【レポート】
フォルクスワーゲン「ザ・ビートル」の発売が6月1日と目前に迫っている。多くのファンが待ち焦がれた同モデルは、子供から大人へ成長したかのような外観で、新たな伝説の始まりを予感させる。その伝説が始まる前に、歴史的名車である元祖ビートルの伝説について、少し振り返ってみよう。
誰もがそのスタイルに見覚えのある元祖ビートル(フォルクスワーゲンType1)はフェルディナント・ポルシェ氏が生みの親。そして開発を指示したのがアドルフ・ヒトラーであることはあまりにも有名だ。ゆえに、「敵への突撃時、兵士が被弾しようとも車両の重要な機関は被弾せぬように、エンジンをリアに配置した」なる珍説も生まれた。ポルシェ氏がRR(リアエンジン・リアドライブ)レイアウトを採用した本当の理由は、トラクションの確保と室内を最大限に広くするためだ。
彼はポルシェ社の生みの親でもあり、彼の一族によって356や911が開発された。それだけに、これらのモデルは「兄弟」といっていいほど共通点が多い。実際、ビートルを前後にぐいっと引き伸ばすと、だいたい911の形になる。RRを出発点とした必然のボディデザイン、「クルマたるもの、4人乗車してなおトランクルームが確保できなければならない」というポルシェ氏の不変の哲学ゆえだ。
初代ビートルは世界中で大ヒットを記録し、ドラッグレースやラリーでも大活躍した。その中で生まれた伝説の中には信じがたいものもあり、たとえば「ビートルは水に浮く」。工作精度が高く、隙間なくきっちりとつくられているので、落水しても車内に水が侵入せず、船のように浮くというのだ。これは事実であることが実験で確認されている。
数多くの伝説の中でも極めつけは、このビートルが永久に破られることのないであろうロングセラーを記録したことだろう。ビートルの発表は1938年、本格生産開始が1945年、ドイツでの生産終了が1978年。これだけでも大したものだが、ビートルはその後もメキシコで生産が継続され、それは2003年まで続いた。つまり、戦前に開発されたモデルがほとんどそのままの形で、ほんの10年近く前まで製造されていたのだ。
メキシコ製ビートルは、開発費がとっくに回収されているゆえの低価格が存在理由で、メキシコとその近隣諸国向け生産だった。ところが、日本の業者により相当数が日本に輸入され、「あのビートルを新車で買える」ということで大変な人気を集めた。日本人のビートル好きは相当なものなのだ。発売間近の「ザ・ビートル」も、日本で人気モデルとなるのは間違いないだろう。
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