Armadillo-800上で動くAndroid4.0.3やQt5.0のデモを公開

本誌連載でもおなじみのアットマークテクノのブースでは、ルネサス エレクトロニクスの「R-Mobole A1」を搭載した評価ボード「Armadillo-800 EVA」の実機デモなどが展示されているほか、参考出展として、Armadillo-800 EVA上でAndroid 4.0.3の動作デモ、Qt5.0の動作デモなども見ることが可能だ。

Armadillo-800 EVAはルネサスがR-Mobile A1の標準評価ボードとしていることもあり、国内の反応は上々で、今後はLinux FoudatinのLTSI(ロングターム サポートイニシアチブ)の標準サポートボードの1つに選定されたこともあり、海外でも展開も強力に推し進めていきたいとしている。

ユビキタスブールでは、R-Mobile A1を搭載したArmadillo-800 EVAの動作デモを見ることが可能だ

また、Qt5.0の動作デモは、現在、まだアルファ版として開発が進められているものを搭載したものだ(その隣では現在の最新リリースであるQt4.8の動作デモも行われている)。アルファ版とのことであるが、動作を見る限りは、すでに高い完成度で動作していた。

Armadillo-800でQt5.0の動作デモを実施

こちらは同じくArmadillo-800でAndroid4.0.3の動作デモを実施している様子

実はArmadilloは宇宙にも行ったことがある

ICカードをかざす手間を省ける電界通信ソリューション

NTTエレクトロニクスのブースでは、電界通信「Firmo(フィルモ)」の応用例の参考出品を行っている。

電界通信は、人体などの表面に発生する電界を利用してデータ通信を行う技術で、対象に触れることでデータのやり取りを実現するというもの。今回のデモは一般的なRFIDを搭載したICカードをFirmo ICカードフォルダを入れて入退室者状況の監視を行うというもので、ICカードとしても使えるし、Firmoとしても使えるという仕組みになっている。

具体的には、ICカードホルダー側にFirmoを組み込み、ICカードとして使用する場合は、一度Firmoにそのデータを受け渡して、FirmoのアンテナからICカードのデータが送信されるほか、Firmoとして活用する場合は、そのままアンテナと触れ合うことでデータのやり取りを実現する(実際のデモでは、マットの下に置かれたアンテナを踏む-靴は履いたままで良い-ことで認証が行われる仕組みとなっていた)。

右が普通のICカードで、左がFirmoを搭載したICカードケース。カードケースの中にICカードを入れると、ICカードを取り出すことなく、Firmoとしても使えるし、ICカードとしても使えるというものになっている

ちなみにFirmoそのものは個別対応という形での受注は受け付けているという。また、開発キットも販売も行っており、こちらは同梱ボードを用いた試作の動作サポート費用などを含めた形で90万円だという。

Firmo開発キット。ICカードをポケットやバッグから出してかざす、という行動は確かに面倒な時もあるが、かといって電界通信がすぐにそれにとって代われるかというと、まだまだ課題は多い状況ではある。それでも、取り出してかざす、という手間が省けると、結構、楽にはなるイメージなので、今後の技術の進展に期待したいところ

なお、Firmoは現在、CR3032電池1つで2年間の動作保証をうたっているが、ニーズがあればコスト次第ではあるが、2次電池や振動発電素子などの組み合わせによる電池レスでの活用なども考えていくとしていた。

特長あるセンサLSIをベースにしたセンサの新たな活用方法を提案

5月7日に半導体分野への参加を表明したばかりのサン電子のブースでは、発表されたばかりの静電容量型センサLSI「ZQprobe SS1018」が実際に利用されるであろうシーンをイメージした3種類のデモが行われている。

1つ目は「「住まい」の人感センサ」。タイルの裏側に金属板を用いた電極を配置し、利用者の距離の変化に応じて変わる静電容量の変化を測定することで、距離に応じて遠ければ(センサのレンジ内の遠い位置の場合)赤のランプが、ある程度近づいたら緑のランプが点滅するというもの。ほかの2つのデモも基本的な原理は同じで、基準値からどれだけ静電容量が変化したかを比較することで、強弱を図る仕組みとなっている。

左が正面から見たデモ。右が裏面。金属版一枚のように見えるが、その裏にさらに2つの電極があり、合計3つの電極を用いて測定が行われているとのこと

2つ目は「距離検知センサ」で、額縁の裏側にITOフィルムを張り付け、電極としたデモ。こちらはユーザーの距離に応じて、多数のランプが額縁に近づけば近づくほど、点灯していくというものになっている。そして3つ目が「容器外側からの液量検知」で、距離検知センサと同様、多数のランプを用いたデモで、水槽とそこに張られた電極により、水の量の増減によりランプの点灯数が変化するというものとなっている。

こちらは「距離検知センサ」のデモ。スチロールの裏に金属板の電極を設置して測定しているのかと思ったら、額の縁部分にITOフィルムを貼って、それを電極にしているとのこと

水量の増減を測定し、量が多ければ点灯するランプの数が増え、量が減れば点灯するランプの数が減る

なお、すでにLSIのサンプル出荷は開始しており、5月末から6月初旬をめどにマイコンを搭載したタイプとカスタマの持つマイコンやプロセッサで処理するタイプの2種類の評価ボードが提供される予定。こちらも同社ブースで、まだ試作段階のものではあるが、見ることが可能だ。

左が評価ボードの試作版。右は、マイコンを搭載していないタイプの評価ボード