【レポート】
コンピュータの開発スキルの発展を促進するために設立された財団「Raspberry Pi Foundation」が、将来のIT開発者やプログラマ、組み込みエンジニアのために開発した低コストの超小型Linux PC「Raspberry Pi」。同製品の初回生産分は2012年4月16日の週に出荷される予定だが、これが今や世界中で話題になっている。そんな同製品の出荷直前に、販売を手掛けるRS ComponentsのTechnical Marketing Manager,Electronics,Asia PacificであるEric Lee氏に実機デモなどを見せていただく機会を得たので、その模様をお伝えしたい。
まずはRaspberry Piを知らない人のためにハードウェアスペックから。中核はARM1176JZFS(動作周波数700MHz)を搭載したBroadcomのSoC「BCM2835」。Broadcomでは同チップを"High Definition 1080p Embedded Multimedia Applications Processor"とうたっており、Raspberry Piにもグラフィック出力端子としてHDMIが搭載されている(RCA端子もある)。主なインタフェースとしてはUSB 2.0×2、10/100Mbpsイーサネット(RJ-45)×1、給電用のmicroUSB×1、OS収納用のSDカードスロット×1(SD/SDHC/SDXCに対応)となっている。ちなみに最近のARMコアと言えばCortexだが、「もともとのRaspberry Piの趣旨は教育用途として使える安価なシステムを提供することを目的としており、Cortex搭載チップは高い。USB 3.0も高いし、有線LANに関してもギガビットイーサ(GbE)にしなかったのはコストを問題視したからだ」(Lee氏)とのことで徹底的に低コストを追求した形となっている。
対応OSイメージとしては、Debian 6.0(Squeeze)に基づいているほか、FedoraやArchLinuxなどの対応が進められているが、Fedoraに関しては、まだバグが取れていないようで、公式的にはDebianを使ってもらうようにアナウンスしているという(OSイメージはRaspberry PiのWebサイトよりダウンロードが可能)。
ちなみにこのRaspberry Pi。価格は35ドル(21.60ポンド)で、2月29日(英国時間)の発売から4月頭までの1ヵ月強の期間で、1人1台の限定があったにもかかわらず全世界から約25万件の受注があった(初回の英国での受注時は1万台)。RS Componentsでは、一切プロモーションを行っておらず、事前の予測を大きく上回ったものだったという。購入者の内訳としては、ホビーストや教育関係者、そしてエンジニアらが中心的だという。また、アジア太平洋地域では、日本とオーストラリアが約4000件ずつで、同地域では最大規模の市場(世界で最大の販売地域は膝元である英国、次いで欧州とのこと)になっているという。
国内販売窓口はRS Componentsの日本法人であるアールエスコンポーネンツが担当するが、購入は日本円ではなく、ポンド、ユーロ、ドルの3つの中から選択し、支払いもVisa、MasterCardのクレジットカードおよびデビットカード、PayPalとなっており、英国からの発送となる。また、3月の国内販売開始のアナウンスから、近日販売予定とされてきた国内販売Webサイトは今週末までにオープンする予定だが、事前受注があまりに多すぎるため、しばらくの間、注文を受け付けられない状況になるとのことであった(なお、初回出荷分は全世界で2000台。このうち、日本に何台振り分けられるのかは2012年4月12日の時点でも不明。今後、適宜、生産出荷が進められるが、仮に1週間に10000台生産しても約25週かかることとなることを考えれば、この対応も致し方ないものと思えてくる)。
RS ComponentsがRaspberry Piの販売を手掛けるのは、同社が組み込みエンジニアなどへの教育に注力しているからだ。フリーで使えるPCB設計ツール「デザインスパークPCB」なども提供し、ハードウェアの設計情報をコミュニティサイトである「DESIGNSPARK」にて公開もしている。同社としては、「Open Source Software(OSS)が多くのコミュニティを持つように、Open Source Hardware(OSH)を推進して、より多くの学生などに組み込み技術に興味を持ってもらい、電子機器の設計技術を学んでもらいたい」(同)との意向を示しており、Raspberry Piの回路図などをDESIGNSPARKで公開したり、デザインコンテストを実施したりといったことも考えているという。
ちなみに現行の製品モデルは「Model B」(Model Aはイーサネットポートがない)だが、「Model C」はどうなるのか、と聞いたところ、「コストのかかるUSB 3.0やGbEはやはり搭載するつもりはないが、ニーズが高いWi-Fiやセンサなどは搭載したいといったアイデアベースでの話し合いはしている」との回答で、「Raspberry PiのWebサイトやDESIGNSPARKなどでユーザーからコメントを求めて、次世代Raspberry Piを作っていきたい」と今後はユーザーも巻き込んだ形での製品づくりへと発展させていきたいと希望を語ってくれた。
なお、Raspberry Piの実機は、2012年4月14日に、東京・秋葉原で開催される電子工作&自作派ホビー・エンタメ・イベント「エレキジャック・フォーラム in Akihabara 2012」にて、国内で初めて一般展示される予定だ。イベント開催概要は以下の通りなので、一度、その小ささを実際に確認したい人は足を運んでみると良いかもしれない。
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