日本には和傘職人や和紙照明職人、染職人など、伝統文化を受け継ぐ様々な匠が存在する。本企画は、そんな伝統的な世界でしのぎを削る若きクリエイターたちを13人連続で紹介していく。第4回はジュエリーアクセサリークリエイターの加藤心姿を紹介する。インタビューの後半ではパソコンへのこだわりにも言及。パソコン選びに対し、"デザイン / 軽さ / 拡張性 / サポートサービス"を重要視すると答えた加藤氏は、デルのUltrabook「XPS 13」にどのような印象を持っただろうか。

加藤心姿プロフィール

島根県出雲生まれ、京都育ち、神話と歴史に囲まれた土地で想像力豊かに育ち、美術系高校を卒業後は、グラフィックデザインやゲームのキャラクターデザインを経て、それまでしていた仕事に疑問を感じ日本宝飾クラフト学園でジュエリー制作の基礎を学び、在学中に「銀工房アラマルーツ(AramaRoots)」を設立。現在までシルバーアクセサリーの制作は数え切れず、オーダーメイドジュエリーの数は200点を超える。

仕事へのこだわり

――この仕事に就こうと思った年齢ときっかけは?

加藤心姿(以下、加藤)「32歳です。それまでジュエリー制作という仕事の存在も知らなかったのですが、当時、趣味にしていたボルトナットだけで作るアートのヒントを探していたら、たまたま専門学校の見学案内を見つけたんですね。気が付いたらそのまま入学していて(笑)。会社勤めでしたので夜間や週末に受講し、決して安くない学費を稼ごうと入学2カ月目でアクセサリーを販売していました。今はその延長ですね」

――これまでで一番思い入れのある仕事は? その理由や思い出を教えてください。

加藤「すべての仕事に思い入れがあるので、ひとつを選ぶのは難しいのですが、もの作りの自信に繋がったのは、北野武さんのディレクターズチェアを制作した事です。オフィス北野の役者さんからのご注文だったのですが、始めは冗談かと思いましたよ。でも北野映画によく出演されている方でしたので半信半疑ではありましたが頑張りました。椅子の布を革に張替えたいとの要望もありましたのでレザー教室にも通ったぐらいです。納品から数カ月後、その方から映画『アキレスと亀』のパンフレットが送られてきた時は体が震えました。自分が作ったものが映画のパンフレットに大きく載っていたんです! お会いしたことはありませんが、自分の作品をあの"世界の北野"が使ってくれた事実はクリエイターとしての自分を何倍も成長させてくれました。こんな素敵な経験をさせてくれた役者さんにとても感謝しています」

――自身の作品を制作するにあたっての一番のこだわりとはどのようなものでしょうか?

加藤「ジュエリーやアクセサリーは、誰かの宝物になるものだと思いますので、もし自分が持つならと、その方の気持ちになって丁寧に作っています。箱を開けた時に傷ひとつないアクセサリーが輝いていたら感動も倍ですよね。幸せのお手伝いができたと思うと僕自身も幸せになれるんです。その為には、既製品では手を抜きがちな見えない部分や裏側までしっかり作り込みます。言わなきゃわからない部分に字が彫ってあったり意味も無く動いたりします」

――これから取り組んでみたいこと、関わってみたい仕事は何ですか?

加藤「オーダーメイドでは、面白そうなら何でも引き受けるのですが、アクセサリーとは別の製品に装飾してみたいです。例えば、家具、車、自転車、バイクなどのエンブレムやネジみたいな小物を装飾したらかっこいいだろうなと……。ちなみに最近、自分の車用にエンブレム作ったんですよね」

――愛用している道具や本、ものを教えてください。

加藤「奥山清行さんの『人生を決めた15分 創造の10000分の1』です。この本でプロのデザイナーとしての考え方を学びました。道具では、モレスキンです。ポケットに入るサイズがちょうどいいので常に持ち歩きアイデアなどが生まれたら描き込むようにしています」

――アイデアを練る場所、時間などを教えてください。

加藤「電車の中やお風呂に浸かっている時が多いです。暇な時は、常に考えているので特に時間は決まっていません」

――趣味やコレクションなど、いま、個人的にハマっていることを教えてください。

加藤「車です。独立した当時はお金も無いので何かを諦めようと我慢していたのですが、最近、趣味として購入しました。あとは、美味しいものを食べに行く事ですね」

代表作品

北野武さんのディレクターズチェア

ブルーモルフォ蝶のアクセサリー

DELL×日本の若き伝統職人13

デルがこのほど発売したUltrabook「XPS 13」は、スペックのみでなく表面のデザインが洗練されているなど、デジタル界の匠ともいえる非常にスタイリッシュな製品。日本の伝統文化を継承する若きクリエイターたちは同製品にどういった印象を持ったのであろう。

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――創作活動のどういった局面でパソコンを利用しますか?

加藤「デザインの資料収集やウェブ制作です」

――仕事の上でパソコンがあって良かったと思ったエピソードもしくは今後の創作活動で活躍できそうなシーンを教えてください。

加藤「この仕事を始めたころは、PCの性能も低く今に比べれば使いにくいものでしたが、それでもひとりでデザインして制作して販売する。それができたのはPCのおかげです。今では、オーダーメイドや修理などの問い合わせも多く、お客様から喜びやお礼のメールを戴く度にこの仕事をしていて良かったなと感じています。最近は、Facebookやtwittrなどでお客様とのコミュニケーションを深めています。距離が縮まり一歩踏み込んだ会話がとても楽しいです」

――自分の選ぶパソコンの基準(こだわり)を教えてください。

加藤「今までは、スピードと大容量でしたが、最近はどのPCを選んでも十分な性能があると思いますので、次に選ぶ基準にするならデザイン / 軽さ / 拡張性 / サポートサービスですね。特にサポートは、今までのメーカーが頼りなかったので、次はいざという時に繋がってくれるメーカーが大前提です」

――DELLから発売されたXPS13というUltrabookが出たのですが、日本の伝統を受け継ぐクリエイターからみて、この製品に対してどんな印象を持ちますか。

加藤「カーボンを使用しているんですか? かっこいいじゃないですか! 僕らの世代は、カーボン製と聞くだけで軽くて丈夫だと解ります。薄くて持ち運びに良さそうですね。このサイズで今までのUltrabook並みの性能があるのなら次の選択肢に加えようと思います」

――持ち運びに便利な薄型ノートXPS13を使用して、今後の仕事で活用してみたいシーンを教えてください。

加藤「実はノートパソコンは、持ったことないんですが、写真やデーターを大量に保存しておいて出張や旅行先でもさっと出してウェブ編集などができたらいいですね。ほしいなー! 買おうかな(笑)」