東京ICから玄関口熱海まで車で約1時間、新幹線だと35分というアクセスの便利さ。しかも、温泉、絶景、釣り、ダイビング、海水浴と郊外型観光の魅力盛りだくさんな静岡県の伊豆。熱海なんかはオールシーズンで花火大会をやっている。
そんな伊豆を大別すると、西伊豆、東伊豆と東西に分けられることが多いが、地元の人間から見ると、温泉、釣り、ダイビングを楽しんだり、おいしく新鮮な魚介類を味わったりしたいなら東も西も大した差はない。強いて挙げれば、相模湾とタカアシガニなどのすむ3,000メートル級深海のある駿河湾とでは、捕れる魚に違いがあるくらいか。
都会的な東伊豆では知的好奇心を満たすべし
東伊豆は静岡県にありながら東京キー局の番組がそのまんま見られる。良くも悪くも開発が進み、あまり都内の生活と変わらない。住民もここは東京だと思っているフシがある。首都圏のショートトリップやグルメ番組でもよく取り上げられ、1泊10万を越える高級リゾートホテルから、ダイバー対象の1,000円前後の宿まで宿泊施設も多彩にそろっている。
中でも熱海・伊東エリアは箱根とセットでひとつの観光地と化しているので、旅行で訪れる人も多い。アート系では宝紅白梅図屏風を持つMOA美術館を始め多くの美術館、博物館が集中し、伊豆高原一体には別荘も多く、別荘を保有する庭づくり愛好家80組が伊豆ガーデニングクラブを結成し、約20の庭が観光客へ開放されていて、誰でも美しい空間を堪能することができるのだ。
東伊豆ではワイルドな大自然を堪能すべし
一方、西伊豆にある大型の観光施設は、あわしまマリンパーク、三津シーパラダイス、らんの里堂ヶ島、加山雄三ミュージアムなど5~6施設ほど。東伊豆に比べると華やかな施設の数はぐっと少なくなり、全体的に地味な印象ともいえる。代わりに増えるのが、大自然の中での本格的アウトドア・スポーツだ。キャンプをはじめとして、ダイビング、カヌー、クルーズなどまで楽しむことができる。食に関しても駿河湾の深海魚が味わえる店があったりと、ワイルドで少し荒削りな自然満喫タイプのサービスが多い。陸上の交通が不便で、陸の孤島と言われ船でしか行き来できなかったことも関係があるのかもしれない。
ざっくり大きく分けると、魅力的な文化施設と都会的サービスとを楽しみたいなら東伊豆、ワイルドな大自然を心ゆくまで堪能したいなら西伊豆をチョイスすべし! という感じだろうか。そんな五感を刺激する様々な魅力がつまった伊豆だが、近くに暮らす僕としては、伊豆をお手軽な避暑地と見ないでほしいのだ。
このエリアの歴史と奥行きの深さには想像以上のものがある。確かに東京から熱海までは近い。だけど熱海はあくまでも玄関口。熱海=伊豆半島と考えられるとちょっと哀しい。伊豆半島は南北50キロ、東西30キロと思ったよりも大きく、能登半島とも互角に戦える大きさだ。伊豆半島の背骨に当たる天城山の最高峰万三郎岳も1,400メートルを優に超える。名曲として愛されている石川さゆりの「天城越え」も、まさにこのエリアから生まれたという伊豆のダイナミズム。
つまり…何が言いたいかというと…皆さんに、もっと伊豆の魅力を知ってほしいのだ。歴史マニアも、演歌ファンも、きっと、人生のどこかで伊豆にインスパイアされたことがあるはずなのだから!
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