手順は、過去2回の記事でご紹介してきたが、今回は同製品のネットワークインタフェースに焦点を当て、実際に検証しながらパフォーマンスや使用感をご紹介していこう。

ReadyDATAのネットワークインタフェース

前回解説したようにReadyDATAは、1ギガビットイーサネットインタフェース×2、10ギガビットイーサネット×2のネットワークインタフェースを搭載したNASになる。管理画面上では、「eth0」「eth1」が1ギガビットイーサネットのインタフェースで「eth2」「eth3」が10ギガビットイーサネットのインタフェースとなる。

ReadyDATAのvnic

ReadyDATAには、物理的なインタフェースに関連付けられた仮想的なインタフェース「vnic0」~「vnic3」がデフォルトで存在する。仮想的なインタフェースはそれぞれ独立したIPアドレス、MACアドレスを持つ。IPアドレスなどのTCP/IP設定はvnicに対して行うため、ReadyDATAは複数のIPアドレスを持つことになる。

ReadyDATAへのアクセスでどの物理インタフェースを経由するかは、アクセスするvnicのIPアドレスによって決まる。たとえば、「vnic0」にIPアドレス192.168.1.1、「vnic2」にIPアドレス192.168.1.3が設定されているとしよう。すると、192.168.1.1に対する通信は1ギガビットイーサネットの「eth0」を経由し、192.168.1.3に対する通信は10ギガビットイーサネットの「eth2」を経由することになる。

図1 ReadyDATAのIPアドレスと利用する物理インタフェース

vnicは設定で追加することができ、また、VLANとの対応も可能だ。これによりReadyDATAのネットワーク接続を柔軟に制御できる。たとえば、部門ごとに運用していたNASをReadyDATAに統合する場合、これまでのNASと同じIPアドレスをReadyDATAのvnicに設定しておけば、ユーザは同じIPアドレスのまま共有ファイルにアクセスできる。

リンクアグリゲーションの設定

ReadyDATAはリンクアグリゲーションをサポートしている。1ギガビットイーサネット「eth0」「eth1」2つをまとめて2Gbpsのリンクとして利用できる。また、10ギガビットイーサネット「eth2」「eth3」2つをまとめて20Gbpsのリンクとして利用することも可能だ。

リンクアグリゲーションの設定は、「ネットワーク」の画面で行う。物理インタフェースの設定画面にある小さなドーナツ型のアイコンから「bond with」を選択して、まとめる物理インタフェースを指定すればよい。リンクアグリゲーションでまとめられた物理インタフェースは「aggr」という名前になる。

リンクアグリゲーションのリンクでデータを転送する際には、データのヘッダ情報からハッシュ計算を行い、実際に転送する物理インタフェースを選択する。複数の物理インタフェースでデータの転送を適切に分散させるためには、L2ヘッダ、L3ヘッダ、L4ヘッダまで参照してハッシュ計算を行うほうがよい。ハッシュ計算の設定は、リンクアグリゲーションインタフェース「aggr」のドーナツ型アイコンから設定できる。また、対向のスイッチとのネゴシエーションを行うためのLACP(Link Aggregation Control Protocol)のモードの設定もこの画面からできる。

図2 リンクアグリゲーションの設定

リンクアグリゲーションでまとめた「aggr」インタフェースに対して「vnic」を追加することも可能だ。