GIGABYTEからIntel Z77 Expressチップセットを搭載したATXマザーボードのリフレッシュモデルが2製品登場した。「GA-Z77X-UP5 TH (rev. 1.0)」「GA-Z77X-UP4 TH (rev. 1.0)」はともに6月に開催されたCOMPUTEXでお披露目された新モデルだ。次世代インタフェースのThunderboltを2ポート搭載するとともに、CPU電源回路に用いるコンポーネントを強化し、独自の品質基準の最新版「Ultra Durable 5」を採用してきた。

今回紹介するのは上位モデルのGA-Z77X-UP5 TH (rev. 1.0)だ。まず型番の読み方から紹介しておくと、従来シリーズまでの「UD」から「UP」に変わっている。同社の新製品と従来製品との見分け方はまずココと覚えておこう。次に「5」というナンバー。製品のクラスをあらわし、本製品も従来モデルの「GA-Z77X-UD5H」と同じ、オーバークロック性能を重視したクラスのモデルとなる。とはいえUltra Durable 5の採用により、性能レンジとしてはひとつ上と見て良いだろう。また、最後の「TH」はThunderbolt対応を指す。GA-Z77X-UP5 THでは、Intel DSL3510Lチップを採用しており、バックパネルに2ポート用意されている。

Thunderboltは、Intelが提唱している最大10Gbps(双方向20Gbps)の高速インタフェースだ。Macで先行して採用されており、Ultrabookを中心とした今季の最新ノートブックPCでも採用が始まっている。特徴として、拡張スロットで用いるPCI Express(2.0)信号をそのまま流すことができ、これまで拡張カードで追加していた機能、とくに広い帯域を必要とする機能が外付け機器で実現する。また、ユニークなのは同時にディスプレイ信号も流せる点だ。Thunderboltの外部ポートはミニDisplayPortの端子と同じ形状をしており、実際、DisplayPortケーブルを用いてディスプレイと接続して画面出力ができる。Thunderbolt機器自体はまだ立ち上がりの段階で少ないが、現時点でもディスプレイ出力端子として活用できるわけで、メリットを享受できる。

GA-Z77X-UP5 TH (rev. 1.0)

GA-Z77X-UP5 TH (rev. 1.0)

メーカー GIGABYTE
製品名 GA-Z77X-UP5 TH (rev. 1.0)
フォームファクタ ATX
対応ソケット LGA1155
対応CPU Core i7/i5/i3/Pentium/Celeron
チップセット Intel Z77 Express
対応メモリ DDR3 SDRAMスロット×4基(最大32GB)、アンバッファードDDR3 1600/1333/1066MHz対応
拡張スロット PCI Express(3.0)x16 ×3(16/8+8/8+4+4)、PCI Express(2.0)x1×3、PCI
マルチグラフィックス AMD CrossFireX、NVIDIA SLI、Lucid Virtu MVP
ストレージ SATA 6Gbps×3(Intel Z77+Marvell 88SE9172)、SATA 3Gbps×4(Intel Z77)、eSATA 6Gbps×1(Marvell 88SE9172)、mSATA×1(SATA 3Gbps×1ポートと排他)
RAID機能 RAID 0/1/5/10(Intel Z77)、RAID 0/1(Marvell 88SE9172)
ネットワーク 10/100/1000BASE-T×1(Intel)
オーディオ機能 7.1ch HDオーディオ(Realtek ALC898)
インタフェース Thunderbolt×2(Intel DSL3510L)、USB 3.0×10(Intel Z77×2+VIA VL810ハブ×4+ピンヘッダにより4ポートの拡張が可能)、USB 2.0×6(Intel Z77×2+ピンヘッダにより4ポートの拡張が可能)、IEEE1394a(VIA VT6308)

Thunderboltを2ポート搭載

チップセットとしては従来同様Intel Z77であるため、そのあたりの仕様は従来シリーズと変わりは無い。ただしThunderboltが追加されたことにより、機能面に若干の違いがあるので、そこを説明しておこう。まずThunderboltは、PCI Expressに接続されている。いわばLANやオーディオ、追加SATAチップと同様の実装方法であり、CPUやチップセットにThunderbolt専用のバスが用意されているわけではない。おそらく製品によって実装方法は異なるものとみられるが、本製品の場合、Intel Z77チップセット側のPCI Express 2.0 4レーンを利用している。ただし、そのままではレーン数の計算が合わなくなる。Intel Z77はPCI Expressを8レーン利用できるが、うち4レーンをThunderboltに使うと残りは4レーン。3本のx1スロットにLAN、SATA 6Gbps、PCI(PCI Express→PCIブリッジ)を足すと6レーン必要な計算だ。そこを解決するため、本製品ではPLXの「PEX8605」PCI Expressスイッチチップを3本のx1スロットの根本に用いることで解決している。とはいえ、製品仕様を確認すると、PCI ExpressとPCIが利用されている場合、I/Oリソースの制限仕様によって接続可能なThunderbolt対応機器の台数が異なる、との注意書きがある。

本製品のブロック図。PEX8605チップを使って1本のPCI Express x1を3本まで利用可能としている

Thunderbolt端子はバックパネルに用意されている。先に説明したとおり、ミニDisplayPort端子の形状をしており、第4、第5のディスプレイ出力端子として利用可能だ。まだ対応製品は多くないものの、DisplayPort対応ディスプレイであればミニDisplayPort→DisplayPort変換ケーブルなどを使って接続できる。ただし、マルチモニタ時の画面出力数は、Ivy Bridgeで最大3画面、Sandy Bridgeで最大2画面と、CPUの持つ機能によって決定される。

そのほかバックパネルにあるインタフェースとしては、USB 3.0が4ポート、USB 2.0が2ポート、LAN、オーディオ、eSATAなどだ。種類、ポート数ともに不足と感じるところは無い。eSATAも、Marvell 88SE9172を利用しており、最大6Gbpsのスピードで接続できる。

バックパネルには、D-Sub 15ピン、DVI-D、HDMIといった3種のディスプレイ出力端子と、ディスプレイ出力と高速インタフェースを兼ねるThunderboltを2ポート備える。そのほか、USB 3.0×4、USB 2.0×2、LAN、eSATA、オーディオ入出力を搭載

奥のDSL3510LチップによりThunnderboltを2ポートを備える。2ポート搭載するマザーボードはまだ珍しい。なお、ディスプレイ出力端子として用いる場合、DVI-D×1とThunderbolt(#2)は排他の関係にある

拡張スロットのレイアウトは、GA-Z77X-UD5Hと同じで、x16スロットが3本、x1スロットが3本、PCIが1本という構成だ。x16スロットは、最上段1本を利用する際がPCI Express 3.0の16レーン、上から2本を利用する際がPCI Express 3.0の8レーン×2本、3本全て利用する際は、PCI Express 3.0の8レーン+4レーン×2本となる。これもGA-Z77X-UD5Hと変わらない。なお、x16スロットが3本でも、マルチGPU利用時はグラフィックスカード×2本までにとどまる。とくにNVIDIA SLIの場合、帯域がどちらも同じである必要があるから、これは仕方無い仕様だ。

拡張スロットはx16×3本、x1×3本、PCI×1。x16スロットはCPUとIntel Z77の仕様制限により、全16レーンを分割して利用する

3本のx1スロットは、Intel Z77から出ている1レーンにPLX PEX8605スイッチを挟むことで実現している

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