日本から撤退した「ウェンディーズ」が帰ってきた。しかも、かなりパワーアップして。前回は、撤退から再上陸までの動きやメニューに関するこだわりについて紹介した。今回は日本限定メニューの紹介と、気になる"あの"メニューが復活しなかった理由をお話しよう。
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新メニュー「ジャパン・プレミアム」の狙い
昨年12月27日に東京・表参道にオープンした店舗では、日本だけのオリジナルメニュー「ジャパン・プレミアム」は、「フォアグラ・ロッシーニ」(1,280円)、「アボカド・わさび」(820円)、「トリュフ & ポルチーニ グリルチキン」(920円)、「ザ・チリ バーガー」(780円)の4種類のサンドイッチをラインアップ。基本メニューの「ウェンディーズ・バーガー」(480円)に比べるとハイクラスな位置づけ。これがファストカジュアルのメニューである。
もっとも日本らしい味と思われる「アボカド・わさび」を食べてみた。ビーフパティのどっしり感に、アボカドのクリーミーなコクが加わって食べごたえがある。わさびのほのかな香りが清々しく、あとから醤油の風味が追いかけてくる。ベタベタとしたテリヤキソースではなく、キリッとした醤油味だ。「アボカドをのせて、わさびドレッシングとアボカドクリームをプラスしています。家庭ではなかなかできない手間をかけました」(同社)。
他の3つのサンドイッチは日本の素材ではない。しかし、この組み合わせは日本人向けに考えられたという。例えば「フォアグラ・ロッシーニ」の場合、フォアグラをのせるという安直な方法ではなく、テリーヌ状にした上で、マデラソース、バルサミコ酢を加えた。具材だけを皿にのせればフレンチのメインディッシュになりそう。コンセプトは、「味覚に敏感な日本人の舌だからこそ楽しめる、価値がわかる味」とのこと。
なるほど、そういうことなら「トリュフ & ポルチーニ」の組み合わせも納得だ。これはキノコ好きの日本人向けだ。「チリ・バーガー」はアメリカでもすぐに実現できそうだが、日本での要望が高かった組み合わせとのこと。
ジャパン・プレミアムでは、パンも新たに開発したという。「ウェンディーズバーガーのバンズはマヨネーズとケチャップに負けない風味です。ジャパン・プレミアムのバンズは、小麦の香りを楽しみつつ、口に入った時に他の素材の邪魔をしないようにつくりました」(同社)。確かに、きめ細かい生地のバンズで、ふわっと口に溶けていく感じがした。
気楽に入れて高級感のあるお店
「ファストカジュアル」という新テーマのもと、店舗デザインも変化した。それは外観でもわかる。かつてのウェンディーズは赤と黄色の看板だった。しかし今回、ウェンディーズイエローと呼ばれていた黄色い帯がなく、落ち着いた雰囲気。店内の接客カウンターも洗練された雰囲気で、地下のイートインスペースに降りれば、白木を使った明るいカウンタースペースと、照明を控えめにした重厚感のあるテーブル席に別れる。
「座席まわりの素材はプラスチックではなく、木材やレザー風など、重厚感と温かみのあるものを使っています。これはアメリカにもありません。日本だけのデザインです」。
高級感といえば、デサートメニューの「irinaロールケーキ」が異彩を放つ。これも日本のみ。irinaは銀座や自由が丘にあるセレブ御用達のロールケーキ専門店という。六本木にはデリバリーのみ扱う拠点があり、有名女優の愛好家も多いとのこと。しっとりとしたスポンジに、天然のバナナを使っている。甘さを抑えた上品な味だ。
ウェンディーズに納入されるロールケーキは、サイドにハンバーガーの模様があしらわれている。こんな遊び心があるとirinaファンも気になるだろう。ハンバーガーといえば主に男性向けというイメージだが、カフェタイムに女性向けの商品を用意した。「ファストカジュアル」の雰囲気ならではのメニューといる。
2号店はどこ? 撤退前のアレはできる?
おいしくなったウェンディーズバーガーと、「ファストカジュアル」をテーマとして誕生した「新ウェンディーズ」。さて、2号店が気になるところだが、これはまだ決まっていないという。1号店の表参道店も「表参道ありきではなく、ファストカジュアルというコンセプトが受け入れられそうな候補地の中で、たまたま良い物件があったから」だったという。
ただし「1号店、2号店は直営店とし、今後のフランチャイズのためのオペレーションを検討する役割」とのことだ。素材の輸送や人材の交流を考慮して、「表参道からほどほどの距離にしたい」という。いちはやく「我町にもウェンディーズを」という声に応えるために頑張りたいとのことなので、楽しみに待とう。
ところで、ウェンディーズといえば「ビーフパティの追加」と「99円メニュー」を思い出す人も多いだろう。新店舗も「ビーフパティの追加」は可能で、すでにトリプルまではメニューに明記されている。実際にトリプルを注文する男性が多いそうだ。しかし「99円メニュー」については当面の実施予定はないという。米国では99セントメニューがあるが、日本ではファストカジュアルのコンセプトを重視していきたいとのことだ。