【レポート】

Broadcom、IEEE 802.11ac対応チップセットの説明会を開催

1 5GHz帯を使った次世代無線LAN規格対応チップセットが登場

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次世代無線LAN規格「IEEE8012.11ac」

米Broadcomは2012年1月5日にIEEE802.11ac対応のチップセットを発表すると共に、これをCESで展示したが、1月19日に都内で改めてこの新チップセットに関する記者説明会を開催した(Photo01)。

Photo01:説明を行ったMichael Hurlston氏(Sr.Vice President and General Manager, Mobile & Wireless Group)

IEEE802.11acは現在IEEEがまだ規格策定中の次世代無線LAN規格であり、5GHz帯を使ってSingle Linkで500Mbps、3×3のMIMOでは1.5Gbpsの通信を可能にするものである。昨年6月にDraft 1.00が公開されており、現状の最新版はDraft 1.30である。今回Broadcomがリリースするのは、このDraft版に準拠したものとなる。

さて、まずBroadcomのSr.Vice President and General ManagerであるMichael Hurlston氏が802.11acへの以降の動機として、動画コンテンツの再生が帯域を圧迫しつつある事(Photo02)と、Wi-Fi対応デバイスが急速に増えていることを示し(Photo03)、今はともかくとして今後は、より広帯域で高容量の規格が必要になるという見通しを説明した。

Photo02:これはVideo関連アプリケーションの帯域の使われ方を示している。やはり一番大きいのは、ビデオの視聴という事だそうだ

Photo03:この5年間で、様々なものがWi-Fiに対応するようになったという話。この図にないものとして、例えばHealth Care Deviceや、Smart Meter関連のものもWi-Fiに対応するだろうと同氏は説明する

その規格がIEEE802.11acであるが、この802.11acという名称はあまりに堅苦しいし、エンドユーザーには分かりにくいとして、愛称として「5G WiFi」という名称を提唱した(Photo04)。5G、は利用する周波数が5GHz帯だからという訳ではなく、無線LANの第5世代だから、というのがその理由である(Photo05)。

Photo04:これはいまのところBroadcomのみが提唱しているもので、Wi-Fi Allianceなどとは無関係な活動に留まっている。実際の普及には多分Wi-Fi Allianceなどの協力が必要であろう

Photo05:この図では802.11aがなぜか3rd Generationになっているが、本来は802.11b同様に1999年には標準化が済んでおり、2001年にはSONYが製品をリリースしている。その意味では802.11aは2nd Generationに入れるべきな気もするが、Broadcom的には3rd Generation製品で802.11a対応を行ったので、こういう扱いなのだろう

この5G WiFiというのは現在はBroadcomだけが提唱している名前であるが、同社としてはこの名称を積極的に進めてゆくためにWebサイトを開設しており、ここで様々な啓蒙活動(すでにblogをスタートしたそうだ)に加え、同社だけでなくパートナー企業や競合他社もこのサイトを通して情報発信を行ってゆける仕組みを整えるとしている。

さてBroadcomは今回、このIEEE802.11acに対応した4つの製品をリリースした(Photo06)。内訳はPhoto07の様になっており、PCI Express接続とUSB接続がそれぞれ2製品ずつとなっている。

Photo06:3倍というのはあくまでも同じアンテナ構成の話である。消費電力効率の話は後述

Photo07:今回の4製品。ただ43516はアンテナ1つの構成でどうやってBeamformingを行うのかちょっと謎

PCI Express経由はルータやPC向け、USB経由は携帯やSTB、Tabletなどに対応したものとされる。これによる実効性能の違いであるが、絶対的な転送性能もさることながら、距離による転送性能の違いも大きく出る、と説明があった(Photo08)。例えば1つの室内であれば、802.11acは700~800Mbpsであるが、802.11nも250Mbps程度の性能であり、ここでは実効性能の差を(Tabletなどで)体感するのは難しい。ところが家の端から端、距離にして40~60mの範囲になると、802.11nでは40~60Mbps程度まで実効速度は落ちてしまうが、802.11acでは150~250Mbpsの性能を維持しており、ここで明確に性能の差が判る、という説明だった。

Photo08:「ウチは端から端まで20m以内だよ」という突っ込みを入れるべきかちょっと迷ったスライド

次の問題は、この802.11ac対応製品がいつ登場するかであるが、氏によればルータは今年後半に、Home Gatewayには第3四半期に、PCやTVなどには第4四半期になり、携帯電話は今年末~来年初頭に投入されるという見通しを語っている(Photo09)。

Photo09:これはどういう根拠かといえば、同社がWi-Fi/Bluetoothチップの主要なサプライヤであることに起因する。特に携帯電話向けでは8割近いシェアを持っており、これが現行のBluetooth/Wi-Fi(802.11a/b/g/n)からBluetooth/Wi-Fi/802.11ac対応に切り替われば自動的に802.11ac対応製品になる、という仕組みである

実は今年のCESでは、すでにBuffaloがこのBroadcomのチップを使ったルータのプロトタイプの実演を行い、"Best of CES" Awardを受賞しており(Photo10)、実装そのものは比較的早期に実現可能という認識を示している。これについてはバッファローの中村新氏(Photo11)が登壇、簡単にCESにおけるデモの内容を説明した。

Photo10:バッファローのデモ風景。液晶モニターには実際の転送速度をリアルタイムで表示していたとの事。手前のアンテナは展示のみのダミーだった模様

Photo11:バッファロー 海外事業部次長の中村新氏

バッファローはこれまでもBroadcomのチップを利用して、802.11g/11n対応のルータをいずれも世界初で提供してきた経緯があり、今回もやはり世界初ということで「WZR-1750H」という製品のプロトタイプを紹介すると共に(Photo12)、実際に802.11acを使ったデータ転送デモを行い、800Mbps近い帯域をCESの会場でデモし、高い評価を貰ったという話を紹介した。

Photo12:手前の箱がWZR-1750Hのプロトタイプ。その奥にあるのが実際のデモ機材

Photo13:デモ機材はバラ組みした2台のPCに、Mini PCI Expressカードと思わしきリファレンスカードをアダプタ経由で接続。そこから出る3対のアンテナ端子を直接ケーブルで接続する形でのデモを行った。ここまでやっても他の電波源の影響を受けるためか、概ね800Mbps程度での接続という形になった

この後再び説明はHurlston氏に戻り、2013年以降急速に802.11acのシェアが伸びる事が、Broadcomのみならず様々な調査機関のデータでも示されていると言うことを紹介して説明を締めくくった(Photo14,15)。

Photo14:これはABI Researchによる予測結果。2013年末~2014年初頭にかけて、802.11ac対応製品が全体の出荷量の半分を超えるという見通し

Photo15:こちらはBroadcomによる予測。携帯電話/アクセスポイント/PC&Tablet/デジタル家電の4つに分野分けをしており、それぞれ若干違いはあるものの、2013年から急速に伸びてゆくのは間違いない、としている

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インデックス

目次
(1) 5GHz帯を使った次世代無線LAN規格対応チップセットが登場
(2) IEEE802.11ac活用の最大の関門は法規制か!?
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