トヨタ自動車は2日、千葉・幕張にて、新たなスポーツカルチャーの夜明けを祝うイベント「86 Opening Gala Party」を開催した。小型FRスポーツ「86」(ハチロク)が披露されたほか、レーシングドライバー"モリゾウ"こと、同社代表取締役社長・豊田章男氏も登壇した。

「86 Opening Gala Party」にて、「86」と豊田氏が並ぶ

「86」は、1980年代に発売され、いまなお"ハチロク"として人気を集めるAE86のスピリット「自分だけの1台を楽しみながら育てる」を継承し、ドライバーの感覚ひとつでいかように取り回せる"手の内感"や、操る楽しさを体感できる「直感ハンドリングFR」をコンセプトに開発されたモデル(商品の詳細については本誌既報の通り)。内外装ドレスアップパーツやチューニングパーツも豊富に設定されているという。

ステージ上では、赤い車体が際立つモデルを展示

「86」を語る豊田氏。レーシングスーツにも「MORIZO」と刻まれている

「86 Opening Gala Party」では、ステージ上で「86」のライトニングレッドのモデルがお披露目され、運転席から豊田氏がレーシングスーツ姿で登場。「ドライバーと語り合い、ともに進化できるクルマに仕上がりました。クルマ好きの皆さんと一緒に86を楽しみたい。その楽しみ方もまた、クルマ好きの皆さんに育てていただくものだと思います」と挨拶した。

豊田氏自身もクルマ好き・レース好きとして知られ、国際C級ライセンスを取得し、ニュルブルクリンク24時間レースに出場した経験も持つ。

この日のイベントでは、豊田氏の運転による「86」のトレーニング映像も公開された。プロ顔負けのドライビングテクニックを見せ、北海道の雪道を走行した際には、豊田氏が思わず満面の笑顔を見せる場面も。そのときの思いを、「(86との)会話を重ね、『一緒に遊べる"仲間"だ!』と確認できた瞬間でしたね。86はすごく素直なクルマに生まれたと思います」と振り返った。

報道陣からは、「スポーツカーは今後どれくらい残っていくと思うか?」との声も挙がったが、豊田氏は、「私は最後まで残ると思っています。いまはHV(ハイブリッド車)からFCV(燃料電池車)、PHV(プラグイン・ハイブリッド車)、EV(電気自動車)などありますが、これは市場とお客様が選ぶもので、さまざまなバリエーションが当分の間残るものだと思っています」とコメントした。

さらに、「トヨタのスポーツカーはFR(フロントエンジン・リアドライブ方式)の歴史だったと思います。ブレーキとアクセルでいかに安全にカーブを曲がっていくか……、そんなクルマの楽しみ方を、86をベースに体験できれば、運転というものがより安全で快適なものになっていくのではないか」と豊田氏。イベント中も、「クルマ好きの人がいる限り、スポーツカーは絶対になくならない。我々メーカーのほうからあえて挑戦していかなければならない」と発言しており、スポーツカーの開発を続けることに強い意欲を示していた。

「86」トレーニング映像も公開。豊田氏の笑顔も見られた

なお、この日行われた「86 Opening Gala Party」では、豊田氏のほか86チーフエンジニアの多田哲哉氏、レーサーの飯田章氏、脇坂寿一氏、影山正彦氏を交えての本音インプレッショントークセッションや、プロドライバーによる86パフォーマンスなども行われた。

本誌は同イベントの模様を、後日詳しくレポートする予定だ。