2012年4月よりフジテレビ"ノイタミナ"ほかにて放送開始となるTVアニメ『坂道のアポロン』。監督を渡辺信一郎氏、音楽を菅野よう子氏、キャラクターデザインを結城信輝氏が務めるなど、豪華スタッフの集結に大きな注目が集まっている。そこで今回は、アフレコ収録に臨むメインキャスト陣が語った作品の魅力を紹介しよう。
TVアニメ『坂道のアポロン』、メインキャスト陣が語る作品の魅力
今回の取材には、TVアニメ『坂道のアポロン』のメインキャスト陣より、主人公・西見薫役の木村良平、ジャズをこよなく愛するバンカラ少年・川渕千太郎役の細谷佳正、千太郎の幼なじみで明るく心優しいヒロイン・迎律子役の南里侑香、千太郎が「淳兄(じゅんにい)」と呼び慕う桂木淳一役の諏訪部順一といった4人が参加。収録現場の雰囲気や演じるキャラクターの魅力などについて語ってくれた。
――配役が決まったときの感想はいかがでしたか?
木村良平「最初にキャスト表をいただいたとき楽しみだなと思いました。作品の雰囲気からも、自然な、生っぽい芝居をイメージしていて、自分自身もそういった芝居ができたらいいなと思っていたので、ほかの役者さんの名前を見て、『この人がこの役だったら完璧やな』とイメージを膨らませられて、これからがすごく楽しみだと思いました」
南里侑香「百合香役の遠藤(綾)さんとは一度ご一緒したことがあったのですが、ほかの方々は初めての方ばかりで、漫画を読んで、頭の中でいろいろと想像したりしながら収録に備えつつ、ちょっと妄想を楽しみました(笑)」
細谷佳正「コミックを読んだとき、きっとこれがアニメになったら、すごくナチュラルな日常を当たり前に描くようなお芝居になっていくんだろうなって思いました。共演者の方が、ずっとこういったナチュラルで、リアルなお芝居を一緒にしてみたいと思う方ばかりだったので、この作品に出られてうれしかったです。個人的には、これから方言が大変だなと思いました(笑)」
諏訪部順一「淳一役の諏訪部順一です(笑)。この作品はオーディションのお話をいただく前から存じ上げておりまして、非常に素敵な作品だと思っていたので、絶対に出たいという強い意気込みのもと、オーディションに臨んだのですが、念願が叶って本当にうれしかったです。母が九州出身で、物語の舞台と場所は違いますが、少し雰囲気の近い部分もあったりするので、自分のルーツにひとつ近づくような、そんな空気感を作品を通して楽しめたらいいなと思っております」
――南里さんも九州出身ですよね?
南里「はい。私も5歳まで『坂道のアポロン』の舞台である長崎県の佐世保で育ちました。ただ申し訳ないのですが、何年も離れているので、かなり危ういところがあって、勉強しなきゃいけないと思っています」
――実際にアフレコで演じてみての感想はいかがですか?
木村「楽しかったです。もちろん作品が面白いとか、自分がこういう芝居をするというのは初めからわかっていたのですが、周りのみんなが、あれだけ九州の方言で苦労しているのを見ると、一人気楽に標準語をしゃべっている僕は、本当に楽しくて(笑)。『みんな頑張れ!』って思いながら見ています。宝亀(克寿)さんが方言指導をしてくださっているのですが、宝亀さんが学校の大人気の先生みたいに、生徒たちに囲まれて、ひとつひとつすごくうれしそうに教えていらっしゃるのが印象的でした(笑)」
南里「周りのキャストの方は、長崎の佐世保だったり諫早だったりの出身の方が多く、本当にみなさん、九州にいるんじゃないか、佐世保にいるんじゃないかと思うぐらいの言葉で喋っていらっしゃったので、私としては懐かしいような感じもしつつ、自分も頑張らなきゃっていう焦りがあります。宝亀さんを囲んでいるのは、だいたい私と細谷さんだったわけですけど(笑)。宝亀さんには、これからも頼れるだけ頼らせていただいて、頑張って素敵な作品にしていけるように頑張りたいと思います。原作を読んだときから、アニメになったらどうなるんだろうとすごく楽しみにしていたのですが、木村さんと細谷さんの声を聞いた瞬間、何か自分も自然と『坂道のアポロン』の世界の中に入れるような気がして、すごくうれしかったです」
細谷「原作のコミックスも非常に面白いのですが、やはり自分の好きな、ナチュラルで邦画のような世界観でお芝居をさせていただけたので、本当に楽しかったです。共演者の方もすごく良い方ばかりで、もちろん緊張感もあるのですが、『トチッたらダメだぞ』みたいなピリピリ感はなく……」
諏訪部「ダメだよ」
細谷「ダメですか(笑)。ダメなんですけど、いい意味で集中していながら、フランクな雰囲気のとても良い現場だと思いました。収録のときに、Aパートが終わったあと、木村さんと一緒にコンビニに行ったのですが、木村さんが買い物カゴを持ってコンビニに入られたので、『え? 木村さんってコンビニで買い物するのにもカゴを使うのかな』と思ったら、周りの皆さんへの差し入れを買ってくださっていたので、『何て気持ちの良い人なんだろう。良かった、この現場で』と本当に思いました(笑)」
諏訪部「キャラクターたちの年齢差以上に、演じている役者に年齢差があるのですが、そんな中で良き兄貴分になれるよう、頑張っていきたいと思います。一応、漢字は違うのですが、役名と自分の名前が同じ"じゅんいち"ということもあり、音響監督さんからのダメ出しは、たいてい役名で呼ばれることが多いので、きっとこの現場では『"じゅんいち"、あそこは……』みたいに言われるのかと思うと、何かちょっとむずがゆい気もするのですが、馴染んでいきたいと思います」
――演じているキャラクターの魅力や実際に演じてみて感想はいかがですか?
木村「キャラクターの魅力は……メガネかな(笑)。薫は、本当に知らない世界にポッと入ってきたので、"不思議の国のアリス"的というと大げさかもしれませんが、ちょっとヒロイン的な立ち位置もあると思うんですよ。そこが、作品の中の個人としてではなく、立ち位置としての魅力になれば面白いのかなと思います」
南里「律ちゃんは、本当に素直で優しく、まじめな人なので、演じていてすごく清々しくて、心地良い感じがしました」
細谷「一見強そうで豪快に見えている仙太郎の中にある孤独感だったり、物語が進むにつれて、ちょっとずつ繊細になり、ちょっとずつ弱みみたいなものが見えてくるといった変化だったり、そういったところが彼の魅力だと思います。普段見せている豪快な姿と、実はその内に抱えている寂しさだったり、居場所のなさだったり……真逆というと少し変ですが、持っているものと実際に出ているものとのギャップ、そしてそれが近づいていく様に注目してください」
諏訪部「年下の男の子たちが羨望の眼差しで見るような、憧れの対象としてのカッコ良さが淳一にはあるのですが、ドラマを掘り下げていくと、彼の中にもいろいろな苦悩だったり、弱さだったりというものが出てくる、すごく人間味あふれる人だと思うので、そういったところが面白いと思います。さまざまな葛藤をしている人なので、そのあたりが、アニメの中でも描かれていくといいなと期待しております」
――最後に放送を楽しみにしているファンの方へのメッセージをお願いします
木村「原作のファンの方もたくさんいらっしゃる作品だと思いますが、アニメにすることによってさらに増す魅力というものを大事にしていきたいです。僕らが声をあてたり、絵が動いたり、音楽が入ったりすることによって、新たなアポロンとしての魅力を、原作ファンの人にも、原作を読んだことがなかった人にも、伝えていけるものになればいいなと思います」
南里「音楽を担当されている菅野さんにお会いする機会があったのですが、菅野さんも監督も、本当に力を込めて、愛を込めて作られているということをおっしゃっていたので、どんな風に音楽がアニメに載ってくるのか、私もすごく今から楽しみにしています。ぜひ皆さんもそこに注目していただきたいです」
細谷「原作は本当に面白くて、すごく良い作品なのですが、そこに音がついて、セリフがついていくことによって、どのように完成していくのか、非常に楽しみにしています。コミックが大好きな人も、また新しい形での『坂道のアポロン』が楽しめると思いますので、どうかあまり先入観を持たず、まっさらな目で観ていただけたらいいなと思います」
諏訪部「渡辺監督に菅野さんという、このタッグだけでも十二分に観る価値のある作品だと思うのですが、何より、とても丁寧に紡がれていくであろうことは、想像に易い作品なので、高校生の少年少女たちの瑞々しい様を真夜中にチェックしていただけるとうれしいなと思います。ジャズを演奏するシーンは、今の段階でも、こんなに丁寧に作っているんだと思えるものを拝見させていただいているので、本当に完成が楽しみですし、ご覧になっていただいた皆さんの感想も楽しみです」
――ありがとうございました
TVアニメ『坂道のアポロン』は2012年4月よりフジテレビ"ノイタミナ"ほかにて放送予定。
■TVアニメ『坂道のアポロン』おもなスタッフ
原作 / 「坂道のアポロン」小玉ユキ (小学館「月刊フラワーズ」連載)◆監督 / 渡辺信一郎◆脚本 / 加藤綾子・柿原優子◆キャラクターデザイン / 結城信輝◆総作画監督 / 山下喜光◆音楽 / 菅野よう子◆アニメーション制作 / MAPPA/手塚プロダクション
■TVアニメ『坂道のアポロン』おもなキャスト
西見薫 / 木村良平◆川渕千太郎 / 細谷佳正◆迎律子 / 南里侑香◆深堀百合香 / 遠藤綾◆桂木淳一 / 諏訪部順一
(C)小玉ユキ・小学館/「坂道のアポロン」製作委員会 |