BTOパソコンの雄として名を馳せるマウスコンピューターが、Ultrabook参入の第一弾製品として投入した「LuvBook X」。同社初のUltrabookということで、生産コスト度外視の仕様が盛り込まれたという結果、総重量1kgを切るカーボン素材フルカバーのボディなどを備えながら、販売価格は普及価格帯のUltrabook並に収めたという注目の1台だ。先月には受注が開始されており、購入も容易になったこのタイミングで、改めて実機試用でその実力を確認しておきたいと思う。

11.6型Ultrabook「LuvBook X」。天板、底面、キーボード面とカーボンファイバ素材でフルカバーされたボディ

なお、既に開発版も含めて、マイナビニュース誌面で何度かプレビュー記事をお届けした後であるので(各記事へのリンクは以下の囲み参照)、スペックのおさらいなどは簡単に済ませておきたいと思う。

【レポート】ついに受注開始!! 写真で見るマウス製Ultrabook「LuvBook X」正式製品版
【レビュー】これは本命候補!! マウス渾身Ultrabookをプレビュー - カーボンファイバで高い実用性

Luvbook Xは、天板、底面、パームレスト周辺にカーボンファイバ素材を採用するなどし、軽量985gの薄型ボディを実現した11.6型Ultrabook。価格は基本構成時のWeb直販価格で89,880円からと安価に設定されている。その基本構成時の主な仕様は、CPUがIntel Core i5-2467M(1.60GHz/Turbo時2.30GHz)、メモリがPC3-10600 4GB(4GB×1)、ストレージが120GB SATA SSD、OSがWindows 7 Home Premium SP1 64bit版、ディスプレイが11.6型HD光沢液晶(1366×768ドット)、バッテリ駆動時間が約5.5時間。本体サイズがW298×D194×H5.5~17mmというものだ。

Ultrabookのキーボードってどうなの?

本稿では、これの正式製品版を実際に試用してみての使用感と、性能面を見るベンチマークテストを用いた検証といった内容をお届けする。さて、筆者は既に何台かのUltrabookに触れてきているのだが、このジャンルの製品で一般論として特に気になっているのが、キーボードの仕上がりだ。薄型に特化している都合上、十分なストロークや、しっかりした底打ち感の実現が難しいのか、どうしてもフィーリングが合いづらいキーボードとなっている製品も散見される。

というわけで、まずはLuvBook Xのキーボードを重点的に見てみることにした。そのキーボードだが、打ち味は、薄型ボディの割にはストロークが深めに確保できており、そのためストローク中の指の沈み方も自然な設定ができている。底打ちも、普及帯ノートでよくありがちなぺこぺこしたものではなく、かなり強めにキーを打ってもビクともしない堅牢性を備えている。薄型のボディやシンプルなキーから受ける見た目の印象よりは、打鍵の確かさがしっかりある。薄型故の"オマケ"的な華奢なキーボードではなく、全体的に、安物感の無いきちんと設計されたキーボードであるという感じだ。

キーボードは「意外」と言っては失礼だが、実用レベルの、と言うより、かなりしっかりしたもの

実は、この実機試用の直後のタイミングで、マウスコンピューターの開発者の方に話を伺う機会があったのだが、その際にキーボードの件について聞いたところ、キーボードは設計段階から既に"犠牲にしないもの"として開発が進められていたのだそうだ。本来は省略もできたパームレスト含むキーボード部分へのカーボン採用が、主にキーボード部の強度出しに貢献しているのだという。あわせて元々が、本体全体でモバイル時の堅牢性をかなり考慮した設計となっていた関係もあり、キーボード部分の底打ちからペラペラ感を排除できているようだ。理屈はどうあれ、このサイズ、薄さで、この打ち味の良い真っ当なキーボードが装備されていたというのは、嬉しい誤算だった。

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